先日の日曜日に春日井市民会館で中部日本ギター協会主催の『アンサンブルの集い』があり、12団体が出演されました。最後はゲスト演奏と言う事で当協会の会長でもあるギタリストの酒井康雄さんがお弟子さん達と二重奏と四重奏を披露したのですが、その時に酒井さんの音が飛び抜けてよく聴こえて来ました。
終演後の会話でも他の皆さんも同様の感想を漏らしており、『やはり楽器の違いと腕の違いだな』と言う意見で一致しました。
因みに酒井さんの楽器は1968年のホセ・ルビオ。今日もミューズに酒井さんが明後日のコンサートの合わせ(マリンバとの二重奏)で来られたので楽器を見せて頂きましたが、音が凄く絞まっているんですね。並みの弾き手では鳴らし切れないほど硬く密度の高い音質なんです。弾いている手元ではそれ程鳴っていないんですが、ああ言う大きなホールでその威力を発揮するんですね。因みに春日井市民会館は1,145名入る、ギターには大きすぎる会場です。その会場で見事にいい音色で聞こえて来るんです。
早速翌々日の火曜日に酒井さんと一緒に演奏したお弟子さんの一人がロマニロスと国産100万円クラスのギターを弾かせて欲しいとやって来ました。ご自分のギターも持参して弾き比べをしたのですが、やはりロマニロスは絞まった音、密度の高い音でしっかりと聞こえてきます。その時に思い出したのが、私がまだ20代の頃、イエペスのレッスンを受けたときに、マエストロが『もっとDensity(密度)のある音を出しなさい』と言って、私のギターを手に取り、音を出してくれたのですが、これが私のギターかと思う様な凄い音が出たのを思い出しました。
つまり、楽器の違いと腕の違いが音に大きく影響するんですね。
ただし、絞まった音、密度の高い音は一般的には硬い音になるわけで、鳴らすにはしっかりしたタッチが必要になります。従ってアマチュアの愛好家には手ごわい楽器ということになります。勿論、ガチガチに硬くて鳴らない楽器の事ではありません。楽器としての程よい響きもあり、且つ絞まった密度のある音と言うことになります。よく遠達性のある音と言いますが、その音ですね。プロやハイ・アマチュアの会話に『こっちの楽器の方が遠達性がある』とか『こちらの方がホールで通る音だ』などと言う話が出てきます。まさしくその事なのですが、いろんな楽器を数多く試奏する中でその違いが分かるようになってきます。皆さんもミューズに来た時にはいろいろと試奏してみてください。そして『しっかりしたタッチ』とはどういうタッチなのか確認してみてください。
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