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韜晦小僧のブログ 無線報国

真空管式ラジオ、軍用無線機やアマチュア無線機の修復の記録
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海軍TM式軽便無線電信機の修復作業記録 その3 (2017年11月30日)  修復方針の再検討について

2017年11月28日 15時28分34秒 | 02海軍無線機器

海軍TM式軽便無線電信機の修復作業記録 その3 (2017年11月30日)  修復方針の再検討について

今回はUY-27AとUX-112Aを共用して使用するためソケットアダプターの調査を行いました。
詳細に調査すると、UX(4ピン)とUY(5ピン)の互換性のための工夫がありました。
基本的には、このソケットアダプターはプレートとグリッドは相互に接続されています。
しかしながら、カソード(Kの表記が一般的なはずですが、Cと表記されています)検波段のソケットアダプターはヒータに接続されています。
もう一つのソケットアダプターほうかカソードが独立した端子に配置されておりカソードバイアスをかけることが可能なようです。

修復案1は、機能の完全復元を目指すが、かなりの改造規模となり現行部品をほとんど使用しないデメリットがあります。

修復案2は、機能を限定して受信機能のみとして、現行部品を最大限活用する方法です。
ただし、UY-27Aでは非力なことからUY-76に変更が必要と思われます。

 

この2通りの案をもとに修復することを計画しています。

平成29年12月3日最終案です。基本的には現行のUY-27Aの受信機能のみの復元として極力現行部品を使用します。

広島戦時通信技術資料館及は下記のアドレスです。
http://minouta17.web.fc2.com/


海軍TM式軽便無線電信機の修復作業記録 その2 (2017年10月25日)  修復方針について

2017年11月06日 22時07分41秒 | 02海軍無線機器

海軍TM式軽便無線電信機の修復作業記録 その2 (2017年10月25日)  修復方針について

資料調査から本邦軍用無線機技術の概観(著者;大西成美)によると、軽便無線電信機の解説があったので下記に掲載します。
一人で背負って運搬可能なトランク型無線機であり、電源及び空中線等一切を自蔵している。
陸上戦斗における近距離通信や、艦上と陸上場間、汽艇間等に使用されたほか、小型艦艇の補助無線機の意味を兼ねて、殆どの艦艇に装備されていた模様である。
空中線操出式とし、その長さを調節して送信周波数に同調せしめるため、空中線電流計を有しておる。
つまり、空中線電流計の最大点に至るまで空中線を伸縮するのである。
真空管はUX112A(交流使用のときはUY76→UY-27Aの誤記と思われます。)を2本使用し、送信の場合は2個並列、自励発射とし受信の場合は一個はオートダイン検波菅、他は低周波増幅菅となる。
同調回路は送、受信共同一であり、従って送受信周波数は概ね同一である。
電源は乾電池又は交流電源の何れかを差換使用するか、交流電源にはUX201A又はUX112Aを2本使用(2極管接続)して全波整流を行っている。
TM式軽便無線電信機  周波数5~10MC  出力5W
TM式中軽便無線電信機 周波数2.5~5MC 出力7W
上記により、だいたいの機能の概要が把握できました。

このことを踏まえ、再度購入したTM式軽便無線電信機を詳細に調査します。
空中線電流指示器、送信蓄電器、低周波トランス、送受信切替SW等が欠落しております。
特に、送受信切替SWがについては特殊な多数の回路の切替が必要ですが代替えできません。
このSWがないため、本機の完全復元を断念し、別な発想の送受信機を計画せざるをえません。
真空管UY-27Aが2本、同調受信蓄電器、反帰受信蓄電器、線条抵抗器など主要部品は健在です。
本機の特徴としては、乾電池運用としてUX-112Aを使用し、交流運用ではUY-27Aを使用するという変則運用です。
そもそも、UX-112Aは昭和3年から、UY-27Aは昭和9年から日本で生産を開始しています。
この時期の6年間の開きは大きく、最初から真空管の共用を計画したのではなく、当初はUX-112Aのみで設計されてものと思われます。
後で、交流使用も要求により、追加機能としてUY-27Aの真空管を無理やり接続することになったと思われます。
また、本機は海軍からの仕様要求品ではなく、TM式と呼称しているように民需品の軍採用品ということですので改造もある程度民間側の裁量があったのでしょう。
このため、昭和16年ごろでも、UY-27AましてやUX-112Aなどの民需の真空管を採用した無線電信機を生産できたのかもしれません。
本機の問題点はまさにここにあります。
UX(4ピン)とUY(5ピン)の互換性のため、UXのソケットにUYのソケットアダプターをとりつけます。
このため、UY側はカソードとヒータを直結し、無理やり4ピン接続とします。
これでは、カードの本来の機能を喪失させるこことなります。
もう一つの問題は、可搬性を重要視するために、シャーシのベースが木製です。この上に0.7m程度の薄いアルミ板を張っています。
弾丸が一発命中すれば、即故障となります。
この設計思想はあくまで民需品ということです。
ただし、日本無線史10巻(309頁)でいうように、「前者は久しく海軍で実用されているもの」と記載されているように軽便な道具として広く使用されたようです。
大変評価できる点としては、送受信機能の仕組みそのものが大変すばらしいと思われます。
今回は、復元するにあたり、電話機能と超再生機能を付加した送受信機とすることとします。
このため、送信出力は極めて微弱なものとなるものと思われます。

