2009年10月のブログ記事一覧(2ページ目)-ミューズの日記
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<あれも聴きたい、これも聴きたい> テノール+村治 佳織=シューベルト 歌曲集
 去年の2月13日、この“ミューズの日記”に私は以下のようなことを書いた。
『ギタリストの名技性ばかりがクローズアップされたコンサートでなく、小さなホールでよいので、このような質の高い、そして品の良い音楽会というものがもっとあったらいいのにと思わずにはいられない。たとえばラゴスニックとペーター・シュライアーによるシューベルト作曲「美しき水車屋の娘」のようなコンサートのように。』
 これがなんと今回村治佳織さんの演奏で実現した。会場は岡山。お相手はドイツの若手テノール歌手「ヤン・コボウ」さん。当然私は知らなかったが、既に室内合奏団の一員としてバロックの宗教曲などを演奏するために何度も来日したことがあるとのことであった。だからそちらの方面に詳しい方であれば既にご存知の歌手なのかも知れない。
 今回のプログラムは村治佳織さんのギターに加え、この “ヤン・コボウ”さんのテノールでシューベルトの有名な歌曲集「美しき水車屋の娘」から6曲が選ばれコンサートの冒頭を飾った。ピアノ伴奏譜をギター用に編曲したラゴスニックが自らギターを弾き、シュライアーが歌った演奏は昔レコードでも聴いたし、現在ではCDでも手に入れることができる。そしてお二人が来日したときテレビでも全曲放送したので、確かビデオにも撮ってあったと思う。しかしこのようなコンサートを生で味わうのは今回の演奏が初めてである。ヤン・コボウとはどんな声の持主なんだろうとか、どんな表現をするのかとか、また村治さんのギターは「シューベルト」をどのように表現してくれるんだろうと、開演まえから期待と共に僅かな不安が入り混じって、いつものギターのコンサートにはない緊張感を味わった。

 リハーサルは開演前2時間半ほど前から始まったが、このデュオでのコンサートツァーは既に4回目(最終回)とのことなので、手馴れてきたのかお二人の息はぴったり。それにしてもなんとヤン・コボウさんの声の若く美しいことか。当然表現も生き生きとしてこの曲集を歌うにはまさにうってつけのようだ。村治さんのギターは本家ラゴスニックより溌剌としてスピード感があり、音色がこれまたなんとも美しく響く。この演奏をリハーサルから聴けるということのなんという幸運。会場のいろいろなポイントで聴いてみたが、両者のバランスがとてもいい。通常であればギターに比べ声の方がはるかに大きいはずなのだが、ヤン・コボウさんはその経歴からか相手の音量に合わせて大変よいバランスで歌う。この演奏を聴いていると、村治さんが本番でもお話されていたが、シューベルトが作曲はギターでやっていたということがうなずける。シューベルトは作品としては最終的にピアノ伴奏として残しているので、当然オリジナルはピアノということになるのだが、リハーサル、そして本番と聴いていくうちに、やはりこの曲はギターで伴奏する方がその内容によりふさわしいのではないかという気がしてきた。高尚な芸術性を感じさせるピアノ伴奏より、ギターの素朴な音で、とつとつと、またしみじみと演奏された方がよりこちらの心に迫ってくるような気がする。もっと言わせてもらえば歌手がギターを小脇に抱え、弾き語りをしてこそよりその真価が味わえるような作品なのではないだろうか。(全てとはいわないまでも、絶対にその方が良いのではないかと思える曲がこの曲集にはたくさん含まれている)
ラゴスニックの演奏は明らかにピアノとは一線を画してテクニック的に無理をしていないが、村治さんはそこのところはできるだけオリジナルを尊重し、「ギター故にこうなった」ということは避けたい、とのことであった。従って各曲の速さやそれぞれの表現は、長くオリジナルを聴いてきた耳にもまったく違和感なく聴くことができた。
アンコールもまたシューベルトの「野ばら」や今回演奏した歌曲集のうちのその他の曲を含めて全部で10数曲、じっくりとギターの伴奏で歌曲を聴くことができた。

