【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

雪の雀のお宿

2016-01-26 07:03:46 | Weblog

 普段から雪に慣れている地域では、おそらく今回の雪は「プラスアルファ」の評価でしょう。普段あるものが増量した、ということで「プラスの領域」は「プラスの領域」のままのはず。しかし、雪に慣れていない地域では「ドンデン」です。普段存在しないものに直面させられたのですから、「マイナスの領域」が「プラスの領域」に強制的にシフトされてしまったのです。これは衝撃です。
 そしてその衝撃を感じているのは、人間だけではないはずです。
 たとえば雀。普段雀のお宿になっている木が雪をこっぽり被せられています。雀の気配はありません。雪に不慣れな彼らはこの環境の激変の中、どこで餌を探し出し、どこで眠っているのでしょう?

【ただいま読書中】『鬼・鬼・鬼』高橋克彦 編、祥伝社、2002年、838円(税別)

 目次:「空中鬼」高橋克彦、「鬼を斬る」藤木稟、「大江山幻鬼行」加門七海

 「鬼」をお題とした200枚くらいの中編小説アンソロジーです。作品の時代はそれぞれ、平安、明治、そして平成。平安はわかりますが、明治や平成の「鬼」をどう料理するか、もし私が小説家だったらまずは頭を抱えそうです。
 しかし「鬼」って一体何なのでしょう? 現在「テロリスト」というレッテルが貼られたらどんな扱いをしても許される風潮ですが、それと同じように「鬼」というレッテルが貼られたら、もうなぶり殺ししか期待できません。酒呑童子や桃太郎をみたら明らかですが、証拠とか反論とか公正な裁判とかは一切存在しません。それどころか、「本当に鬼か?」「本当に鬼だとしても、鬼には鬼の言い分があるのではないか」なんてことをうっかり口走ったら、「鬼の眷属」として「人間」もまたなぶり殺しです。
 やれやれ、「鬼との共存生活」はなかなか大変そうです。