2008年2月8日のブログ記事一覧-ミューズの日記
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昨日あるお客様がギターの先生とギターを選びに見えました。
そのお客様は小柄な女性で以前から何度か足を運んではいろいろと試奏されては悩んでいた方です。現在は標準サイズのギターを持ってみえるのですが、弾き易い630mmのギターをと言う事で加納木魂さんのギターを2本比べられていました。

そのAとBのギターを私やその先生が弾き比べするとAは柔らかく、甘く太い音で、Bは華やかに明るく鳴ります。最初は先生もBの方が楽器の持っているキャパシティが大きい感じがするのでBの方が良いのではないかとアドバイスされていました。
しかし、その女性が演奏するとAの方がしっかりした音が出て、演奏も自信のある、音楽的にも良い演奏になるんですね。

AとBの違いはボディーの大きさだけです。弦長も同じ630mm、ネックの幅もゼロフレットで50mm、12フレットで60mmと全く同じ大きさです。製作者も同じです。Aはボディーの横幅がスリムに作ってあります。縦寸法は全く同じです。これはお子さんや体の小さい方用に私が依頼して作って頂いたギターです。

先日も藤井敬吾さんの公開レッスンで姿勢と左手の構えを直しただけで左小指の力が何倍にも大きくなったお話をしました。つまり姿勢によって如何に楽に、小さな力で指先に大きな力を伝達出来るかという事です。この事が改めて私の脳裏に蘇りました。この女性の体にAのギターが合っていたんです。従って楽な、正しい姿勢で演奏できるんですね。その為に出てくる音が違うだけでなく、演奏内容、音楽まで違ってきたんです。一番の良い例が、その女性が「11月のある日」の後半の最初のフレーズでセーハをする難しい箇所をAのギターでは三弦の音もチャント出るのに、Bのギターでは出なかったんです。弦長とネックの太さは同じなんですよ。

最終的に先生も私もこの女性には断然Aのギターだと確信を持ち、ご本人もそれで決断されました。どちらかと言うとBのギターの音色の方が好きだと仰っていましたが、体に合っている事から来る、演奏のし易さ、出てくる音と音楽の違いからAを選ばれました。

改めて如何に体に合ったギターが大事かと言う事を再認識しました。ショートスケールは鳴らないとか、ボディーが小さいと鳴らないと言う思い込みは捨てなければいけません。体に合ったサイズのギターで、弾き易い事が音にも演奏にも影響すると言うこと、姿勢が如何に大事かと言うことを改めてガッテンした次第です。

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