韜晦小僧のブログ 無線報国

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トリオTS-510の修理記録(その4:受信部)(平成26年10月25日)

2014年10月26日 15時50分44秒 | 07アマチュア無線機

トリオTS-510の修理記録(その4:受信部)(平成26年10月25日)

当初判明した低周波増幅の利得不足の件ですが、エージングをしていると故障が自然復旧したようで、正常に戻ってしまいました。
と思っていましたが、やはり利得不足が再発しました。
丁度良い機会などで修理するこことしました。
低周波増幅段のシステム構成は、まずプリアンブとしてトランジスター1段(2SC373)から500KΩの音量調整器を経て6BM8の3極5極管で増幅される仕組みです。
6BM8の真空管部については、各端子は規定電圧であり、特段の問題点はありません。
どうも初段のプリアンブのトランジスター(2SC373)部分に問題がありそうです。
受動素子である抵抗器やコンデンサーには問題がありません。
したがって、能動素子であるトランジスター(2SC373)の動作が不安定の原因と判断しました。
真空管なら簡単に交換で済みますが、基板のはんだを除去してトランジスターの交換作業が必要となります。
この交換により、受信部の機能は無事回復しました。
トリオTS-500と受信性能を比較しましたが、お互い遜色なく高感度に動作しております。

 

 


今回は、受信部の機能回復を主眼に修理しまたが、増幅型AGCと低周波増幅のプリアンブのトランジスター(2SC373)2個の交換となりました。
トリオTS-510は、真空管とトランジスターのハイブリットの時代のものですが、当時の最新技術のものが故障していたのも皮肉なものです。

 

 


手製本活動(その16:製本教室)

2014年10月23日 16時16分12秒 | 00手製本/製本教室

手製本活動(その16:製本教室)

平成26年10月23日実施した製本教室の制作模様です。

本日は2名のかたが欠席されました。
十分に教室の時間はありますので、作業の要所要所で作業内容のチェックをするとミスが少なくなります。


全体の教室模様です。


前回作成の半革装の製本の完成です。布ばりの表紙に、背は革といった表装です。

 

 

■目引き、背固めの工程の角背・丸背チームの作業状況です。

①本体に紙バンドを巻き、丸い筒とヘラを使用して丸みだしを行います。(丸背チームのみ)

 

②金鋸で背に1.5ミリメール程度に深さの溝を切ります。

 

③背に水溶きボンドを塗り、切った溝に麻紐を入れていきます。

 

⑤最後に和紙を背に張ります。

 

⑥丸み出し、目引き、背固めの工程の終了です。

 


■表紙の作成工程の丸背チームの作業状況です。

①表紙の裏にはる黄ボール紙(厚さ2mm)として、表・裏の型紙を切り出します。背は地券紙で切り出します。

 

②今回はB4版の美術用紙に表紙を印刷していますので、この切り出した黄ボール紙と地券紙を型として鉛筆でなぞり、表紙の枠を確定します。

 

③最後に、水溶きボンドにて、表紙の用紙に、切り出した黄ボール紙の型紙を貼り付けます。ここでの注意事項は角のまるめ処理です。

 

※今回は順調に表紙作成が終わったと思いましたが、本文と合わせたところチリ部分のマージンを取っていないことが発覚しました。
 次回、表紙の再作成するこことなりました。大変残念です。

 

※製本教室の案内は下記のとおりです。


中国新聞文化センター教室部
教室名:クレドビル教室 お問い合わせはTEL082-962-4111へ
講座名:手製本(ルリユール)入門
コース:第2・4木曜 10:00~12:00
講師:広島手製本倶楽部主宰 森川 昌幸
講座内容:自分の本を作りたいが、製本については全く知識がないといった初心者を対象とした講座です。
製本の基礎として、前期3ヵ月間は角背、後期では丸背の製本実習を行います。
専門的な製本道具を用いず、手作り製本が楽しめるようになります。
製本技術をマスターすれば、自分史、ホームページ、ブログや絵手紙など自分のアイデアを活かした本を作ることができるようになります。
受講料:3ヵ月 9720円(5回)
備考:教材費 2,500円

