誰も通らぬ林道の脇は ミゾソバで埋まり
ヤノネグサが混ざっていた
林道を被るヒキオコシは
クロバナヒキオコシであった
小さなクロユリを思い出させる暗い色の花だ
葉がカメの甲羅の形 カメバヒキオコシもあった
花は 明るい紫色
観 察 月 日 2013 9.11.曇 25℃
観 察 場 所 群馬県 水上町
「これ、ヒキオコシですよね」Yさんが振り向いた。
草全形はそうだし、葉も茎もそうだが花の色が暗紫色だ。
そうだろうが自信がなかった。
「葉を口に含んで噛んでみましよう」二人でやって見ると、口の
中にヒキオコシ特有の苦味が広がり、その仲間には間違いなか
った。
Yさんは、「ヒキオコシがあったら・・・」と奥さんに頼まれていた
のだと言う。
“昔のこと、弘法大師が山道に差し掛かると、一人の行者が苦し
がって倒れていた。それを見た大師は、道端に生えていた草の
葉を採り、そのしぼり汁を飲ませると行者は忽ち回復し、元気に
起き上がったと言う。”そこから、ヒキオコシの名が、又、別名
“延命草”の名が付けられたのだと言われる。
翌日、水上の奥にある林道に入ると、根株より1mもの茎を
10本以上も伸ばしたヒキオコシが、続いていた。調べて見ると、
クロバナヒキオコシで、日本海要素の植物であった。
ここの山中は、有数の豪雪地帯で、10月も末になれば雪が
降り出し、植物達は雪に埋もれてしまう場所なのである。