プロポーズ小作戦123
この頃生きていた人のそれなりのやり方。
ここでまた少し寄り道する。計画性とは縁が無いサイトである。
扇要
元教師。後に黒の騎士団の母体となる抵抗組織新宿グループの2代リーダー。
独立日本の暫定総理。後に正式の総理となる。
扇は口癖のように言っていた。
自分は罪人で、本来なら誰かを指揮するような者ではない。だが、多くの犠牲を出したあの時代を無駄にしないためだけに、私はこの身を曝す。
この他に扇の言葉で有名なのは「政治家は聖人でなくてもできる」「昔から君子は『怪力乱神を語らず』となっているそうだが、私は聖人でも君子でもないから平気で語る」がある。
参考
怪力乱神を語らずの意味
君子は、理性で説明がつかないような不可思議な現象については口にしないこと。孔子の言行について弟子が言ったことば。「怪力乱神」「怪」は奇怪なこと。「力」は力が強いこと。「乱」は道理に背いて世を乱すこと。「神」は鬼神
この言葉を言ったのち扇は遷都を考えてもらいたいと国民に訴えた。これには扇以外の政治家は目を丸くした。まさか、総理自らあの事を口にする気なのかと。
この頃、あの戦いの中核にいた一人である神楽耶が出家した。正確には仏門に入ったのではないから出家ではないのだが、説明がたやすいのでこの言葉が使われている。
神楽耶は亡き2代ゼロとフレイアによって最初に消滅したトウキョウ租界を祀る巫女になった。そのきっかけはトウキョウ租界の幽霊騒ぎであった。
あの日、巨大なクレーターと化したトウキョウ租界。家族を家を失った人々はクレーターの周囲に集まった。そこで最初の騒ぎが起きた。無くなったはずの街が見えたという人が現れた。そういう話があると見に来る人は増える。その人々が異口同音に言うのである。トウキョウ租界は街ごと幽霊になったと。
見物人の中にはクレーターに近づきすぎて転落し大怪我を負う者が出た。
扇はクレーターの倒壊の危険を理由にクレーターに近づくのを禁止した。
その間にもトウキョウ租界の幽霊はしばしば目撃され、時には昼間にさえも見えることがあった。
霊現象の専門家と称する者達が何人もクレーターの周りでお祓いだの悪魔払いだのをしたが、効果はなかった。専門家の意見を総合すると、トウキョウ租界はまったく予測しないまま突然の死を迎えたため、それを受け入れていないのだ、だから街ごと現世に帰ってこようとしているというのである。
まさか、総理自らあの話をするつもりではないだろうな。
ちょうど国際ニュースを付けていた星刻もわずかに疑った。
うっかり誰かがそんなことを認めたら、そういう見方をしていいのだと世間に知らせることになる。それは回りまわって、ゼロ革命が実はゼロ・レクイエムであったことが知られる原因になるだろう。そうなったら、そうなったで対処はあるが、できれば今の体制が続くことが好ましい。だから、星刻はいまだに天子に真実を告げていない。
結論としては杞憂であった。扇が言ったのは「今はゲットー地区の再開発で首都機能を再生しているが、いずれ手狭になるだろう。その時、あの租界クレーターを再開発しようという意見は必ず出る(すでに出ている)。しかし、あれだけのクレーターをもし埋めるとしたらその為に必要な土砂はどこから持ってくるのか。その為に貴重な自然が破壊される損害と再開発の費用を計算すればコスト倒れなことは目に見えている。」
参考までに
クレーターの体積は約250立方キロ、埋めるためには約5000億トンの土砂が必要である。
これだけの土砂を得るには富士山を半分削る必要がある。
後は専門家によりコスト計算の説明と分散機能首都の案がいくつか示された。
星刻は画面を消した。ここから先の話は見なくてもわかる。なにしろ基本的な考えを与えたのは星刻自身であるから。
扇が総理である間中華と日本は蜜月の関係であった。それは国際関係に対しての対応にも向けられ、中華と日本は二人三脚をしていると言われたものだった。これをしょせんは素人上がりが、隣の大国にすり寄っただけと批判する向きも後世にはある。
扇自身は晩年こう言っている。「日本が国ごと移住できない以上、中華といい関係を保ちたいのは当然だ。私が唯一自慢できるのは私の政権の時期、国民幸福調査でどの国よりも幸福度が高かったこと。それだけだ。」つまりは地政学的な原則をむりに破ろうとするよりも、国民の幸福を守ったということである。
扇の死後、日本と中華の仲は一時期こじれたが、まめの愛称で親しまれた扇・ヌゥ・勇希が外交に立つことにより再度安定を取り戻した。