 

広島手製本倶楽部は以下の新アドレスに変更です。
http://minouta17.web.fc2.com/book_index.html

 

 


トリオTS-510+PS-510の修理記録

2014年10月20日 09時01分38秒 | 07アマチュア無線機

トリオTS-510+PS-510の修理記録

トリオのTS-510+PS-510を平成21年8月頃オークションで購入し、長期保存していました。
この度、TS-500の整備に伴い、ついでにTS-510も修理を行うこととしました。
TS-510の修復など簡単なこととたかをくくっていましたが、意外と修理は難航しました。


トリオ TS-510+PS-510の修理記録(その1)(平成26年7月20日から9月末) 

まず最初に、電源部と本体部を目視チェックで、故障や改造部がないことを確認します。
次に、電源部と本体部のコンデンサーを中心とした基本チェックを行い、電源起動してもショートしないことを確認します。
上記条件がOKだったので、電源を起動しました。
トリオTS-500や510の特徴であります突入電流によるドーンという鈍い音とともに電源起動が正常に行われます。
何年も放置されていた無線機は、電源起動によりコンデンサーのリークなどにより抵抗器から煙が出る場合があるので、煙や焼ける臭いがないかどうかチェックが重要です。
当機も、6BM8近辺から焼ける臭いがありましたが、どうも高圧による抵抗器などの埃が原因のようでした。
電源供給が異常がないと確認されたら、電源供給端子での定格の電圧測定を行います。
ここから、各真空管のプレートとスクリーングリッドの電圧測定を行います。
ここまでのチェックは順調に行われました。
しかしながら、全く音声がなく無音です。
勿論、スピーカの断線チェックなどは問題ありません。
ホワイトノイズがありません。
基本的には低周波増幅段の故障と思われますが、低周波発振器で1KHzの信号を注入するとピー音が発生しますので、低周波段はOKです。
ただし、低周波増幅としての利得が少なく、低周波増幅部も部分故障している模様ですが、故障の主原因ではありません。
それではと、RF段から調査するため、TS-510を7MHz帯域として、SSGで7MHzで注入しましたが、無音です。
オシロで波形確認すると、なんとSSGを8.3MHzにするとAF段で検波された低周波信号がきれいに観測できました。
でも、無音です。
RF段、IF段、AF段なにが故障原因か特定できません。
約2か月間いろいろ故障原因を調査しましたが、特定することができませんでした。
なお、TS-510を7MHz帯域でSSGの8.3MHzの信号がmaxで受信できることを単にコイル調整不良とおもっていました。
よくよく考えると、8.3MHzの信号をVFOの4.9MHzで混合すれば、IF段の3,995KHzに同調することになります。
したがって、IF段以降は問題がないはずだが、無音の問題では矛盾があります。
更に、SSGでIF段に3,995KHzを注入すると、今度はピー音が発生するので正常です。キャリア系のVFOやOSCなどの発振も正常です。
真空管、トランジスター、リレー、コイル、コンデンサーや抵抗器等の不具合などを妄想しても故障原因の特定には至りません。
将に難航です。

 

 

 

トリオ TS-510+PS-510の修理記録(その2)(平成26年10月12日)

今回は基本にかえり、各真空管の端子電圧を全て測定するこにしました。
前回までは、手抜きで高圧のプレートとスクリーングリッドの電圧測定しか実施しませんでした。
まず、高周波増幅部の6BZ6のカソード電圧を測定するとなんと0Vです。
それではと、G1グリッドを測定したら、-25Vです。
V301,V304のIF-AMP部の6BA6も同様です。
これでは、真空管の動作点がカットオフされプレート電流は流れず、カソードは0Vであることは理解できます。
何故-25Vとなるかと配線図を見ると、AGCの増幅に2SC373のトランジスターが使用されているが、そのエミッターに-25Vが供給されている。
どうも、この2SC373のトランジスターが故障しているのが原因のようです。
これにより、高周波増幅段から中間周波増幅段までのAGCラインが動作していないことがやっと判明しました。
手抜きせず、基本チェックが重要なことをあらため認識した次第です。

