金属中毒

心体お金の健康を中心に。
あなたはあなたの専門家、私は私の専門家。

プロポーズ小作戦123

2010-01-17 13:24:22 | コードギアス
プロポーズ小作戦123


この頃生きていた人のそれなりのやり方。

ここでまた少し寄り道する。計画性とは縁が無いサイトである。

扇要
元教師。後に黒の騎士団の母体となる抵抗組織新宿グループの2代リーダー。
独立日本の暫定総理。後に正式の総理となる。

扇は口癖のように言っていた。
自分は罪人で、本来なら誰かを指揮するような者ではない。だが、多くの犠牲を出したあの時代を無駄にしないためだけに、私はこの身を曝す。
この他に扇の言葉で有名なのは「政治家は聖人でなくてもできる」「昔から君子は『怪力乱神を語らず』となっているそうだが、私は聖人でも君子でもないから平気で語る」がある。

参考
怪力乱神を語らずの意味
君子は、理性で説明がつかないような不可思議な現象については口にしないこと。孔子の言行について弟子が言ったことば。「怪力乱神」「怪」は奇怪なこと。「力」は力が強いこと。「乱」は道理に背いて世を乱すこと。「神」は鬼神

この言葉を言ったのち扇は遷都を考えてもらいたいと国民に訴えた。これには扇以外の政治家は目を丸くした。まさか、総理自らあの事を口にする気なのかと。

この頃、あの戦いの中核にいた一人である神楽耶が出家した。正確には仏門に入ったのではないから出家ではないのだが、説明がたやすいのでこの言葉が使われている。
神楽耶は亡き2代ゼロとフレイアによって最初に消滅したトウキョウ租界を祀る巫女になった。そのきっかけはトウキョウ租界の幽霊騒ぎであった。

あの日、巨大なクレーターと化したトウキョウ租界。家族を家を失った人々はクレーターの周囲に集まった。そこで最初の騒ぎが起きた。無くなったはずの街が見えたという人が現れた。そういう話があると見に来る人は増える。その人々が異口同音に言うのである。トウキョウ租界は街ごと幽霊になったと。
見物人の中にはクレーターに近づきすぎて転落し大怪我を負う者が出た。
扇はクレーターの倒壊の危険を理由にクレーターに近づくのを禁止した。
その間にもトウキョウ租界の幽霊はしばしば目撃され、時には昼間にさえも見えることがあった。
霊現象の専門家と称する者達が何人もクレーターの周りでお祓いだの悪魔払いだのをしたが、効果はなかった。専門家の意見を総合すると、トウキョウ租界はまったく予測しないまま突然の死を迎えたため、それを受け入れていないのだ、だから街ごと現世に帰ってこようとしているというのである。


まさか、総理自らあの話をするつもりではないだろうな。
ちょうど国際ニュースを付けていた星刻もわずかに疑った。
うっかり誰かがそんなことを認めたら、そういう見方をしていいのだと世間に知らせることになる。それは回りまわって、ゼロ革命が実はゼロ・レクイエムであったことが知られる原因になるだろう。そうなったら、そうなったで対処はあるが、できれば今の体制が続くことが好ましい。だから、星刻はいまだに天子に真実を告げていない。

結論としては杞憂であった。扇が言ったのは「今はゲットー地区の再開発で首都機能を再生しているが、いずれ手狭になるだろう。その時、あの租界クレーターを再開発しようという意見は必ず出る(すでに出ている)。しかし、あれだけのクレーターをもし埋めるとしたらその為に必要な土砂はどこから持ってくるのか。その為に貴重な自然が破壊される損害と再開発の費用を計算すればコスト倒れなことは目に見えている。」


参考までに
クレーターの体積は約250立方キロ、埋めるためには約5000億トンの土砂が必要である。
これだけの土砂を得るには富士山を半分削る必要がある。


後は専門家によりコスト計算の説明と分散機能首都の案がいくつか示された。
星刻は画面を消した。ここから先の話は見なくてもわかる。なにしろ基本的な考えを与えたのは星刻自身であるから。

