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トリオ CO-1303D オシロスコープの修理記録について

2022年07月23日 09時01分36秒 | 09真空管式オシロスコープ

トリオ CO-1303D オシロスコープの修理記録について

本年度は断捨離の最終段階として倉庫にある不用品をすべてオークションにかけるように準備してきました。
最初に不要なオシロスコープの断捨離に着手しましたが、真空管式オシロスコープも当時1万円程度で入手したものが、やはり今では高くても千円から2千円程度しか値が付かず、トランジスター式オシロスコープに至っては、高級品のものでも100円程度、最悪の1円の売却の場合もありました。
値段はともかく断捨離する目的は達成することができました。

本機「トリオ CO-1303D オシロスコープ」もオークションにかけようと動作確認すると、電源起動直後では正常動作するので問題ないと思った途端、1分もたたない時間でブラウン管から輝線がなくなりました。同時に本体内部からカチカチという放電音が聞こえます。
本機は普及品のトランジスター式オシロスコープに分類されますが、正常動作しても100円程度のものとなりますが、故障品となると全く買手はありません。
また、こんな危険な状態のものを出品するわけにもいけないので当面放置し、どこかで処分することとしておりました。
結局、本年度の断捨離を断念したトランジスター式測定器の商品は、TRIO CO-1302(不動だったので内部を調査したら、ブラウン管が撤去されていた)、TRIO CO-1303D(故障中)、TRIO AG-202A(動作品)、TRIO AUDIO SSVM MODEL VT-104F(動作品)の4点となりました。

オークションも終了し、残ったジャンク品を片付けようとしたのですが、放置した「トリオ CO-1303D オシロスコープ」のことが気になりました。
捨てるのは何時でもできますが、故障原因を考えるとブラウン管の電源供給部の電源部のオイルコンデンサーの劣化にあることは明白です。
オイルコンデンサーは耐用年数を経過すると必ずと言って良いほど劣化し、絶縁が低下して漏れ電流が流れたり、液漏れによる容量不足などによる電圧低下の原因となります。
なお、高圧のコンデンサーの手持ちはなく、購入するしかありません。
たとえ高額な高圧のコンデンサーを購入して修理しても、売却すれば収支は合いません。
断捨離の方針と矛盾するので少し悩みましたが、取りあえず修理することを決断しました。

まずは、「トリオ CO-1303D オシロスコープ」の回路図をネットで見つけて、電源部のコンデンサーの規格を調べると、全部で4か所のC124あるいはC125の0.1μFで耐圧1,000Vのオイルコンデンーと 平滑機能のC123の0.1μFで耐圧1,600VとC126の0.1μFで耐圧2,000Vの中の1本に問題のコンデンサーが存在することになります。
次にネットで高圧コンデンサー0.1μFで耐圧の高いものを調べると、「2本 DC2000V 0.1μF フィルムコンデンサー」即決1100円、送料220円、合計1320円とあったので、即決で入手しました。
更に、予備として、「2本0.068μFで耐圧2,000V フィルムコンデンサー」即決1380円、送料300円で追加購入し、合計1680円となり、4本のコンデンサーで総額3000円を投資することりなりました。

これで、オトロスコープの修理の事前準備は完了しました。

ここから、修理に入りますが、高圧コンデンサーC124とC125を交換するためには、ブラウン管を取り外す必要があります。
通常のオシロスコープは、正面から取り外しする仕組みとなっていますが、本装置は裏面から取り外しする仕組みとなっています。
このため、後ろ側にはブラウン管の直径の穴があいております。
ただし、このほうが簡単にブラウン管を取り外すことができます。

ここまですると、簡単に高圧コンデンサーC124とC125を交換することができます。
両コンデンサーを取り外すと、液漏れの跡が残っていました。
両コンデンサーを回路から切断し、容量計で測定すると約23pfしかなく、ほぼ平滑コンデンサーとしては完全に不適格なものでした。
コンデンサーの交換を終了して、再度ブラウン管を装着して、確認試験を実施しましたがブラウン管に輝線が発生しません。
しかたないので、関連した高圧コンデンサーC123とC126も切断して容量チェックしてみましたが特に問題はありませんし、液漏れもありませんでしたが、念のため交換して、再度試験すると、今度は不思議なことに輝線が発生しました。

最後に低周波発振器TRIO AG-202Aを入力にして、正弦波が正常に表示することを確認して故障修理を完了するこことしました。

反省文
本来は高圧コンデンサーC124とC125の交換で正を常動作するはずでしたが、後で冷静に動作しなかった本当の原因を考えると、どうもブラウン管とソケットの結合が甘く、接触不良を起こしていたようです。
最後に言い訳ですが、どちらにせよ、長期使用を考慮すれば、高圧コンデンサーC123とC126の交換も必要な作業であることは間違いないことは事実ですが・・・・・・。


参考資料
オシロスコープの電源回路
ブラウン管蛍光面の電位がアース電位とあまりかけはなれていると、蛍光面に手やドライバーを近づけただけで電子流が静電偏向され画像を正しく現わさなくなってしまう。
TV受像機の場合はブラウン管の口径も大きく、電子流の速度も速いのでこの現象はほとんど心配ないが、オシロスコープの場合はブラウン管の口径が小さいために画像への影響が大きくなるので注意を要する。
蛍光面の電位をアース電位に近づけるために、オシロスコープでは第二プレートの電圧をシャーシに等しいか、さもなければ若干正の電圧を加えるように設計する。
ブラウン管のプレートを接地し高圧のプラスをアース側にするのはこのためである。
また、第二プレートと偏向板の電圧がほとんど同じにならないと蛍光面上にゆがんだ図形が画かれる。最近のオシロスコープでは信号増幅回路の特性を良好にするために垂直、水平両回路とも偏向板を増幅回路の終段であるプッシュプル接続増幅管のプレートに直接接続することが多い。このため、第二プレートにはB電圧を分圧して供給しなければならない。
出展 アマチュアのラジオ測定器 岡本次雄、岸清 共著 ページ134

 

参考文献
オシロ「CO-1303D」回路図
http://jf2fkj-kouji.seesaa.net/article/353422879.html
Repair an oscilloscope CO-1303G
https://ja9ttt.blogspot.com/2017/04/repair-oscilloscope-co-1303g.html
CO-1303Gの修理

https://ja7gsa.hatenablog.com/entry/a68877168.html

 

 

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