MY研究所

(えむわいけんきゅうじょ) ピアノの先生の日常と、音楽教室や音楽についてのお話。

自由曲の選曲 その2 ~グレード自由曲あれこれ

2008年10月21日 | Weblog
            
受験票には、自由曲として用意したレパートリーが
10~9級では3曲、8~6級では4曲、
記入されています。(ピアノ・Bコース)

3曲・4曲 苦も無く用意できる人もいれば
2曲でもしんどいのに~と負担に思う人も。
そんなわけで
ある時期に起こる現象として、こんなのがあります。
       
 【9級の自由曲】
「メヌエット」「きつつき」「トルコ行進曲」
他が およそ30秒で弾ける曲なのに対し
一曲だけ、その級にそぐわない、異様に長くて浮いた曲が。

発表会の曲です。
ちょうど、発表会が終わった後に グレード試験があるので
1曲、余分に弾かずに済むよう、
発表会の曲をそのままグレードに使っちゃえ
…という魂胆丸見えの レパートリーです。

当てませんよー。
舞台に向けて、長々と弾きこんだ曲は
それなり一旦は きちんと仕上げたでしょうし。
そんな曲を わざわざ聴こうとは思いません。
また逆に、発表会後も 延々 弾くことで
本人がうんざりしていた場合(←よくあることです)
かなり雑な演奏を聴かされかねない。
(――だからと言って、
「発表会の曲」は絶対当たらないかといえば
 そんな事は 無いのですけれどね。試験官によります。

ちなみに、今まで試験官をしてきた中で
 一番 仰天した出来事。
     ↓
グレード試験が終わった後の 講評の際
生徒さんに 質問することが あるのですが
私「ところで、今日弾いてくれた2曲目の自由曲、
  何分の何拍子の曲だった?」
生徒「えーと、8分の6?
(正解は2分の2拍子。4分音符の伴奏が続く曲)

・・・・・
本当に、弾いているだけなのだなあ、と思う時。

自由曲の選曲 ~グレード自由曲あれこれ

2008年10月20日 | Weblog
試験官をしている時
自由曲として用意された 曲のラインナップを見て
「う~む
と 頭をかかえてしまうことがあります。

自由曲の選択は 任意ですが
一応、その生徒さんの 
〈基礎技術力〉と〈表現力〉を見る目的がありますから
審査する側としては、
「いろんなタイプの曲を演奏してもらいたい」のですね。

従いまして
全部同じ作曲家の作品
全部同じタイプの曲
―― を 持ってこられますと、かなり評価に困ります。
        
以前、自由曲が「ALL グルリット
という生徒さんが いらっしゃいました。
まあ、同じ作曲家の作品でも 
元気な曲・静かな曲・リズミカルな曲・叙情的な曲
と いろいろなタイプで用意してもらえれば
一応、両極端のタイプを指定して演奏してもらい、
それぞれの曲を どう表現するか、見ることができます。
が、この時は みごとに 同じような曲ばかりでして
…それでも なるべく離れたタイプを指定しましたが
それを どちらも同じように淡々と演奏された日には
「この生徒さんは 表現力がいま一つ」
と 判断せざるを得ません。
はっきり言って、損な選曲です。

作曲家が違っていても 同じようなタイプの曲
これは、もっと大変です。
グループレッスンの生徒さんに多いのですが
『コミカル・トレイン』(グループの定番人気曲)
『きつつき』『マーチ』
あー… 元気そうな曲ばかりだ…

表現力は、せめて曲の中間部の変化に注目して…
というように見るのですが、まあ 大抵できていません。
『苦手でも違う雰囲気の曲を選び、それを表現しようとする』
努力が見えれば、それなり評価もできるのになあ。
かえって基礎的な技術のアラが目立ってしまうため
これまた、本当に損な選曲です。
        
「そういうタイプの曲が好きだから」というだけの理由で、
同じようなタイプばかりの選曲は しない方がいいですよ~
という、お話。

ピアノ演奏グレード6級 ~自由曲

2008年10月19日 | Weblog
            
ソナチネ~易しいソナタくらい。

全音楽譜の
『難易度別教本・曲集一覧』を目安にするなら
「中級・第3課程」となります。

《ピアノメトード(名曲編)6級》には
ベートーヴェンの「エリーゼのために」が入っていますが
これも 一つの目安になりそうですね。
            
バッハ 『2声のインヴェンション』
ハイドン~モーツアルトの ソナタ
メンデルスゾーン 「無言歌集」
シューマン 「アルバムの綴り」「子供のためのアルバム」
グリーグ 「叙情小曲集」
ショパン プレリュード(易しいもの)・マズルカ・ワルツ
ドビュッシー 「子供の領分」の易しいもの
チャイコフスキー 「子供のアルバム」