この頃生きていた人のそれなりのやり方。
ここでまた少し寄り道する。計画性とは縁が無いサイトである。
扇要
元教師。後に黒の騎士団の母体となる抵抗組織新宿グループの2代リーダー。
独立日本の暫定総理。後に正式の総理となる。
扇は口癖のように言っていた。
自分は罪人で、本来なら誰かを指揮するような者ではない。だが、多くの犠牲を出したあの時代を無駄にしないためだけに、私はこの身を曝す。
この他に扇の言葉で有名なのは「政治家は聖人でなくてもできる」「昔から君子は『怪力乱神を語らず』となっているそうだが、私は聖人でも君子でもないから平気で語る」がある。
参考
怪力乱神を語らずの意味
君子は、理性で説明がつかないような不可思議な現象については口にしないこと。孔子の言行について弟子が言ったことば。「怪力乱神」「怪」は奇怪なこと。「力」は力が強いこと。「乱」は道理に背いて世を乱すこと。「神」は鬼神
この言葉を言ったのち扇は遷都を考えてもらいたいと国民に訴えた。これには扇以外の政治家は目を丸くした。まさか、総理自らあの事を口にする気なのかと。
この頃、あの戦いの中核にいた一人である神楽耶が出家した。正確には仏門に入ったのではないから出家ではないのだが、説明がたやすいのでこの言葉が使われている。
神楽耶は亡き2代ゼロとフレイアによって最初に消滅したトウキョウ租界を祀る巫女になった。そのきっかけはトウキョウ租界の幽霊騒ぎであった。
あの日、巨大なクレーターと化したトウキョウ租界。家族を家を失った人々はクレーターの周囲に集まった。そこで最初の騒ぎが起きた。無くなったはずの街が見えたという人が現れた。そういう話があると見に来る人は増える。その人々が異口同音に言うのである。トウキョウ租界は街ごと幽霊になったと。
見物人の中にはクレーターに近づきすぎて転落し大怪我を負う者が出た。
扇はクレーターの倒壊の危険を理由にクレーターに近づくのを禁止した。
その間にもトウキョウ租界の幽霊はしばしば目撃され、時には昼間にさえも見えることがあった。
霊現象の専門家と称する者達が何人もクレーターの周りでお祓いだの悪魔払いだのをしたが、効果はなかった。専門家の意見を総合すると、トウキョウ租界はまったく予測しないまま突然の死を迎えたため、それを受け入れていないのだ、だから街ごと現世に帰ってこようとしているというのである。
まさか、総理自らあの話をするつもりではないだろうな。
ちょうど国際ニュースを付けていた星刻もわずかに疑った。
うっかり誰かがそんなことを認めたら、そういう見方をしていいのだと世間に知らせることになる。それは回りまわって、ゼロ革命が実はゼロ・レクイエムであったことが知られる原因になるだろう。そうなったら、そうなったで対処はあるが、できれば今の体制が続くことが好ましい。だから、星刻はいまだに天子に真実を告げていない。
結論としては杞憂であった。扇が言ったのは「今はゲットー地区の再開発で首都機能を再生しているが、いずれ手狭になるだろう。その時、あの租界クレーターを再開発しようという意見は必ず出る(すでに出ている)。しかし、あれだけのクレーターをもし埋めるとしたらその為に必要な土砂はどこから持ってくるのか。その為に貴重な自然が破壊される損害と再開発の費用を計算すればコスト倒れなことは目に見えている。」
参考までに
クレーターの体積は約250立方キロ、埋めるためには約5000億トンの土砂が必要である。
これだけの土砂を得るには富士山を半分削る必要がある。
後は専門家によりコスト計算の説明と分散機能首都の案がいくつか示された。
星刻は画面を消した。ここから先の話は見なくてもわかる。なにしろ基本的な考えを与えたのは星刻自身であるから。
扇が総理である間中華と日本は蜜月の関係であった。それは国際関係に対しての対応にも向けられ、中華と日本は二人三脚をしていると言われたものだった。これをしょせんは素人上がりが、隣の大国にすり寄っただけと批判する向きも後世にはある。
扇自身は晩年こう言っている。「日本が国ごと移住できない以上、中華といい関係を保ちたいのは当然だ。私が唯一自慢できるのは私の政権の時期、国民幸福調査でどの国よりも幸福度が高かったこと。それだけだ。」つまりは地政学的な原則をむりに破ろうとするよりも、国民の幸福を守ったということである。
扇の死後、日本と中華の仲は一時期こじれたが、まめの愛称で親しまれた扇・ヌゥ・勇希が外交に立つことにより再度安定を取り戻した。