4

広島戦時通信技術資料館及は下記のアドレスです。
http://minouta17.web.fc2.com/

参考文献
無線と実験 昭和16年10月号

 
本邦軍用無線機技術の概観(著者;大西成美)
なお、故大西成美氏の略歴を下記に記載します。(三重県T氏からの情報です)
CQ誌1954年10月号の局名録では、大正2年10月24日生まれ、3.5~14MCA1、A3なので一級局、勤務先ラジオ大分技術部、趣味アルコール 住所大分市新高松東とのことです。
また、ネットの情報では元電監職員とありました。
モービルハム 1990年12月号掲載資料


海軍TM式軽便無線電信機の修復作業記録 その1 (2017年10月20日)  オークション落札の顛末

2017年10月21日 13時16分25秒 | 02海軍無線機器

海軍TM式軽便無線電信機の修復作業記録 その1 (2017年10月20日)  オークション落札の顛末

断捨離実践のため、昨今ではオークション情報を眺めているだけ満足していましたが、今回はどうしても我慢できませんでした。
突如ほしくなったとゆうか、あまりにも無残な残骸の無線機なので修復してやりたいとの親心かもしれません。
勿論、無線機の程度があまりにも悪く、入札額も低調であり、小生でも参加できそうとの判断もありました。
部品の欠落が多そうなので、この辺から調達・整備することとします。

本機TM式軽便無線電信機について日本無線史10巻(309頁)九、TM式軽便無線電信機及びTM式中軽便無線電信機の項で下記の記述があります。
前者は久しく海軍で実用されているもの、後者は周波数を中波帯(2500乃至5000Kc)にしたものである。
本機については、たったの2行の簡潔すぎる文章です。
また章立ても、真空管式送信機に分類されていますが、本機は2球式とはいえ所謂、立派な送受信機(トランシーバー)なのです。
軽巡阿武隈の電信室の奥にも本機が配備されています。

また、TM式という海軍の仕様要求品ではなく、民間提案なるもの採用した無線機というのも特徴の一つです。
このTMとは、東京無線電機株式会社のことですが、戦後は企業再建整備法に基づき、昭和24年12月に新「東京無線電機株式会社」として再出発し、昭和33年7月に現在の社名「株式会社三桂製作所」に改称しております。
この間、残念ながら業態変更されており、現在は各種電線保護管の製造・販売が主業務となっています。


以下オークションの経過情報です。
蔵出し・旧日本軍【海軍TM式2球軽便無線電信機・S16/10製造・資料・欠品有り・要修理・無線機・受信機・戦争物】残骸/ジャンク品。
商品の情報 
現在の価格  :  11,500円(税0円)
残り時間 :  終了 (詳細な残り時間)

入札件数 :  25 (入札履歴)

詳細情報
個数  :  1
開始時の価格 :  1,000 円
落札者 :  mxxxxxxxx7 / 評価:167 (評価の詳細)

開始日時 :  2017年10月 15日(日) 12時 2分
終了日時 :  2017年10月 20日(金) 21時 45分
入札者評価制限:  総合評価での制限 あり (評価の合計がマイナスの方は入札できません)
悪い評価の割合での制限 あり (悪い評価の割合が多い方は入札できません)
早期終了 :  あり
自動延長 :  あり
オークションID :  e245301771
商品の状態 :  中古 (現状渡し。)
返品の可否 :  返品不可
出品者の情報
出品者 : wdwxxx9 

評価 : 2478 ( 2484 -  6)
支払いについて

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送料、商品の受け取りについて

商品発送元地域 : 岐阜県 羽島市内

商品説明
☆蔵出し・旧日本軍【海軍TM式2球軽便無線電信機・S16/10製造・資料・欠品有り・要修理・無線機・受信機・戦争物】
 残骸/ジャンク品での出品です。
 入札前に当方の自己紹介欄を御読み下さいませ。
 サイズ H19×W37×D18cm/約。
 戦前の古い無線機でジャンク品です、 N/C N/R で宜しく御願いたします。
 100サイズ元払いで発送致します。