ヤン・コボウさんの美しいテノールに最後までうっとりと聴き入ってしまったが、村治さんのギターはそれを上回る芸術性溢れる表現の連続だった。特にギターならではの音色の変化は絶妙で、まったくもって見事というほかない。この日の村治さんの演奏は、他のシューベルトの歌曲を歌う歌手や伴奏をするピアニストたちが羨むのではないかと思えるほど表現の幅が広く、まさにギターでしか味わうことのできない表情が、過不足無く、しかも節度をもって暖かく表現されたのは本当にうれしかった。今後「村治さんの伴奏でこの曲集を歌いたい」という歌手が増えてくるのではないだろうか。それほど彼女のギターは伴奏芸術としても完成度が高く、新しい「美しき水車屋の娘」の魅力を聴くことができた。それはそのほか当日演奏されたメルツやレニアーニ、そしてタレガ(シューベルトの楽興の時の編曲)といった最近まであまり演奏されることの多くなかったロマン派の音楽(独奏)についても同様。
これらの音楽は、以前の我々にとっては感情移入が激し過ぎて、自己満足的な、いわば一つ間違えば「甘ったるくて、くどい」二流音楽という印象が強く、私も進んで聴きたいとはあまり思わない分野であった。しかし村治さんの清潔感あふれた節度ある表現により、まさに古き良き時代に花を咲かせたひとつの芸術として素直に耳を傾けることができたし、当日来られた聴衆の方達も(ギターではなく声楽ファンも大勢来られていたと推察する)充分ギターの魅力を味わうことができたのではないだろうか。
尚、このヤン・コボウさんとのシューベルト歌曲集は、関東では一度全曲演奏をしたそうで、そのときNHKが収録をしたので、近日中にBSハイビジョンで早朝放送されるとのこと。オリジナルではないかもしれないが、ギターでシューベルトとは、なんと誇らしいことではないか。ぜひご覧になってください。
内生蔵 幹

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昨日、酒井康雄ギターリサイタルに行って来ました。
台風の接近で荒れた天候だったので、コンサートが実施されるのか、中止にならないかとの電話問合せが何件も入っていましたので、ご来場者が少ないのではないかと心配でしたが、上々の入りでした。
流石に酒井先生はギター界以外にもお顔が広く、歌の方、ピアノの方など普段のギターコンサートでは見かけないような方々も大勢お見えになっていました。

酒井さんは2本のギターを手にステージに登場されました。1本は長年愛用されているホセ・ルビオ、もう1本は昨年完成した加納木魂さんの630mmの傑作です。
先ずはルビオでタレガ前奏曲2番と5番を演奏されたのですが、第1音を聴いて驚きました。なんと大きな音で会場全体に響き渡ることか!以前にも書いたことがあるのですが、楽器と腕(銘器と名手)が揃うとこれ程違うものなんだと改めて感じました。そして、当夜の一番の冒険と酒井さん本人が言われた「バッハのトッカータとフーガイ短調BWV565」もルビオで素晴らしい音で聴かせてくれました。これは原曲はニ短調を酒井さんがギター用にイ短調に編曲したもので、見事なギター曲として聴かせてくれました。

そして、池辺晋一郎作曲「ギターは耐え、そして希望し続ける」を加納ギターに持ち替えて演奏。第1音が出たときに驚きました。マイクが入っているのかと思うほどの音量で聞こえてきたんです。ルビオに引けを取るどころか、それ以上に鳴っているんです。しかも、酒井さんは言わなかったのですが、弦長が630mmなんですよ。以前から、「上手に作ってあれば、630mmでも標準サイズに比べて鳴らないと言うことはありませんよ。」と言ってきましたが、昨夜でそれは正真正銘、証明できた思いです。確かにルビオは長年弾き込んで来た音色、絞まった音、密度の高い音がしています。加納ギターは昨年出来たばかりの楽器です。それでこれだけのホールで通る音、ホール全体に響き渡る音、しかも630mmで、と本当に驚きました。ショートスケール推進委員の私としても新たな認識と興奮を覚えました。私自身も現在加納さんに630mmを注文してあり、益々完成が楽しみになってきました。