扇が総理である間中華と日本は蜜月の関係であった。それは国際関係に対しての対応にも向けられ、中華と日本は二人三脚をしていると言われたものだった。これをしょせんは素人上がりが、隣の大国にすり寄っただけと批判する向きも後世にはある。
扇自身は晩年こう言っている。「日本が国ごと移住できない以上、中華といい関係を保ちたいのは当然だ。私が唯一自慢できるのは私の政権の時期、国民幸福調査でどの国よりも幸福度が高かったこと。それだけだ。」つまりは地政学的な原則をむりに破ろうとするよりも、国民の幸福を守ったということである。


扇の死後、日本と中華の仲は一時期こじれたが、まめの愛称で親しまれた扇・ヌゥ・勇希が外交に立つことにより再度安定を取り戻した。


プロポーズ小作戦122

2010-01-12 23:19:18 | コードギアス
プロポーズ小作戦122

ここでまた少し寄り道をする。
計画性・・・それはなんだろう。

本編2の最終回で扇の結婚式があった。敵対していた人々が祝いという同じ目的で集う。
コーネリア皇女殿下、黒の騎士団の藤堂、中華の天子様。この時代を代表する顔ぶれである。
天子様は屈託無く微笑み、みんなも笑顔で楽しそうで、これからの時代の希望や幸福を約束するような明るい結婚式。

天子様は扇の結婚式の時点でゼロ・レクイエムの真実を知っていたのだろうか?天子様は腹芸のできるタイプではない。
藤堂・扇達がゼロを殺そうとして殺し損ね逃げられた揚句、それをきっかけにゼロが悪逆皇帝になり死んだのだと知っていたら天子様のあの笑顔は無いだろう。

はたして天子様はどのくらい真実を知っているのか?

世間では以下のように思われている。
初代ゼロがブリタニアに処刑された後、2代目が現れた。2代目が東京決戦で戦死した後、黒の騎士団はその遺志を受け継ぎ戦い続けた。そして悪逆皇帝によって全てが踏みにじられた後、3人目のゼロが現れ、悪逆皇帝を殺した。3代目のゼロを黒の騎士団は認めた。
3代目のゼロはブリタニアに鞘を預けた。〈ブリタニアが再び侵略国家にならないよう見張る意味もある〉

あの何の屈託もなく愛らしい笑顔から推測すると、天子様は何も知らないのではないだろうか。
過保護の星刻が、天子様の優しいお心を傷つけるようなことを教えるとは思えない。
それに真実を知らなければ、何かの拍子にうっかり真実を口にする心配もない。

当サイトでは天子様は世間で信じられていること以外は知らないというスタンスで書いている。

ひとつ心配がある。何かのことで天子様が真実を知ったとき、その時彼女は自分が知らなかったということもだが、星刻が自分に真実を教えなかったということに傷つくのではないだろうか。

星刻は天子様を大切に守っているつもりだが、彼女を一番傷つけたのが己であると気がついたら。

プロポーズ小作戦121

2010-01-10 01:34:31 | コードギアス
プロポーズ小作戦121
スザクが見た例のブログは、そのアクセス数や話題性から一般のニュースにもなった。当然ミレイやリヴァルも見た。ましてやミレイはアッシュフォードの娘、(祖父は先日亡くなった)、あの写真については詳しいはずだ。マスコミが業界人であるミレイをほっておくはずはない。しかたなくミレイは写真がアッシュフォードでまつりのときに撮られたもので被写体がルルーシュ・ランべルージュであることは認めた。それぐらいはどうせすぐにわかってしまうことだ。その先が問題だった。はたしてどこまで認めていいのか。それを相談しようにもナナリーにうかつに連絡できない。
結論だけ言うとこの件をうまく治めたのはリヴァルだった。ブログを詳しく調べた彼はあの写真がアッシュフォード一の美人としか書かれていない点に注目した。そして悪逆皇帝の前歴が一切不明なのも調べ上げた。さらにはリヴァル本人が記憶操作されていた間にアッシュフォードにいたのは、ロロであったこと。

