アンヘル・ロメロさん、大好き! - ミューズの日記
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<あれも聴きたい、これも聴きたい> アンヘル・ロメロさん、大好き!

 最近あまり新録音のうわさを聞かないけれど、これまでは結構な量のレコードやCDを出しているアンヘル・ロメロさん。今年の4月に来日し、大阪では村治佳織さんと一緒にオーケストラとロドリーゴの2つのギターのためのコンチェルトを、東京ではギターのソロと二重奏のコンサートを1回づつ開くことになっていて、なんだか今からそわそわと期待いたしまするなあ。

おいちゃん達が初めてアンヘル・ロメロの演奏を聴いたのは、古いLPで、サン・アントニオ交響楽団という結構ローカルなオーケストラと共演した「アランフェス協奏曲」だった。オーケストラの方はいかにも地方オケといった雰囲気のただよう音色だったが、それでも楽団員一同が真面目に溌剌と精一杯がんばって演奏している様子がひしひしと伝わってくる、なかなかの名演でした。従ってひところまでは私の中でも最上のアランフェスとして君臨しておりましたが、何年前だったかに来日した折、NHKテレビでもアランフェスを演奏し、先のLPと殆んど変わらない演奏を聴かせてくれました。(この時の放送をおいちゃんはビデオに撮ってあるので、いつかミューズでもって鑑賞会でもと思おとります)とにかくテクニックは兄さんであるペペ・ロメロ同様まったくもって完璧。まるで精密機械のような正確さで弾きまくる。(この「弾きまくる」というのがくせもので、アルベニスもターレガもロドリーゴも、はたまたバロックや古典さえも、時代考証そっちのけ。全て一流のロメロ節で「弾きまくる」)あまりにも正確無比に弾きまくるものだから、かえって音楽がどことなく素人臭くっちゅうか田舎っぽくなってしまうきらいがあるようなないような・・・。クラシック音楽がクラシックに聞えずフラメンコに聞えてしまう感があるようなないような・・・。薫り高いはずのバロック音楽もどっかの場末の兄ちゃんの弾く民族音楽みたいに聞えてしまうようなしまわないような・・・。なんとも心決めかねるというかなんというか・・・。クラシックギタリストと言ってええんだべが、別の範疇に入れた方がええんでねぇべが・・・。とは言っても奏でている音楽はクラシックばっかりだし・・・。(ペペなんかはフラメンコギターの録音もしておるけどもアンヘルさんなんかはどうなんやろ)なんとも不思議で複雑な感情を抱かせてしまうギタリストでござりまする。

そんなアンヘルさんの日本デビューのレコードを2枚聴き返してみることにすんべぇと、最近久しぶりにレコード棚より取り出してきた。
一枚は「ゴヤの美女」と題したスペインものばっかりのLPで、
① トローバ/マドローニョス、
② アルベニス/コルドバ、
③ グラナドス/ゴヤの美女、
④ ロドリーゴ/ファンダンゴ、
⑤ ターレガ/前奏曲第5番、第2番、
⑥ アルベニス/タンゴ 二長調、
⑦ トゥリーナ/ファンダンギーリョ、ターレガ礼賛、ラ・ファガ、
⑧ ターレガ/マズルカ、マリエッタ、マリア、アデリータ
といった曲が並ぶ。

「魔笛の主題による変奏曲」と題したルネッサンスからバロック、古典までの名曲を入れたもう1枚のLPの紹介はまたの機会に譲るとして、今回の1枚。感想は一言。「うまい!」でも、でもですね。そこが例のロメロ節。正直言ってなんだかとっても(田舎)かっぺ臭い。しかもどれもみんなおんなじ曲に聞えちまう。民族色むき出しのギター臭さ丸出し。確かにギターを弾いとるんだからギター臭くてもええんではねえべがとは思うけども、それにしても上品なクラシックギター音楽とは言いかねる。そうするとまた「お上品ばっかしがクラシック音楽じゃねえ!」とおっしゃるむきもあるかもしれないが、こちとらとしちゃあドジョウすくいの名手が京舞を舞ったらこんな感じなのかも知れないというような気がする。(島根県の皆さん、ごめんなさいね)

でもこれらの曲をこれほどの鮮やかさで弾ける人は、世界広しといえどもそうざらにはいないのもたしかだから、ギターの世界じゃ一流っていやぁ一流なんだろうけども、私としちゃあこのアンヘルさん、どう評価して良いのやら、未だに心決しかねておるといった次第。
アンヘル・ロメロさんは1946年生まれというから、今年でもう61歳。このレコード写真ではまだまだどこか少年っぽさの残るルックスだけれども、今や日本でいうと赤いチャンチャンコと頭巾を着て出て来てもよいお年頃。今年の来日公演ではどんな演奏を聴かせていただけますか、おっ楽っしみぃー。
でも、当のアンヘルさんに「あいつ、あんたのこと、あんなこと言っとったぜ。」なんてご注進する人が出てきたらヤだから今のうちに言っとこ。
「私、ほんとはアンヘルさんのこと、大好きだからね!!」
内生蔵 幹(うちうぞう みき)

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