 

 トリオ TS-510+PS-510の修理記録(その3)(平成26年10月18日)

2SC373のトランジスター交換作業を実施しました。
この時期のプリント基盤は部品のチェックや交換がしやすい構造となっており、交換作業もスムーズでした。
なお、最初に判明した低周波増幅の利得不足の件ですが、エージングをしていると自然復旧したようで、正常に戻ってしまいました。
これでは、直せません。
再度、事象が発生したときに修理するこことしました。
故障原因の追及のため、SSGの微小信号を高性能オシロで観察していましたが、ある意味間違ったイメージ信号をあたかも正常な信号ととらえていたことに問題がありました。
高級な測定器も使いこなせないのならただの箱にすぎません。
故障修理も奥が深いということでしょうか。
反省しきりです。
試験用の短いアンテナですが、高感度に受信できるようになりました。受信部の基本的動作については修理完了です。
当面ここまでとし、次回からは送信部のレポートとします。

 

 

TS-510の特徴について

TS-510は、1968年10月に83,000円(※1969年9月のCQ誌では、価格は79,200円となっています)で販売されました。
1968年12月の「電波科学」にトリオ第三開発部からその特集記事が掲載されております。
1966年9月に発売したTS-500を改良したものですが、周波数構成は、ヒース社の機械のものとそっくりとのことです。
また、コイルパックにしてもプリント基板のボードにコイルを直接実装する方式などは完全に真似をしたといっても過言ではありません。
当時は、おおらかだったのか、米国メーカーは、日本の小規模メーカーのコピー製品など相手にしていなかったのかもしれません。
この記事の中で代表的トランシーバの主要規格として、コリンズ社、ドレーク社、ナショナル社、スワン社、ハリクラフターズ社及びヒース社の6種が掲載されております。
価格でいえば、TS-510が83,000円に対し、最安値のヒース社のSB-101がキットといえ370ドルです。
当時の為替レートの360円で計算するとTS-510の83,000円を換算すると230ドルとなります。
米国に輸出すれば、最安値なので、どんどん売れたのではないでしょうか。
これを現在のレートの107円で計算すると、775ドルとなります。これでは、米国では販売競争力はありませんね。
このような米国の市場の中で、米国メーカーは家電と同様に民需の世界から姿を消していきました。
次は、日本の番ということでしょう。
技術開発に夢を持たなくなった会社(国)は、その業界から退場するしかありませんが、また、どこかの国の有志がこの事業を継続してくれることを願うばかりです。

 


以下参考情報です。

コリンズ社
http://members2.jcom.home.ne.jp/je1atw/collins/50years.html

ハリクラフターズ社
http://www.noobowsystems.org/books/hallicrafters/hallicrafters.html

ヒース社
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%83%E3%83%88

 

あとがき(修理についての注意事項)

修復作業は大変困難を伴います。
特に、送信部を伴う真空管式トランシーバーでは、1,000V程度の高圧部分があります。
絶対に感電しないようにしてください。
修理を行うにあたり、今回ではメーカのサービスマニュアル、操作説明書及び回路図の事前準備が最低限必要となります。
また、各真空管、トランジスターなどの予備部品も用意します。
測定器としては、60MHz程度のシンクロ、SSG、周波数カウンター、低周波発振器及びテスターが必須となります。
ネット情報だけで安易にまねをしないで下さい。
大変危険です。

 