リヴァルの書いた筋書きはこうである。
ルルーシュとナナリーの姉妹は幼いころからアッシュフォードにいた。ナナリーは側にいたルルーシュを兄と信じていたが実は別人であった。(一説として乳母の子供)
 ナナリーはブリタニアに戻され、入れ替わりにルルーシュとロロが来た。その後、ルルーシュは皇帝になりゼロに殺された。
 つまりあの美人と悪逆皇帝は別人としたのである。
リヴァルはあくまでも噂としてこれを流した。ところで、仮定とはいえ万人が知る事実は多数が知るということで真実とされてしまうことがある。それに男どもとしてはあの美人が性別男だとは信じたくない。まぁ、悪逆皇帝も容姿だけは絶品だったが、それでも男だ。
 かくして別人説は受け入れられた。結果ナナリーは亡き〈姉〉をどうどうと偲ぶことができるようになった。
二人のルルーシュの容姿が似ているのは、あるいは亡き美人も皇帝の娘であった可能性があるということで簡単に説明がついた。なにしろ公式な妃だけで108人の絶倫皇帝シャルルである。隠し子の100人ぐらいいてもおかしくない。
 噂を流したリヴァル本人が思ってもいないほどにこの説は流布した。あるいはそこにはスザクの依頼を受けた星刻の情報操作もあったかもしれない。


プロポーズ小作戦120

2010-01-10 00:43:59 | コードギアス
プロポーズ小作戦120

ことがことだけにどう切り出そうかと、星刻が出る前の通信機の前で考えていたスザクだが、電話に出たのが星刻本人ではなく秘書グループの長であったので話題を振り損ねた。大司馬は今会議中ですと秘書は答えた。
ゼロであるスザクならどのような場合でも最優先で繋がせることはできる。しかし、今回は話題が微妙だ。どっちかと言うと個人的な相談というか、(自分は愚痴りたいだけだ)とスザクは気がついた。
中華に鞘を預けてから、スザクは星刻とよく話した。シュナイゼルと異なり星刻のやり方は理が通っており軍人上がりのスザクには馴染み易かった。星刻もスザクに対しては気を許していた。だからスザクは星刻の食べ物の好みさえも知っていた。
 食べ物の好みなんて誰でも知っていると思われるかもしれない。しかし、星刻は私的感情を一切隠して生きていた。どんなことが弱みになるかわからないからだ。むしろ本国にいるときのほうが星刻は孤独だった。
 スザクのほうも仮面こそ取らなかったが、結構個人的なことをしゃべっていた。例えば、星刻の好物が山羊のチーズ(日本人の感覚からすればけだもの臭いチーズ)だと聞いたきっかけは、「CCのピザの臭いがすごくて、せっかくの豆腐がチーズ臭くなったよ」と言ったことだ。 
 星刻は苦笑して私も彼女には参ったなと言い、ふと思いついたように『幼少時に覚えた味や、飢餓状態で覚えた味は他人から見てまずい物でも忘れられないらしい。私も山羊のチーズだけは別格だ』と続けた。
それをきっかけにスザクも納豆が好きと言いだし、おかげで中華にいる間スザクの朝食には納豆が付くようになった。
 実のところ星刻は会議に出ているわけではなかった。ストレスが原因で気道が狭まり呼吸困難を起こしかけたため、地下5階に閉じこもっていた。地下5階には大型病院並みの設備がある。星刻がこの公館を使うようになってから運び入れた設備である。その中の1室に星刻が金魚鉢と呼ぶ設備がある。完全な空調設備が付いていて酸素濃度・窒素濃度・空気圧等を完全に調整できる。本来なら医師の指導の下で専門技術者が使うべきだが星刻は自分で操作していた。医師は先日切り捨てた。