入札者の順位   すべての入札履歴
1ページ中 1ページ目を表示 (入札合計:12件)
入札者 / 評価   入札額 個数 最後に手動入札した時間
 mxxxxxx7 / 評価:167 (評価の詳細) 最高額入札者11,500 円 1 10月 20日 21時 39分
 u*A*I*** / 評価:98   11,000 円 1 10月 20日 21時 39分
 2*y*R*** / 評価:630   6,111 円 1 10月 20日 21時 36分
 o*n*E*** / 評価:1070  5,861 円 1 10月 20日 21時 18分
 N*m*c*** / 評価:205   5,111 円 1 10月 20日 14時 30分
 o*p*b*** / 評価:949   3,111 円 1 10月 19日 18時 34分
 _*2*s*** / 評価:592   3,100 円 1 10月 16日 17時 02分
 t*2*M*** / 評価:2   2,311 円 1 10月 19日 15時 44分
 x*A*I*** / 評価:101   2,111 円 1 10月 18日 15時 28分
 q*n*9*** / 評価:1789  1,400 円 1 10月 18日 4時 20分
 P*M*z*** / 評価:297   1,200 円 1 10月 17日 13時 36分
 y*q*d*** / 評価:552   1,000 円 1 10月 15日 16時 52分
1ページ中 1ページ目を表示 (入札合計:12件)

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広島戦時通信技術資料館及は下記のアドレスです。
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96式空2号無線電信機受信機部の修復作業記録 その3 (2016年02月29日)

2016年02月29日 23時08分45秒 | 02海軍無線機器

96式空2号無線電信機受信機部の修復作業記録 その3 (2016年02月29日)

今回の作業は、カバーケースの塗装の前に、スピーカと電源コネクターを加工します。
その後、アルミのカバーケースに下地剤を塗り、最後にハンズで調合してもらった海軍の濃紺色のスプレイで仕上げます。
屋内で塗装すれば、問題がないのですが臭いが残るので、庭で塗装するのですが、何時も虫か塗装面に付着して塗装を台無しにします。
今回も同様でしたが、子虫1匹のみだったので被害は軽微でした。
塗装が完成すると、全体の組み立てと電源部のコネクターの接続作業して全て修復作業は完了です。
96式空2号無線電信機の受信機部のみですが動態保存できているのは、極わずかな台数でしょう。


最後に、12Vの発電動機を整備し、車載運用を実現する件ですが、保管倉庫を探すと発電動機(写真のもの)を発見しました。
ネットで落札したものと思われますが、落札した記憶がありません。
戦後のもののようですが、用途は不明です。
次回は、発電動機(ダイナモ)を整備し、96式空2号無線電信機受信機部と接続し運用試験を実施します。

 

広島戦時通信技術資料館及は下記のアドレスです。
http://minouta17.web.fc2.com/

 


96式空2号無線電信機受信機部の修復作業記録 その2 (2016年02月21日)

2016年02月23日 13時46分36秒 | 02海軍無線機器

96式空2号無線電信機受信機部の修復作業記録 その2 (2016年02月21日)

本機は骨組みの型枠しかなく、見てくれも悪く、永年放置していました。
何故放置したかというと、
①カバーケース用の旧JISの平螺子の入手が困難だったたことと、
②左側面にある空中線端子をどうすればカバーケースに収容することができるかが不明だったこと。
③右側面には、本来送信部が連結されるため、受信パネルが送信部との接合のため、2センチ程度枠より長く、右側面のカバーケースルが設置できない構造であったこと
この上記3点が大きな理由でした。
今回オークションに出品され2015年11月に96式空2号無線電信機受信機部を見ると、やはりカバーケースがあれば見栄えがします。
ただし、このオークションの商品も、右側面からの写真はありません。(大変見栄えが悪いものと推定できます。)

今回の目標は以下のとおりです。
①カバーケースを作成し、本来に近い姿に復元する。
②スピーカと電源コネクターを追加する。
③12Vの発電動機を整備し、車載運用を実現する。(本来は航空機ですが、ムリなのでせめて軽自動車!!)

カバーケースのアルミ材は厚さ1mm、30センチ×40センチのものをホームセンターで購入しました。
型枠の延長には、厚さ1.5mmのl型のアルミ材で加工しております。
空中線端子の加工は、空中線端子の穴の加工に加え、蝶番が風ネジ分の穴を加工すれば、問題なくケースを収納することができます。
今回は「①カバーケースを作成し、本来に近い姿に復元する。」のアルミ加工作業を完了しました。

 

広島戦時通信技術資料館及は下記のアドレスです。
http://minouta17.web.fc2.com/