わんちゃん こんにちは、
電話でおはなしをしていました絵本のお届けが遅くなりました。ご自宅までと思っておりましたが自転車で行く時間が取れなくて郵送させていただきます。
イギリスの湖水地方の小さなうさぎのおはなしを楽しんでください。
↑のようなお便りと共に・・・
掌にスッポリと入ってしまうようなカワイイ絵本が送られてきました。
(今年の春のことでした)
「ピーターラビットのおはなし」
ビアトリクス・ポター さく・え いしいももこ やく
1
あるところに、4ひきの 小さなうさぎがいました。
なまえは、
フロプシーに
モプシーに
カトンテールに
ピーターといいました。
小うさぎたちは おかあさんといっしょに 大きなモミの木のしたの すなのあなのなかにすんでいました。
2
あるあさ おかあさんが いいました。
「さあ おまえたち、野はらか、森のみちであそんでおいで。でも、おひゃくしょうのマグレガーさんとこの はたけにだけはいっちゃいけませんよ。おまえたちのおとうさんは、あそこで じこにあって、マグレガーのおくさんに にくのパイにされてしまったんです」
3
「さあ、では いっておいで。いたずらするんじゃありませんよ。わたしは、でかけてきますからね」
4
それから、おかあさんは かいものかごとかさをもち 森をとおりぬけて、ぱんやさんへでかけました。 そこで、くろぱんを1ぽんと ぶどうぱんを5つ かいました。
5
フロプシーとモプシーとカトンテールはいいこでしたから、森でくろいちごをつみました。
6
けれど、ピーターは たいへんな いたずらっこでしたから、いちもくさんに マグレガーさんのはたけにかけつけると、むりやり、きどのしたから、もぐりこみました。
7
それから、まず、れたすをなんまいかたべ、それから、さやいんげんをたべ、それから、はつかだいこんをなんぼんかたべました。
8
そのうち、ちょっと むねが むかむかしてきましたので、ぱせりを さがしにいきました。
9
けれども きゅうりのなえどこのかどをまがったとたん、ばったり でくわしたのは、だれだったでしょうマグレガーさんです!
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マグレガーさんは よつんばいになって、きゃべつの なえを うえているところでした、けれども、ピーターを見ると、とびあがって、れーきをふりふり、「どろぼうだ、どろぼうだ!」とどなりながら、おいかけてきました。
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ピーターは こわくてこわくて、はたけじゅうを にげてあるきました。どっちへいったら、きどがあるのか わからなくなったのです。
かたほうのくつは きゃべつばたけへおとしてしまい、かたほうは じゃがいもばたけでなくしてしまいました。
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くつが なくなったので、 ピーターは4つの足でかけだしました。すると、このほうが はやくかけられました。ですから、うまくやれば きっとにげだせたろうと、わたしはおもいます。でも、うんわるく、スグリの木に かけてあるあみにとびこんで、うわぎのボタンをあみにひっかけてしまいました。そのうわぎは青くて、大きなきんぼたんが ついていて、まだあたらしかったのに。
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ピーターは、もうだめだと、おもって、大つぶのなみだをこぼしました。ところが、しんせつなすずめが そのなきごえをききつけて、びっくりしてやってきました。そして、どうぞ がんばって にげだすようにといいました。
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そこへ、マグレガーさんが ふるいをもってやってきて、ぽんと ピーターのうえに かぶせようとしました。でも、ちょうどそのとき、ピーターは むちゅうで うわぎをぬぎすてて、にげてしまいました。
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それから ものおきにかけこみ、じょうろのなかにとびこみました。水がいっぱいはいっていなかったら、すばらしいかくればしょだったのですけれどねぇ。
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マグレガーさんは、たしかに ピーターは ものおきにいる(たぶん うえきばちのしたにでも かくれているのではないか)と おもいました。
そこで、うえきばちを ひとつひとつ ていねいにひっくりかえして しらべました。
そのうちピーターが「く・く・くしゃん」と くしゃみをしました。あっというまにマグレガーさんは、ピーターのところへとんできて、
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ぎゅっと ピーターをふみつけようとしましたが、ピーターは うえきばちを3つ ひっくりかえして、まどからとびだしました。けれど、まどは マグレガーさんには、小さすぎました。それにもう、ピーターをおいまわすのに うんざりしていましたので、マグレガーさんは はたけにもどっていきました。
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ピーターは、すわりこんでやすみました、いきは きれ、こわくて ぶるぶるふるえていました。それに どっちににげていったらいいのか けんとうもつきません。
おまけに、じょうろのなかにはいっていたので、からだは びしょぬれでした。
やがて、ピーターは また あるきはじめました。ひょこ ひょこ ひょこ ひょこ あまりいそがずに、あちこちへ目をくばりながら あるいていきました。
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そのうち、石べいのところに 出入りぐちのあるのが 見つかりました。でも、戸には かぎがかかっていました。戸のしたには、ふとった小うさぎが とおりぬけるすきまはありません。
めすのねずみが1ぴき、戸のしたからでたり はいったりして、えんどうまめやいんげんまめを 森にすんでいるかぞくのところへ はこんでいました。ピーターは、きどは どっちにあるのかと、ねずみにききましたが、ねずみは 大きなまめをくちにくわえていたので、へんじができません。ただ くびをふっただけでした。ピーターは なきだしました。
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それから、ピーターは はたけをまっすぐつっきって、むこうがわの出ぐちにでようとしました。けれども、ますますどこがどこやら わからなくなるばかりです。そのうち、いけのそばにきました。これは、マグレガーさんが じょうろのみずをくむいけです。しろいねこが きんぎょをねらって すわっていました。とても じっと すわっているのに、ときどき、しっぽのさきだけ いきもののように、ぴくりぴくり と うごいていました。
ねこには、はなしかけないでいったほうがいい と、ピーターはおもいました。
ねこのことは、いとこのベンジャミンからいろいろ きいていたからです。
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ピーターはものおきのほうへ もどりはじめました。けれど、きゅうに さくりさくっという くわのおとが きこえてきたので、いそいで 小さな木のしたへにげこみました。でも、べつにかわったこともおこらないので、また でてきて、手おしぐるまのうえにのって、あたりを見まわしました。すると、まず 目にはいったのが、たまねぎばたけをたがやしている マグレガーさんのすがたでした。
マグレガーさんは むこうを むいていました。そして、そのむこうに きどがありました!!
