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足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No. 1637 ~ 玄倉だより4月 ~

2019年05月06日 | 植物

観察月日  2019.4.14.晴後曇 14℃

観察場所  山北町 玄倉

秦野林道を小菅沢橋まで登ると視界が開け、笠らしき雲を被った

富士山が西の空を埋めていた。丹沢湖を囲む山々は新緑の季節

なのに、赤紫色のベールに覆われて見えるのは、木々の芽が紫

外線をガードしている為だろうか。それとも、山には予測を越える

程にサクラの木が多く、満開の花弁が山を染めているのだろうか。

林道を歩くと、木の芽、蕾が目に飛び込んでくる。昨年確かめた

キハダは、総苞のステージの上で蕾と葉が踊り上がっている様

に見える。又、裸木の枝先を、淡い黄色の花束で飾るのはエンコ

ウカエデだ。

小菅沢橋の欄干に、川岸から伸び上って来たオニイタヤは、花が

開いたばかりで、既にハエの仲間が来ている。ポリネーター

の役目をしているのだろうか。

橋の手前の林道脇で、猛毒植物として有名なドクウツギを以前見

付けたが、刈り取られたのかその後、見当たらなかった。だが、そ

こを通る度に気にはしていた。

「ドクウツギ 見つかりましたよ」と知らせてくれたのはRさん。以前

の所へ行ってみる。雑木が絡み合っている中に、素性良く1.5m程

に真すぐ伸びた茎、幾つも連ねてある越冬芽より、湧きでる様に、

溢れ出た、穂状の蕾があった。

“毒草を食べてみた”の書名の本があり、著者はドクウツギの実を、

食べた時の事を書いている。知人に頼んで手に入れた若い実を

Ⅰ粒口に放り込んで見た。果肉は硬くてシャリシャリし、青い酸味

があった。種子をかじると白い核に当たった。それは吐き出し、そ

うこうしている間に眠くなり、横になるといつの間にか眠りに落ち、

やがて目が覚め頭を持ち上げると、ふら付き、又眠りに落ちた。

・・・・・。神径に作用する毒の主成分の致死量は、体重1kg当たり、

僅か0.5mg。

さて!今年の玄倉のサクラは満開で、集合写真は何年振りにサ

クラをバックにした。そして、恒例のお団子をみんなで食べて、幸

せを満喫した。

 追記 著者が猛烈な毒性を知ったのはある中毒事件で、ケイレンと意識不明

の繰り返し、のたうちまわる悪夢の症状であったと書かれている。

山にサクラが多い。

キハダ の 芽立ち。

エンコウカエデ。

オニイタヤ。

ドクウツギ。

仲間たち。

花とお団子で幸せ。


No. 1636 ~ 不動尻下見に ~

2019年05月05日 | 植物

観察月日  2019.4.13.晴 15℃

観察場所  厚木市 不動尻

今日は、ミドリのトラストの観察会の下見に、山の神川

沿う林道を不動尻まで歩いた。

今年は伊勢原市内で見ているソメイヨシノの開花が遅か

ったが、大山山麓の広沢寺ではそれが4~5分咲で早か

った。それから2週間余り、今日は満開で、その向うに新

緑の鐘ヶ岳が聳えている。以前からこの林道は歩いてい

るが、それは鐘が岳へではなく、大山三峰へ登るか、大

山の唐沢峠からの下山に通っていた。

一つ、二つ・・と数を指で示す様な、ホウノキの開葉の面

白さを横目に、花を付けたニガイチゴは、イングランド風

の庭園を造り、浸み出した泉にはルリシジミが集まって

いる。 

車止めのゲートを過ぎると、今まで目に付かなかったケ

マルバスミレの白い花の群落があり、ルーペで見ると花

の側弁に毛があり、ヒゲケマルバスミレなのだろうか。

トラストの観察会の目玉は、ハルユキノシタの白い花の

大群落に出会う事なので、今日はその状態を確かめよう

と、先を急いだ。

岩陰にカントウミヤマカタバミが白い花を開き、紅紫色の

エイザンスミレが微笑み、そして開花にジャストミートした

ヒナスミレの淡いピンクの花にカメラを向ける。

その時、渓谷から“チッチィ、ピルルル・・・・”と細かく、甲

高い囀りが聞こえた。縄張りを告げる ミソサザイの雄だ。

レンズを向けると、大きく開いた嘴、口の中の赤色が目に

飛び込んで来た。

サクラが 満開だ。その向うに鐘が岳が。

ホウノキの開葉が面白い。

ニガイチゴ。

ケマルバスミレ。

ヒナスミレ。

カントウミヤマカタバミ

ミソサザイ。


No. 1627 ~ 玄倉だより3月 ~

2019年03月22日 | 植物

観察月日  2019.3.10.晴 10℃

観察場所  山北町 玄倉

富士山頂から少し離れた右上にレンズ雲があり、それが富

士の山腹にねずみ色の薄い影を落としている。

 湖に目をやると、左岸近くにオシドリの群れがいて、近くに

いる釣り人を気にしていない。それなら〝少しは、近付けるか

“と車道を急ぎ足で行ったが、オシドリはいち早くそれを感じ、

岸を離れて泳ぎ出した。

 元センターの庭のミツマタは花盛りだ。「もう花に、ワカバグ

モが来ているわ」Rさんが呟く。まだ花に来る虫は見掛けない

