MY研究所

(えむわいけんきゅうじょ) ピアノの先生の日常と、音楽教室や音楽についてのお話。

毒グモの踊り

2009年07月13日 | 音楽
『Tarantella』という曲があります。
タランテラ、或いは タランテッラ。

ピアノを習ってきて最初に弾く「タランテラ」は
ブルグミュラー25の練習曲中の1曲でしょうか。
オルガンピアノの本や ギロックの曲集など
探せば、結構あちこちに。

            
では「タランテラ」の名前の由来は?
南イタリアの都市「タラント」の名前からきている
毒グモ「タランチュラ」に関する伝説からきている
さて、どっちでしょう。

実は『どちらも正しい』ようです。

そもそも「タランテラ」は南イタリアの舞曲でして
南イタリア・プッリャ州の都市「Tarant(ターラント)
に由来するといわれています。
そして
そこは「南ヨーロッパ産タランチュラ」の生息地だったとか。

ちなみにタランチュラは体長2~3センチくらいの
その地方では やや大きめのクモです。
クモは見るのも嫌という方もいらっしゃるかと思いますので
写真は載せませんが、見たい方はこちらへ。→


その「ちょっと大きめ」の目立つお姿ゆえの伝説が
「こいつに噛まれたら毒がまわって踊り狂う、
 いわば『舞踏病』になる説」と
「毒にやられてしまわないためには
 必死になって猛スピードで踊るしかない説」。

まあ、その踊りが「タランテラ」というわけでして
「とにかく速く踊る」8分の6または8分の3拍子の舞曲
一時(15~17世紀)は大変流行したようです。

それが一旦すたれて、19世紀に再び楽曲として復活。
今度はそのスピード性ゆえに
「どうだ、速いだろう!」
と、演奏者の腕自慢的な作品が多く作曲されました。

実際のところ、同じ地方に生息する
1センチ弱のちびクモの方が、猛毒を持っており
南欧タランチュラの毒で人が死ぬことは無いそうなのですが

タランチュラくんにとっては
『姿が悪目立ちしてしまったが故』の
濡れ衣的舞曲なわけです