この辺りが、だいたい6級に該当すると思われますが

グレードハンドブック6級』の
課題曲(ソロ曲)を 弾く生徒さんもいますし
自作曲もOK
クラシックでなく、ポピュラーを弾いてもらっても
極端に(6級の曲として)外れていなければ
全然かまいません。

ディズニーの曲(中・上級アレンジの楽譜)を
弾いてきた生徒さんもいらっしゃいます。(もちろん合格)

ただ弾いただけの「バッハの インヴェンション」や
よれよれの 「ショパンのワルツ」より
きちんと演奏した
バッハの「メヌエットト長調(Anh.116)」
ブルグミュラー25の練習曲の「乗馬」
の方が
絶対に 評価は高くなります。

結局のところ
「どのくらい難しい曲が弾けるか」ではなく
その作品を どのくらい理解し、表現できるか」なのですね。

その生徒さんが、完成度の高い演奏をできる曲
  を 選ぶのが、一番良いのです。

ピアノ演奏グレード7級 ~自由曲

2008年10月18日 | Weblog
                
ブルグミュラー後半~易しいソナチネあたりでしょうか。

「ピアノスタディ」シリーズは
9巻からレパートリーの本がありません。
しかし、7・8巻(8級対応)の中のいくつかは
「ピアノメトード」の7・6級に入っている曲があり
7級の自由曲として持っていけます。
もともと、ピアノスタディのレパートリーは
次級にかかるように 組まれているのです。

《ピアノメトード(名曲編)7級》では
チャイコフスキー・シューマンなど
ロマン派の音楽が 入ってきます。

これで バロック・古典・ロマン・近現代 
全時代の作品が そろいました。つまり、
『偏り無く 全時代の作品を勉強してほしい』
わけですから
自由曲の4曲を選ぶ際には、
単に「違う作曲家・違うタイプの曲」というだけではなく
「各時代の作品」を 意識してほしいところです。

メトードに載っている曲の出典は、
だいたい同レベルと考えてよいでしょうから
同じ曲集から、別の曲を持っていくことも可能ですね。
    ↓
【バロック】
『バロックをひこう~インヴェンションのまえに』音楽之友社
18~24曲目が、だいたい7級くらい。

【古典派】
『ソナチネアルバム』易しいソナチネや小品

【ロマン派】
シューマン『子供のためのアルバム』の易しいもの
 楽しき農夫・小さな練習曲 など
チャイコフスキー『子供のアルバム』の易しいもの
 朝の祈り・新しいお人形・ポルカ など

【近現代】
カバレフスキー『30の子供の小品』
 ソナチネ・トッカティーナ など
ギロック『叙情小曲集』

あくまで 目安ですが
全音楽譜の本の 後ろに載っている
難易度別教本・曲集一覧』がありますね。
あれの〔初級・第2課程〕レベル
星印が付いていない(前課程と併用されない)ものか
星印が右についている(次課程と併用できる)ものは
7級の自由曲として 問題無いと思います。
(テクニック・練習曲・連弾 以外)

ピアノ演奏グレード8級 ~自由曲

2008年10月17日 | Weblog
                
Bコースの自由曲は、ここから4曲必要になります。

レベルとしては バイエル終了~ブルグミュラー前半くらい
基礎的なテクニックが しっかりついていないと
きれいに演奏できませんし
メロディーと伴奏とのバランス
フレージングや アーティキュレーション、強弱の指示など
『自分で考えて表現する』ことが必要になってきます。

みんなのオルガン・ピアノの本4
「みんなの~」シリーズ最後の本ですね。
部分的にブルグミュラーの一部が出てきたりしますから
『ブルグミュラー25の練習曲』前半の曲が
ちょうど8級レベルだともいえます。
(もちろん、原曲で弾いてもらって問題ありません)

ピアノスタディ7・8
バロック作品が かなり増えます。
従って、右左それぞれの役割を考えて
より美しいバランスで演奏することが大切。

ピアノメトード(名曲編)8級》vol.1~3
バロック・古典中心ですが
カヴァレフスキー・バルトークも入ってくるところが
面白いレパートリー集となっています。

不思議なことに、
ピアノスタディ7・8(8級)に載っている曲が
ピアノメトードでは7・6級の本に載っていたりします。
つまり、この辺りになると
同じ曲でも、完成度によって 上の級へも持っていける
という事が いえますね。

