(24) 対象資産が毀損・消滅した場合や、対象資産が下落した場合などには、投資家に対する元利金の返済ないし償還が困難になる怖れがある。このことに備えて、投資家が許容するリスク水準に応じて、対処資産の信用力を部分的に補完し、投資家に対して当初の契約どおりに元利返済ないし償還される可能性を高める措置を「信用補完措置」いう。信用補完措置には、①優先劣後構造、②超過担保、③スブレット・アカント、④キャッシュ・コラテラル、⑤第三者の保証・保険などがある。①の優先劣後構造については、本文で説明したので、それ以外を説明する。②超過担保とは、SPVが調達する資金の額を超える額の資産を、SPVを作った本体(オリジネーター)からSPVに譲渡することをいう。超過部分については、オリジネーターがSPVに対して延払債権を計上することになる。予想どうりにキャッシュ・フローが生じなかった場合のリスクを延払債権相当額にて吸収することになるから、投資家から調達した資金の元利払の確実性が高まることになる。③スブレット・アカントとは、対象資産から生じるキャッシュ・フローから投資家に弁済する元利金その他の経費を控除した残金を、SPVの現預金として積み立てておくことをいう。④キャッシュ・コラテラルとは、SPVが調達した資金の全部を対象資産の代金としてオリジネーターに支払うのではなく、その一部をSPVの預金とするなどにより、現預金をSPVに留保することをいう。⑤第三者の保証・保険としては、銀行による保証や損害保険会社による保険などがある(http://www16.ocn.ne.jp/~ino/page005.html)。
(25) 債券に支払われる利息のことを、クーポンあるいは利札(りふだ)という。クーポン付きの債券を「利付債」、クーポンのない債券を「割引債」(ゼロ・クーポン債)という。利付債は、毎年決まった時期(半年ごと)に利息が支払われる債券。クーポンによる利息収入を「インカムゲイン」という。債券本体にクーポンという小紙片が付されていて、支払われる利息の金額と利息の支払い年月日が記載されている。クーポンにはミシン目が入っていて、切り取れるようになっている。このクーポンと引換えに利息が支払われる。例えば、一〇年物の国債であれば、利息は、年二回、半年ごとに支払われるので、国債の本体に二〇枚のクーポンが付いている。利付債には、固定利付債券と変動利付債券がある。固定利付債券は、利率は変動しない。変動利付債券は利率は変動する。割引債(ゼロクーポン債)は、額面より少ない金額で発行される債券。つまり、額面金額に対して割引した金額で売り出される債券という意味。一般に、額面と購入価格の差額から、購入時の単価よりも売却時の単価が高いことによる利益をキャピタルゲイン(償還差益)、購入時の単価よりも売却時の単価が低いことによる損失をキャピタルロス(償還差損)という。海外では、割引債のことをクーポン(利息)がゼロの債券であるところから、「ゼロクーポン債」と呼んでいる(http://www.findai.com/yogo/0209.htm)。