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ピーターは、そうっと 手おしぐるまからおりると、スグリのいけがきのそばのみちを、いちもくさんに きどのほうへかけだしました。
けれども、かどを まがったとたんに、マグレガーさんに見つかってしまいました。
でも ピーターは、もう そんなことはへいきです。きどのしたをくぐりぬけ、とうとう はたけのそとの森ににげだしました。
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マグレガーさんは、クロナキドリをおいはらうのに つくったかかしに、ピーターの 小さなうわぎをきせ、くつをはかせました。
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ピーターは、うしろもふりむかず かけどおしにかけて、大きなモミの木のしたの いえまでかえりました。
そして、くたくたに くたびれていたので、うさぎあなのなかの やわらかいすなのうえに、どさりとよこになると、目をつぶりました。
おかあさんは、いそがしくごはんのよういをしているところでした。ピーターは、ふくをどこへおいてきたのだろう と、おかあさんはおもいました。
ピーターったら、この2しゅうかんのうちに、うわぎを2まいと、くつを2そくも なくしてきたのです!
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きのどくに、ピーターは そのばん、おなかのぐあいが よくありませんでした。
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おかあさんは ピーターをねかして、かみつれをせんじて、ピーターに 1かいぶんのおくすりをのませました。
「ねるまえに 大さじ 1ぱいですよ」
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けれども、フロプシーと モプシーと カトンテールは、パンにミルクをかけたのと クロイチゴを、ばんごはんにいただきました。
おわり
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ピーターラビットのおはなし
ピアトリクス・ポター 作・絵
いしいももこ 訳
発行所 株式会社福音館書店
『ピーターラビットのおはなし』(1902年刊)
ビアトリクス・ポターがかっての家庭教師の幼い息子、ノエル・ムーアに出した絵手紙を、本にして出版するために書き直したものです。
それから百年もの間、いたずらなうさぎのピーターが、マグレガーさんの畑から命からがら脱出するこのお話は、世界中の子どもたちを魅了し続けています。
作者プロフィール
ビアトリクス・ポター(1806~1943)
ロンドンの裕福で厳格な家庭に育った。
少女時代から田園を愛し、小動物の観察やスケッチに没頭した。
彼女の自然に対する情熱は「ピーターラビットの絵本」シリーズの制作に色濃く反映されている。
後半生はイングランド湖水地方に住みつき、羊の飼育と自然保護活動に力を注いだ。
お父さんが息子に絵とともに伝えた話というのがとくにすばらしい。自然観察(畑、森、動物)もすばらしい。イギリス人は自然を愛する気持ち、こまやかで独特ですね。
ストーリーとしては、いたずらもののピーターだけが体験した世界ということですから、いたずらもの肯定、はみだしもの肯定です。そりゃあ世界の子どもたちが共感するでしょうね。
話の最初にお母さんが言います。「お父さんはマグレガーさんの奥さんに肉パイにされた」これで一気にマグレガーさんがおそろしい存在になります。うまい伏線の引き方ですねえ。後、どきどきしながら、ピーターの行動を追うことになります。子供向けのサスペンスも入ってます。
それにしてもお母さん、そんな残酷な事実をさらっと言いますね。日本人にはない感覚です。ブラックユーモア、それもかなり自虐的な、ですね。
ということで、けっこうな本の紹介、ありがとうございました。
はじめの芦ノ湖の花の写真、あれ、今夏なのになんでツツジ?・・・ああそうか春にこの本が届いたところからのストーリーになっているのか~、凝っていますね。
英国のピーターラビットは大好きで、
「大人の塗り絵」や「食器のセット」が近くのスーパーでポイントを集めると貰えるので楽しみに集めて結構ピーターラビット・シリーズとして揃えられました。
しかし、お話の内容を知らなかったんです。
わんちゃんのおかげで各シーンが繋がりました。
陀羅尼助さんの解説は深くて共感しました おおきに・・・
あぁ スッキリ。
しんせつなすずめが、どうぞ がんばって にげだすようにといいました。
とか、
シーン19の
戸のしたには、ふとった小うさぎが とおりぬけるすきまはありません。っと。
見るとピーターの眼から涙が・・・
優しいタッチの絵からほのぼの感を味わいました。
どのシーンの絵も同じくであります。
陀羅尼助さんの深い洞察力には敬礼です。
掌にすっぽり入るピーターラビットの絵本はピーターを取り巻く周りの動物たちがそれぞれ主人公になって25冊もシリーズ化されてます、これを機会に少しづつ読んでみたくなりました。
いつもコメントありがとうございます
この絵本の他にピーターのお友達や兄弟たちが主人公になって活躍する絵本がシリーズになってて25冊も出てます。
手のひらにすっぽり入る可愛い大きさなんで読みやすそうだし、何よりも絵にホッとさせられるよね。
他のも読んでみたくなりました。
絵本って子供だけでなく大人もこんなに楽しめるなんて・・・