第1部最後はタレガの「ヴェニスの謝肉祭による変奏曲、序奏、主題と9つの変奏」。また第2部のトップに「アルハンブラ宮殿の想い出」、メンデルスゾーンのヴェニスの舟歌、カンツォネッタと、タレガの編曲が続きます。これはタレガの没後100年に因んでのこと。
最後の2曲は、クチェラの「日記」~チェ・ゲバラ参加~とイルマルの「バーデンジャズ組曲」とチェコの作曲者二人の作品を取り上げました。
クチェラを再び新しい加納ギターで演奏されました。酒井さんは若い頃から同年代の作曲家集団の作品発表演奏会などを含め、昔から現代曲への取り組みをされてきた人ですから、現代作品を演奏させたらこの当たりでは彼の右に出る人は居ないでしょう。奇を衒った音の遊びではなく、しっかり歌わせて聴かせてくれました。最後のバーデンジャズ組曲はよく弾かれる曲ですが、きれいに、くどくなく歌い、新鮮さを感じさせる好演でした。
また、酒井さんのトークがいいですね。豊富な知識をバックグランドに、これまたくどくなく、楽しいお話と演奏で本当にいい演奏会でした。

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お久しぶりです。スタッフの関谷です。

9月4日は東海テレビ「ご縁です」の放送で、ミューズ音楽館が紹介され、ご覧になった方もたくさんいらっしゃると思います。お電話やメールを下さった方、ありがとうございます。奥さんも、行く先々で「見たよ!」っていわれたとか・・・
特に、男性にニヤニヤしながらいわれるのはちょっと・・言ってみえましたけど。(ご覧になった方はわかりますよね~
で、放送後に「あの西川さんの後ろに映っていたミニチュアは売り物ですか?」という問い合わせが相次ぎました。「ん~、そっちかい」って感が無いわけではないのですが、やはりメディアの力はすごいのねと思いました。
なにせ、9月末に他の地域でも放送があったらしく、京都や神戸からもご注文がございました。
会員の皆様には、会報にてお知らせしておりましたが、これはホームページにも載せようということになり、今回アップするにいたりました。

ホームページの「ミューズギターショップ」の「ミニチュア楽器」で見てくださいね。この値段にしては、なかなかの作りになっています。
ちょっとしたプレゼントにも最適です
ところで、あの「ご縁です」は東海以外はどこまでご縁をひろげてくれたのでしょう?ここが遠そうな地域だよって、良かったらコメント送ってくださいね
そして、機会があったらダンディ(?)な社長とステキな奥さんに会いに来てくださいね。



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皆さんはインターネットTVってご存知ですか?
普通のテレビ番組をインターネットで見るのではなく、ネット専門のテレビ番組があるんですね。今回フラメンコ・ギタリストでミューズの講師の一人である池田浩さんに教えて頂きました。毎週水曜日の20:00から生番組で放送しているとの事です。そして来週の水曜日(10/7)夜8時からは池田浩さんがゲストで出演するそうです。

見る方法は下記URLに接続するだけです。よろしかったら是非見てください。
http://www.stickam.jp/profile/cment
ネットに繋げると下記紹介があります。

『名古屋音楽交差点①』
毎週水曜日 20:00〜20:55 生放送!!
東海地区の音楽好きが集う、
台本なしの感覚的インターネット音楽番組
司会:gorico & NABEX

- 番組内容 -
「哲也の部屋」
毎回ゲストを通じての音楽交流やイベント、店舗紹介を主に取り上げていく。
「gorico & NABEX XX PUP 」
名古屋音楽交差点スタッフが選ぶおすすめライブや音楽を紹介していく。
「ガールズ&クリック&ロッケンロー」
女子についてテーマを決め語りまくる男談義。ゲストでグラビアアイドルやモデルがたまにやってくる。


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