 さて、スザクが通信を切ったあともネットでは例の写真が話題になっていた。
やっぱり誰かが何とかすべきだと考えた者がスザク以外にもいた。

プロポーズ小作戦119

2010-01-09 23:27:43 | コードギアス
プロポーズ小作戦119

白虎隊のメンバーが自分の女装写真をお守りとして持っているのを見たときには、苦笑で済ませた(仮面の下なので見えないが)スザクだが、ことがルルーシュのドレス姿となると笑ってはいられなくなった。ゼロの立場としては一個人のブログを閉じろと命令することはできない。もちろんゼロの権威なら可能だが、その場合命令したこと自体が大きな問題となる。3代ゼロの中身が誰なのかが問題になるだろうし、悪逆皇帝をかばうような発言と見られてしまう。ゼロ・スザクが考えている間にもアクセス数は伸び、実のところいまさらサイトを閉じても意味が無い状態だった。
 シュナイゼルはともかく、(シュナイゼルは[ゼロに仕えている]のであり、ルルーシュは主ではない)、星刻もこの件について何も言ってこない。
(つまり政治的に大した意味は無いと判断しているのか)
星刻の判断はスザクにも理解できる。すでに死んだルルーシュの女装写真が出回ったところで政治には影響しない。
 問題はスザクの精神にあった。世界中の男の何割かがあの映像を見ている。悪逆皇帝の写真としてダーツの的にするぐらいならまだいい。いや、スザクの気持ちではそれも許したくないが、ゼロとしてはそれを認めなければならない。問題はそれ以外の使い道だ。ルルーシュはきれいなのだ。美人なのだ。はかなげで凛として、スザクの語彙ではこれ以上出てこないが、とにかくルルーシュは美しい。それも男の心をとろかすタイプの美貌だ。そのルルーシュの写真を男どもがナニに使うのか。
実のところスザクも例の写真を印刷してこっそり持っている。スザク自身はただ見つめるだけだが。

自分がへたに動くよりも知恵を借りた方がいいだろうと、スザクは星刻に電話を入れた。

プロポーズ小作戦118

2010-01-08 20:34:21 | コードギアス
プロポーズ小作戦118

この頃生きていた人のそれなりのやり方。

ここでまた少し寄り道する。計画性とは縁が無いサイトである。

『まるであの裏切り騎士、白き死神さながらの強さ』と
こんな風にマスコミに流されたゼロ・スザクだが、この時代どれほどの人間が3代ゼロイコールスザクと知っていたのだろう。
まず、騎士団関係、そしてブリタニア皇族、ゼロ・レクイエムの関係者は当然としても、他にもいそうである。3代ゼロの運動能力・ナイトメア操縦の癖、これを見ればナイトメアに関わる者ならば簡単に正体を割り出せるだろう。そんな風に考えるとこの時代3代ゼロの正体は、常識だったと見るべきである。
おそらくその常識の余波だろう。あのトーキョー租界へのフレイア発射は、事故の要素が強かったのではという意見が出始めた。もちろんゼロを始め黒の騎士団関係者はそれを否定したが、なにしろ証人がみんな死亡しているため事故説を完全否定することは誰にもできなかった。
 さらに、裏切り騎士のイメージを覆す資料が流出した。女装スザク、スザ子ちゃんの写真データである。
出所は元アッシュフォードの生徒。ルルーシュが記憶を改変されたとき、帰国させられた生徒の一人。帰国した生徒はほとんどがフレイアで死亡しているが、この生徒は悪運が強かったらしい。
この生徒のブログは大変なアクセス数を記録し、ナイトメア乗りにこの写真をプリントアウトしてパイロットスーツに潜ませるのが流行した。弾よけのお守りになるという噂があるためだ。
ご利益の有無はともかくとして、神社の息子だったスザクが神になるのは日本人には自然なこととして受け止められた。
 スザ子の写真をあげた元生徒は大量アクセスに気を良くしたのか、第2段をアップした。それはスザ子以上の反響を呼んだ。アッシュフォード一の美人と銘打ってあげられたのは、悪逆皇帝のドレス姿であった。