気をつけてほしいのは、
「強弱の指示が全くない作品」でも、表現が求められること。
フレーズについても同様で
スラーも スタッカートも書かれていない曲は
自分で フレーズをどこまで一息に歌うのか
切るなら、どのように切って弾くのか
考えて弾かなくてはなりません。

スタディとメトードは、曲が かぶっていても
表現の指示は違ったりしますので、
それも選択の 1つのポイントになります。


ピアノ演奏グレード9級 ~自由曲

2008年10月16日 | Weblog
            
グループ・個人ともに、ここから受験する人が多いです。
Bコースの自由曲は 10級と同じく3曲。
レベル的には、バイエル65番~90番台くらいです。
バスティンなら、レベル2くらい。
        
自由曲以外の課題には、調性に ニ短調が加わり、
自由曲の方では
スケールを含む(指くぐりの動きが出てくる)音型
重音の伴奏
対位法的な要素
より豊かな表現(強弱・アーティキュレーション)
という要素が 増えているように思われます。
        
《みんなのオルガン・ピアノの本3》
連弾の2曲を除く 20曲がレパートリーになります。
テキストとして使っている場合は、
終了時に そのまま3曲選び、持っていけるので便利。

ほとんどが、1ページに収まる短い作品なので
短期間に 用意しやすいレパートリー集です。
「お人形の夢と目覚め」の『子守唄』部分だけ、とか
「はじめての悲しみ」の最初の部分だけ、とか
長い曲を 短く易しく編曲しているものが多いです。
それだけに、丁寧に 表情豊かに仕上げないと、
という気がします。

《ピアノスタディ5・6》
ディアベリ・ストリーボック・グルリットが多く
ハイドン・ベートーヴェンとモーツァルトの小品が数曲。
後は、邦人の作品・民謡
バロックの小品が少々といったところ。
ほぼ古典派中心のレパートリー集となっています。

《ピアノメトード(名曲編)9級》vol.1~3
「スタディ」とかぶる部分もありますが
『名曲編』だからか、モーツァルトの作品がぐっと増えます。
テレマン・ヘンデルなどの バロック作品もあり。
        
あくまで目安ですので、これくらいを参考に
「わたしはピアニスト」(全音)
「ぴあの どりーむ」(学研)
「ミッキーのバイエル併用曲集」(ヤマハ)
など他の曲集から、だいたい同じレベルかな、
という曲を持っていってもよいと思います。

補足:自由曲に、調性の制限は ありませんから
  ト短調や変ロ長調の曲でも 問題はありません。

ピアノ演奏グレード10級 ~自由曲

2008年10月15日 | Weblog
                
学習者グレード、最初の級です。
昔からあるコースは 現在「Bコース」と呼ばれており
10級の 試験の内容は
「自由曲 3曲」 と
「長調3つ(ハ・ト・ヘ)短調1つ(イ)」
「和音は 1度と属7」 という範囲での
初見演奏・伴奏付け・聴奏(メロディーと和音)。

演奏する自由曲は、
ヤマハが10級程度と判断した曲を
なるべく かたよりなく、用意する必要がありまして
(グルリットの作品ばかり3曲、などは避ける)
「みんなのオルガン・ピアノの本2」
「ピアノスタディ4」
「ピアノメトード(名曲編) 10級」
だいたい このあたりから選択する先生が多いようです。
        
実際に使ってみた感じとしては

《みんなのオルガン・ピアノの本2》
曲が短く 易しいので、負担が少なく
小さい生徒さんの自由曲として、きちんと弾かせるのにいい本。

《ピアノスタディ4》
名曲・民謡・邦人作品・ヤマハオリジナル曲と
バラエティに富んでいて、選びやすい。

《ピアノメトード 10級》
ピアノスタディの中の、名曲だけ抜き出した感じ。
グルリットの曲が複数入っているため 選択の幅が狭い。

私の場合、
「オルガン・ピアノの本」と「ピアノスタディ」を
生徒さんによって 使い分けていますが
バイエルの曲や ウェーバーの『舟歌』などは
これらの本でなくても 載っていますから
発表会か何かで 使った曲集に載っていれば
わざわざ 試験用にテキストを買ったりせず、
それらを寄せ集めて 自由曲として 用意したりもします。

