徳島ギター協会20周年記念コンサート - ミューズの日記
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<あれも聴きたい、これも聴きたい> 徳島ギター協会20周年記念コンサート
 もはや徳島ギター協会とは抜き差しならない関係に陥っているようだ。2・3週間前、徳島在住のT-hernさんことボーカル&ジャズギタリスト田中章弘さんから電話。「来てくんない?」の一言と「前の日の5時からリハなんだけど・・・」の二言で、もはや前日からのスケジュールが決定されてしまった。それは2月14日(日)、徳島ギター協会が創立20周年を迎えるにあたって開く記念コンサート、題して“これがギターだ!”へ「手伝いに来い」ということらしいのだ。当然お泊りは田中邸ということになり、13日の午後、150キロの道のりを、まずは一路徳島市郊外の田中邸へ。しばし休憩ののち会場である「あわぎんホール」へ。
 私の出番は第1ステージと第3ステージ。第3ステージの方は、全てギタリストの高田元太郎氏がギターを担当しているタンゴバンド「トリアングロ」の演奏ばかりなので、マイクとイクリプススピーカーを一度セットしてしまえば、もうあとは演奏者にお任せでいいんだが、問題は第1ステージだ。ギター三重奏あり、二重奏あり、さらにギター伴奏による歌、しかるのち最後にギターのソロと、めまぐるしくプログラムが変わる。この演奏形態が変わるということが何を意味するかというと、マイクとスピーカーの位置が一遍では決まらず、毎回セットしなおさなければならないということになるわけだ。えれぇこと引き受けちまったもんだ。そもそもこのPAシステムは、結構ビミョーなマイクセッティングをしなくちゃなんねぇってのに、出し物が変わる度にステージへ出て行ってマイクを動かし、スピーカーを動かし、演奏者に合わせてマイクの位置と向きを調整しなくちゃならねぇ。「そんなこと聞いとらへんぜよ」とおかしな高知弁に少し名古屋弁が混じったボヤキもでちまうところだが、時すでに遅し。自分はこの任務を引き受けて徳島まで来てしまっている。とにかくあれやこれやあわただしくステージの準備をし、その日は9時過ぎに終了。
 一夜明け、さあ運命の14日、本番の日が来ちまった。なにしろ出演者の多いコンサートゆえ、朝の9時からリハーサルが始まる。それが終了したのが12時半。これで終わりかと思いきや1時半からが本番。こちらは既に結構バテちまって「ええかげんにせえよ!」といいたいところなんだが、私もいっぱしの大人。打ち上げの料理の質に影響してはいけないと、そこはぐっとこらえて「みなさん、頑張ってね」と励ましのお言葉をかける。
 本番は、まず最初に徳島ギター協会合奏団(協会員11名による)がレクオーナの名曲「ラ・コンパルサ」「アンダルーサ」「マラゲーニャ」の3曲を演奏。
歳は取りたくねえもんだ。私の耳もモウロクしちまったらしい。何年か前この合奏団の演奏を初めて聴いたころに比べて、なんだかアンサンブルが上手くなったような気がしてしかたがない。次に続くは「芝 由美子さん」という、徳島ギター協会にはまったくもって似つかわしくない美系フルーティストをソロに迎えて(もっとも最初のラテンのメンバーにも入っておったが)かの大モーツァルトの作曲したフルート四重奏曲を、独奏フルートとギター6人で演奏してしまうという暴挙、いや快挙?をやってのけちまった。普段何を食ったらそんなことを考え付くのか訳わからんが、もはや我らが感想を述べるレベルをはるかに超えて、さすがに皆さん苦しそう、いや楽しそうに弾いておりました。そして次は徳島大学の学生三名が武満徹作曲の映画音楽「不良少年」を演奏。なんともかわいいお嬢さん二人と男子学生一人による楚々とした音楽を聞かせてくれた。これからもギター頑張ってね。そして続くは浅田省吾、平岡範彦両氏がソルの二重奏曲「喜遊曲」を演奏。この曲はソルの二重奏曲の中でも最も演奏機会の少ない部類の曲であったので、楽しく、また懐かしい思いで聴くことができた。そして次は会長である川竹道夫氏のギター伴奏、大塚実輝さんというソプラノ歌手によるスペインの歌と題して「すみれの花売り娘」「ラ・パロマ」そして有名な「鳥の歌」の3曲を演奏。いつもながら川竹さんの多芸さには舌を巻くほかない。絵画、彫刻、楽器製作にとどまらず、最近では万年筆の製作を始め、さらに二鼓や三味線といった民族楽器の演奏のほか、異次元妖怪バンド「ザ・メタボラーズ」を主宰。さらにコンピュータには若くして目覚め、こんな便利な物はないと今もプロとして使いこなしている。そのどれをとっても一流といってよい領域まで達しているのは驚異としかいいようがない。しかもギター教師として後進の指導に力を注ぐだけでなく、徳島ギター協会の会長をこなし、広く四国一円の音楽界、芸術界を牽引するスーパーマンだ。きっと上着を脱いだらシャツに「Sの字マーク」が書いてあるにちがいないと、私はかねてよりにらんでおり、いつか正体を暴いてやる必要があると考えている。
 第1ステージ最後を飾るは浅田侑子さん。現在徳島大学の学生であるが、いつもながらこの人の上手さには頭が下がる。初めて聴いたデュモン作曲というラベル賛歌と、アルベニスの朱色の塔、そしてご存知アルハンブラの思い出の3曲を演奏。いずれも劣らぬ名演奏。こちらの胸にも「キュン」とくる。皆さんもぜひ一度ご賞味くだされ。
しばしの休憩の後、第2ステージは5つのギターとマンドリンにより、懐かしい古賀メロディを3曲。やっぱり日本人の「心のふるさと」っちゅう感じでええもんやね。そして二人の徳島大学学生によるスチールギターとガットギターでさわやかなデュオを披露、次の3人組「ラインハルト」のジプシージャズへと続くが、これまた抜群のリズム感で小気味いいことこの上なし。それから先ほど紹介した川竹会長率いる「メタボラーズ」によりラテンの名曲を3曲とフラメンコダンサーを迎えてのフラメンコギターも披露。例の田中氏によるラテン語だかスペイン語だかの“カタカナ”カンテが炸裂。取り締まる者とてなく、何ともはや徳島県人は恐れを知らないこと夥しいが、声の美しさに関しては見事!
ところでここまでくると、今回の“これがギターだ!”というコンサートのテーマからいって、「いったいどれがそのおめえさんのいうギターなんよ!」といいたくなってしまうが、結局どれもこれもギターなんだと。つまりこのコーナーのテーマと似ているが「あれもギター、これもギター」なんだそうだ。
最後のステージはお待ちかね、高田元太郎ギターによるアルゼンチンタンゴ・バンド「トリアングロ」によるタンゴの名曲が、アンコールも含めて11曲披露された。さすがプロといったらそれまでだが、水も漏らさぬ(この言い方、合ってるかなあ?)完璧なアンサンブル。会場のお客さんからも最後大きな歓声が上がるほどの名演を聴かせてくれた。
1時半から始まって延々3時間を越える長丁場が終了し、その後はいつものように、いつ果てるともしれない打ち上げパーティが続くのであった。
内生蔵 幹

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