プロポーズ小作戦117

2010-01-08 00:52:45 | コードギアス
プロポーズ小作戦117

この頃生きていた人のそれなりのやり方。

ここでまた少し寄り道する。計画性とは縁が無いサイトである。

ゼロ・スザク
ゼロ・レクイエム(公式文書ではゼロ・革命)後、藤堂・扇の連名で正式に亡き2代目ゼロの後を受け継いだと認定された。ゆえに3代目の降臨日はゼロ革命の翌日である。この認定に星刻の名が無いのは歴史上の疑問とされていた。星刻すなわち中華は当初は3代目を認めていなかったのではと言われる根拠である。真実はゼロ革命後の10日間、星刻は日本の病院に入院していたため(病院のハイテク機器を利用して病床から指揮を執っていた)、目立つ言動を避けただけである。
 活動初期の3代ゼロは亡き2代ゼロの遺訓を継ぐように、政治の調整者として動いた。世界もそれを受け入れたが、すぐにあることに気がついた。ゼロの言動は全てシュナイゼルとリンクしていると。これではゼロはブリタニアの露払いにすぎないではないかと、各国がゼロの存在意義に疑問を持ち始めた。
 ゼロ・レクイエム後一人で世界を廻っていたCCの耳にもその声は入った。それゆえにCCは共犯者から預かったファイルを星刻に渡した。
 鞘を持つ国が中華に変わった時から、ゼロのやり方は大きく変わった。今までの政治の調整者の役割を止め、戦闘への裁定者となった。そのやり方は一見単純である。泥沼化している戦場の真っただ中に3代ゼロの愛機零で躍り出る。零は世界的に有名な機体である。ナイトメアに乗る者なら、軍人であれ、傭兵であれ、零を知っている。
まず、スザクは停戦をオープン回線で命令する。ここで、停戦すれば次はシュナイゼルや星刻が出てきて具体的な停戦の条件を決める。一応ゼロも立ち会うが、鞘を持つ国の宰相が完全にとり仕切る
では、停戦を受け入れなければどうなるか。ゼロの見ている場所で戦闘をすることになる。そして勝者が決まった時、ゼロはただ一機で勝者を撃つ。すなわちゼロが見下ろした戦場においては、勝者さえも生きて帰ることはできない。
当然、批判の声も出た。だがそれ以上にゼロの強さを恐れる声が大きかった。マスコミは書いた。
『まるであの裏切り騎士、白き死神さながらの強さ』と。
ゼロのやり方が世界に知れ渡ったとき、世界中の戦場で変化が起きた。傭兵が、あるいは正規兵さえもが大掛かりな戦場を嫌がるようになったのだ。命あってのものだねである。勝っても殺されるなら命令違反で処罰されたほうがまだましである。
結論だけ言うと、スザク・ゼロのやり方が知れ渡ってから大掛かりな戦争は半減した。
鞘を持つ国としての中華の面目も立ったというものである。

プロポーズ小作戦116

2010-01-02 14:11:49 | コードギアス
プロポーズ小作戦116

ご存じだろうか。2010年の日本の死刑の場合、最後のスイッチを押す刑務官は複数存在する。刑務官たちは自分のスイッチが死刑を執行したか否か知らない。当然死刑囚の遺族もそれを教えられたりしない。
この方法は扇が暫定総理に就任した後も継続していた。というのも扇は暫定政権がむやみに改革や変更をすべきではないとして、火急あるいは絶対に必要な場合を除き急激な改革を避けた。
この時期(2021/2/11)の世界でこのやり方は極めて珍しかった。
侵略国家ブリタニアの重圧から解放された世界はかっての栄光を取り戻そうとするEUや資源に物を言わせて勢力を拡げようとする中近東が幅を利かせ始めていた。どこの国も掲げるお題目は改革と平和の共存であった。では日本が素人支配の3流国と見られていたかというと、それは間違いである。
むしろこの頃世界は、日本を安定と安心を得られる唯一の国と見ていた。その証拠に日本への帰化希望者は世界のどの国より多かった。
そして、中華本国では公表されていないが、帰化希望者が一番多い国は中華であった。

そんな中華の現実的な支配者たる大司馬はつい先ほど人を斬ってきたばかりであった。これが何百人目になるのか数えるのも止めてしまった刺客。背後関係を部下達に洗わせた後、また見せしめとして一族郎党使用人に至るまで殺すことになる。
星刻だとて本心から『赤ん坊にいたるまで殺し尽くせ』と命じているわけではない。中華における星刻の権力は世界が見ているほどには安定していない。同族という基盤を持たない星刻は、どの勢力に対しても弱みを見せられなかった。
比較的安心できるはずの大司馬公館の中ですら、安眠できない。今の星刻にとって安心できるのはたった一か所。神虎のコクピットの中だけであった。