観察月日 2019.10.20.晴 21.5°
観察場所 厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)
今年の年賀状には、“ミゾソバの花に来たホソヒラタアブ”を取
り上げました。
ミゾソバは湿地に生える野の草で、田んぼや水辺でよく見られ
る。草丈は0.3m~1m程で、よく群生し、保全センターの湿地に
はそれが見られ、見事だ。
和名は、江戸時代には付いていたらしく、暮らしに重要な“そば
の花”と似て、溝に生えている事から付いたのだろう。この他”ウ
シノヒタイ(葉の形から)、カイルグサ(カエルが住んでいるから)、
コンペートー(花の形から)、等よく目にする名前だ。
日本植物方言集成を開き、全国各地の方言名を数えて見たら
100以上に登り、農村の大人や子供に、日常的に親しみのあった
植物であった事が伺い知れる。
花は小さく花弁状の蕚片は5裂し、先を紅色に染め、集合花で
目を引く。
ところが開花の様子を見ると、雄蕊雌蕊を出しているのは1~2
花で、寂しい。訪れる昆虫を見ると、もの静かなホソヒラタアブで、
静かに飛来し、静かに止まり、静かに花粉を食べる。花を全開し、
元気なマルハナバチが訪れ、花の上を賑やかに走り回るそれとは、
対称的だ。
長い時間と歴史の中で、花も虫もそれぞれの個性を生かし、命
を繋ぐのに最良の方法を見付けだした様に思えるのだが、どうだ
ろうか。
今年の年賀状の原画。
ミゾソバの群生。
アブの仲間は、花粉を舐める・・・・・・!
ヒラタアブは静かだ。
小さな花に蜜を求めての写真には、敵対視を感じるなどあろうはずもない。 生き物の本能、強さを思う。