また
グレードハンドブックに載っている ソロの課題曲も、
10級の自由曲として 持っていけますので
こちらが気に入った子がいたら、弾かせることも。

ちなみに Aコースなら、自由曲は2曲用意しますが
グレードハンドブックの曲は Bコース同様
自由曲として使えますから
あと1曲ソロ曲(自由曲)を足し、
ハ長調の 初見演奏の練習をしておけば
そのまま 受けることができます。

学習者グレード ガイド ~グレードハンドブック

2008年10月14日 | Weblog
            
学習者グレードの 試験官をしていると
試験を受けにくるのは
その音楽教室に通っている生徒さんだけではなく
個人経営の音楽教室から 受けにこられている人も
少数ながら、増えているように感じられます。
(学習者グレードの申し込み用紙には、
 指導者について記入する欄があるので、
 そういうことも わかるのです。)

中には、以前 その教室を退任した後
自宅で教室を開いている 元同僚の名前を見ることも。
生徒さん、きちんと課題をこなしているから
きっと 今でも、いいレッスンをしているのだろうな。

しかし、もともとヤマハの教室でレッスンしていて
試験の内容も 準備の仕方もわかっている先生はともかく
別系統の音楽教室、或いは 自宅教室の先生方は
試験についての情報って、なかなか入ってこないはずです。
どうやって ヤマハの学習者グレードについて知り、
生徒さんを 受けさせることができるのか?

現在(グレードが A/B 2コースに分かれてから)は
『グレードハンドブック』という
ピアノ・エレクトーンそれぞれ10級~6級の
各級の要項となった薄い冊子が出版されています。

例えば、ピアノの10級を受けたいけれど
全く 何をどう準備していいかわからない、という場合

「ピアノ演奏グレード10級 グレードハンドブック」
を 1冊用意すると
Aコース課題曲の楽譜
自由曲の選曲についての参考(曲集名)
試験要項(A・B両コースについての 試験内容と順序)
実際の試験の 実施例
が 載っていますから、
何を用意すればよいのか、どういう練習をしておけばよいか
だいたい わかるのですね。

ヤマハのグレードは初めてという先生でも
10級程度であれば、この「グレードハンドブック」1冊と
自由曲用の楽譜で、試験には十分対応できます。

個人レッスン1周年。

2008年10月13日 | バイオリン
            
バイオリンのレッスンでした。

ちょうど、個人レッスンを始めて 1年目です。
いろいろ曲を弾いて、覚えたことはたくさんあるけれど
上達は…したような していないような。

先日 うっかり切ってしまった、右手小指は
素晴らしいスピードで 回復しつつあります
ただ
ぱっくり傷口が開いた状態で 乾いてしまい
痛くはないものの、気になって仕方ありません。
バイオリンの弓を持つ時も
どうも そちらをかばおうとしてしまい
弓が ふらふらしてしまいます。
適当に押さえると 弓が寝てしまう…

先生、
「音は綺麗なのに、なんで弓を寝かしてしまうのかねえ…」
と 首を かしげておられました。

ツナ缶で切ったとは いえませんでした。
      
現在のレッスンの課題は
《新しいバイオリン教本2》 から
O.Riedingの「コンチェルト」
《スズキメソード 3》から
バッハ?(はっきりしていないらしい)の「ガヴォット」
ドヴォルザークの 「ユーモレスク」
の 計3曲。

以前は 
「できたらここまで。できたら、でいいですから。」
と、遠慮がちに 宿題を出されていた先生、
最近は「やっていますよね?」(質問ではなく確認)
で 遠慮もへったくれもなく レッスンが進みます。

レッスン内容も、初めに比べると いくらか音楽的になり
強弱をつけるために 弓を使う長さを計算したり
スタッカートでも、いろんな切り方をするように
指示が細かくなってきました。

ささやかでも 表現がつけられるようになると
もう楽しいの なんのって。

来年の今頃は、何が弾けるようになっているかな。

今年の梅酒

2008年10月12日 | Weblog
            
完成しました。
今年5月末に仕込んだ、自家製の梅酒。
グランドピアノの下で 寝かせていた、あれです。

なんだかんだいって、結局 夏中ほとんど
バッハばかり弾いていたので
今年の梅酒は

90% バッハ 平均律・フランス組曲・インヴェンション~
5% ショパン プレリュードや ワルツなどの小品
3% シューベルト ソナタ2曲
1% モーツアルト 少々
1% グリーグ・カバレフスキー・ラヴェル・邦人作品
    その他お遊びで 自作曲とか いろいろ

を 強制的に聴かされて過ごすことになりました。

さっそく 飲んでみましたよ。(レッスンの無い日に)
なかなか 美味です。