以下オークション取引記録です。

トリオ TS-510+PS-510 投稿日:2009年 8月22日(土)22時18分7秒 

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落札コメント
昔ほしかったメーカ製の真空管式のSSBのトランシーバがよくyahooに出展されている。
今までは、落札する意志がなかったが、SSBのトランシーバを製作していると、突如ほしくなった。
このクラスは中途半端なため、競争が少ないようなので低価格で落札することができた。
少し時間はかかるが、将来整備してみたい。
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商品の情報
 現在の価格 : 10,100 円
 残り時間 : 終了 (詳細な残り時間)
 入札件数 : 17 (入札履歴)
 詳細情報
 個数 : 1
開始時の価格 : 2,000 円
 落札者 : mxxxxxxx 評価:126 (評価の詳細)
 開始日時 : 2009年 8月 11日 20時 44分
 終了日時 : 2009年 8月 18日 20時 32分
 早期終了 : あり
自動延長 : あり
 オークションID : b103242237
商品の状態 : 中古
 返品の可否 : 返品不可
 出品者の情報
 出品者 : jxxxxxx (自己紹介)
 評価 : 191 (評価の詳細)
商品発送元地域 : 愛知県
商品説明
トリオのトランシーバーTS-510+PS-510です。
 動作未確認で古い物で汚れ、サビ等あります。欠品はないと思います。写真を参照下さい。
 ノークレーム、ノーリターンでお願いします。
 発送は2個口になります。

 

 

 


手製本活動(その15:製本教室)

2014年10月09日 21時52分22秒 | 00手製本/製本教室

手製本活動(その15:製本教室)

平成26年10月09日実施した製本教室の制作模様です。

本日は10月開講の初回日となりますが、今回新たに2名のかたが受講されました。
このため、会議型の机から教室方式に配置を変更しました。
少し生徒の皆さんには、作業がやりにくいかもしれません。


全体の教室模様です。


前回作成の半革装の製本の完成です。これで箔押しがあれば最高です。

 

 

おまけ;革すき風景

 

 

■本体部の折丁づくりの工程のチームの作業状況です。

①横目のA4用紙には、各生徒さんのご希望の内容を事前にこちらでレーザプリンターで印刷を行っております。
 印刷については、冊子印刷機能でA5版の縮小印刷を行います。

②この用紙を半分に折り、ヘラにてきれいに伸ばすといった単純作業です。

③後は捨て紙と合わせ、プレスして完了です。

④新受講者については、黄ボール紙でプレス用紙と舟底板を作成します。

 


■本体部作成2:見返し、天地のやすりかけ、寒冷紗貼り、はなぎれ、しおり、クータ貼りの工程の丸背チームの作業状況です。

①捨紙をはがし、全体的にお掃除します。

②本来は裁断工程ですが、天をやすり(#240)がけし平らにします。

③クータを準備し、しおり紐や花布を教材の中から選び、見返しを貼ります。

④しおり紐、花布。寒冷紗の順番で背に貼ります。

 

⑤最後に、クータを背に貼って完成です。

 

 

■表紙と本体部の合本処理丸背チームの作業状況を以下に示します。

①事前に表紙と本体部を合わせ、チリがきれいにとれているか確認します。

②確認が完了すれば、水溶きボンドにて、背のみ表紙と本体部を仮接着します。10分程度で接着が完了します。

③表紙と本体部の見返しを接着する前に、チリ調整します。基本的には、糊付けにより2mm伸びますので、その分だけ事前に切断する必要があります。
 また、本体部の変形等にり、チリが斜めになった場合もこの時点で修正します。

④表紙と本体部の見返しをでんぷん糊を使用して接着します。この時クッキングペーパーを敷いておきます。

⑤次に、船底板を利用して溝をつけます。

 

⑥最後、溝に竹ひごをつけ、プレスして完了です。

 

 

 

※製本教室の案内は下記のとおりです。


中国新聞文化センター教室部
教室名:クレドビル教室 お問い合わせはTEL082-962-4111へ
講座名:手製本(ルリユール)入門
コース:第2・4木曜 10:00~12:00
講師:広島手製本倶楽部主宰 森川 昌幸
講座内容:自分の本を作りたいが、製本については全く知識がないといった初心者を対象とした講座です。
製本の基礎として、前期3ヵ月間は角背、後期では丸背の製本実習を行います。
専門的な製本道具を用いず、手作り製本が楽しめるようになります。
製本技術をマスターすれば、自分史、ホームページ、ブログや絵手紙など自分のアイデアを活かした本を作ることができるようになります。
受講料:3ヵ月 9720円(5回)
備考:教材費 2,500円

 

広島手製本倶楽部は以下の新アドレスに変更です。
http://minouta17.web.fc2.com/book_index.html