のに、落葉の間で越冬していたワカバグモは、ミツマタの春を

感じ木枝を登って来たのだろうか。

 バス停の前には、いつも見慣れている山があり、季節によっ

て、桃、若葉、濃緑、赤、焦げ茶と衣替えをするのを楽しみにし

ている。

 「あら、山頂付近が黄色に染まって見えるが、何かしら?」O

さんが見上げている。

 来月になると、ヤマザクラが点々と咲き、山肌を桜色に染め

るのだが、今は焦げ茶一色で、山頂付近が黄色に染まって見

えるのは不思議な事だ。今まで一度も話題に登った事がない

“出来事”と、双眼鏡で皆がそこへ“ピント”を合わせた。

 「ミツマタの花だ」「高木のない所が、黄色よ」「いつ、あの山頂

に登ったのかしら」「・・・・・・」皆それぞれに驚きの声を上げた。

丹沢ではミツマタが急速に増えている様に思えるのだが、これ

も自然の成り行きというものだろうか。

 林道を詰めると「ウオん、グウウ、・・・」の鳴き声が岩間にする。

タゴガエルだ。今年の産卵期は雨が少なく大変だったろう。卵塊

も見え、卵径3.0mmとカエルとしては大きく、45卵と数は少な

かった。

オシドリは岸から離れた。

ワカバグモ

目の前の山

山頂の ミツマタ。

フサザクラ 咲き始める。

タゴガエルの卵塊。

3月の 仲間たち


No.1626 ~ 雨で春は進む ~

2019年03月19日 | 植物

観察月日  2019.3.9.晴 13℃

観察場所  清川村 宮が瀬

 谷川の水は止まり、湖の水位も下がり、ほこり色の山々、

“雪の無い2月”を書いた頃は、生き物達が耐えている姿

が見えた。その後何度か雨があり、湖の水位は余り変わ

ってはいないが、山々のほこり色は取れ、木々の枝先は

ほんのり紅く染まり、春を感じる景色に変化した。

 先ずは私達を迎えてくれたのは、キタテハだ。枯葉の中

で寒さと乾燥に耐えていた彼女も、季節の変化に感じて飛

びだして来たのだ。そして、ススキの枯葉のやぐらに止まり、

羽を開いて太陽からのエネルギーを何カ月振りに吸収して

いるのだろう。

 谷川が枯れ、♀を待ちわびていたヤマアカガエルの♂達は

どうしているか、橋の上から覗いて見た。

 「すごいですよ!水面全体が黒く変わっていると思ったら、

それが全部卵塊ですよ!」とRさん。雨に誘われて♀が出て来

て、産卵したのだ。それにしても、卵塊の数の多い事、その数

だけ、♀がやって来た事になる。

 林道脇の斜面では、アオイスミレが花柄を四方に伸ばして花

を付け、ヤマネコノメも雄蕊を伸ばし黄色に染めている。落葉に

紛れていたムカゴネコノメも花を付け、4枚の蕚片を箱型に直立

させ、8個の雄蕊が黄色の葯を付け、小人の国のお弁当箱に見

えた。

 成虫越冬したテングチョウが飛び立って、ハコベの花にストロー

を伸ばし、ルリタテハは、白く浸み出したコンクリ壁に止まる。

 「この幼い草、何だったかしら?」Rさんが呟く。私は頭の中のフィ

ルムを昨秋まで戻す。「そうだメハジキだ」花の時期以外は目に止

まらないものだ。

迎えてくれたのは、キタテハだ。

ヤマアカガエルの卵塊で溢れていた。

アオイスミレ

ヤマネコノメ

ムカゴネコノメ

ユリワサビ

ハコベの花の蜜を吸う テングチョウ。

ルリタテハ

メハジキ


No. 1625 ~ 雪のない2月 ~

2019年03月02日 | 植物

観察月日  2019.2. 26.曇 9℃

観察場所  清川村 宮が瀬

 

 宮が瀬湖周辺の林道に雪がない。路面を掃除した様に落葉

もない。昨年の2月の写真を見ると雪が凍り、私は転倒防止

のためチェーンスパイクを付けて歩いていた。

 この前Sさんから「丹沢に雪の無い冬、おかしいですよね」

と話し掛けられたが、そのままの景色だ。

 湖を見下ろすと、10m程水面が下がっている様で、湖の底

に沈んでいた立ち木がそのまま表れ、林を作っている。山全

体も乾ききっていて、ほこり色に見える。

 春一番に、季節のページを捲る生き物達は、大変だ。

「ヤマネコノメソウが、小さな花を付け始めたわ」Rさんが指先

で軽く撫でる。花は開いてはいないが、雄蕊の先の葯が黄色

く覗いているのが見えた。

 徳川の葵の紋の形をした葉を持つアオイスミレも、やっと小

さな蕾をもたげ始めている。

 林道から湖へとがれ落ちている急斜面には、パイオニア植

物のフサザクラが林立し、枝を広げ合っている。枝の節々に

は羽を付けた種子が房状に、びっしりと付けている。フサザ

クラの花芽も膨らみ鱗片が弾き始めている。

 小淵沢橋から下を覗くと、沢は枯れ小さな水たまりだけにな

っている。そこには沢山のヤマアカガエルの雄が集まり、雌の

来るのを待っていた。例年なら産卵の時期なのだが、雌は出

て来ないのだ。雨の降るのを土の中で待っているのだ。

林道に 雪がない。

2019.2.24.昨年の様子。

水面が10m位下がったのか。

早春に咲く、ヤマネコノメソウ。

アオイスミレも小さなつぼみ

を。

フサザクラの蕾が膨らむ。

沢は枯れて・・・

そこに、ヤマアカガエルの♂が 集まった。

★ 雌は まだ出て来ない。 なぜ?