韜晦小僧のブログ 無線報国

真空管式ラジオ、軍用無線機やアマチュア無線機の修復の記録
手製本と製本教室の活動の記録
田舎暮らしの日常生活の記録

トリオ 9R-59の定期点検 その1(令和05年06月26日) 

2023年06月26日 16時17分27秒 | 07アマチュア無線機

トリオ 9R-59の定期点検 その1(令和05年06月26日) 
その1(令和05年06月26日) 基本的な動作確認作及び周波数カウンター取付け作業

本機トリオ9R-59通信型受信機 修理(平成23年(2011年)5月4日から5日)
http://minouta17.web.fc2.com/ham-9R-59.html
修理を完了しております。
なお、修理完了後は倉庫にて長期保管していましが、修理後10数年放置状態だったので、久方ぶりに定期点検を実施するこことしました。
環境の悪い倉庫の中での保管という条件だったので、どのような状態となっているのか少し心配でしたが、電源を起動しても10年前の修理完了の良好な状態で受信することが確認できました。
少し安心していたら、受信状態が突如無音になる事象が発生しましたが、状態を変化させるとまた正常に戻ってしまい、異常時の状態を維持できないので対処のしようもありません。
どうも熱の発生により、故障を誘因するめようですが、能動素子でも受動素子でも故障の可能性がありそうです。
本故障については、故障の再現が確認されたときに検討するこことして、今回は本題の周波数カウンターを取付け受信機のデジタル化を計るこことします。
本「周波数加減算機能付き青色LED6桁デジタル周波数カウンター(測定範囲:0.1MHz~65MHz)」はネットで事前に購入したものです。


9R-59に周波数カウンターを接続する作業手順について
周波数カウンターへの入力の取出し口は、9R-59の局部発振管6BE6のG1からです。
ここでは半田付けではなく、G1のビニール線にワニ口クリップで取付けるだけとしてOSCの浮遊容量の増加を極力防止するとともに、いつでも撤去することができるようにしておきます。

更に、ワニ口クリップをつけたビニール線は、シャーシの上部に、中継ラグ板を用意して、そこに半田付けしておきます。
周波数カウンターはいつでも取替え可能の状態にするため、これもワニ口クリップ接続して、中継ラグ板と接続します。

ここで、周波数カウンターを接続した仮テストを実施し、OKなら上部ケースを装着して作業完了です。

悦に浸って、受信を楽しんでいると、突如受信が途絶え無音の状態が発生しました。
原因不明の故障の発生ですが、よく見ると周波数カウンターが0を表示しています。
怪我の功名というと正しい表現ではありませんが、局部発振が停止しているのが故障の原因であることが判明しました。
このような故障状態は真空管の問題の可能性が高いと想定されますので、早速6BE6の交換作業を行います。
真空管は国産品ではなく、GE製の6BE6で交換して、修理完了です。

 
10年前の修理記録をみると、MIXERとOSCの2本の6BE6は交換していますが、その当時は真空管試験機を使用せず適当な国産の中古品を充当したのが、今回問題が発生した原因のようです。

本機9R-59はトラッキング調整が良好なようで、受信周波数の把握については、ダイヤル板の目盛と周波数カウンターとの実測値に誤差が少ないものでした。
流石、春日無線の優秀機ということですが、ネット情報ではトラッキング調整を進める記事が多数出ていますが、素人が下手に触るものではありません。


本文へ

 

参考文献


広島戦時通信技術資料館及は下記のアドレスです。
http://minouta17.web.fc2.com/

 


トリオ TS-510 + PS-510の定期点検 その3(令和4年09月25日)

2022年09月25日 10時59分48秒 | 07アマチュア無線機

トリオ TS-510 + PS-510の定期点検 その3(令和4年09月25日) 
その3(令和4年09月25日) 送信部の動作確認等の作業

空中線端子にダミーロードを接続して送信試験を実施します。

ところが、毎度のことですがシーメンスキーをSEND側に倒しても送信モードになりません。
50年前の無線機を数年もほっとらかしにしておいて、急に通電してもなかなか本調子の動作は期待できません。
特に、トランシーバーでは受信から送信モードに移行するためには、リレーを介して行っていますが、このリレーが固着しており、かなりのエージングが必要です。
実際の復旧方法は、シーメンスキーを複数回動作させ、正常なリレー動作になるまで実行するしか手立てはありません。
本機TS-510の場合には、理由はわかりませんが、CWモードに切り替えるとわりと早く正常動作になってくれました。
早速ですが、④送信時にIPのアイドリング電流が30mAしか流れず定格電流がでない(前回の修理で対応できなかった)なお、CWで10から20Wの出力の確認を再度検証とすると、CWでは調整を厳密に実施すると軽く100Wをこえる出力を確認しましたが、IPのアイドリング電流が30mAしか流れず定格電流の60mAはなりません。
この原因として、送信管S2001の不良が考えられますので真空管試験機で測定しましたが、特に問題はありません。
やはり残念ながら原因不明のままで定期点検を終了するこことしました。
このままでは、歪んだ送信電波となりそうですが、本機で電波を出すことはありません。

 

定期点検での課題
・LSB、CWは問題ないのですが、USBは再度発振停止したようで受信ができません。
・再度無音が発生しましたが、今度は本体部のコネクターの端子が錆による酸化被膜ができその抵抗値が大きく、SPの8Ωの低インピーダンスでは減衰が大きいようです。やすりがけで端子を削りましたが、接触不良が少し残っております。
・送信時にIPのアイドリング電流が30mAしか流れない。
・CWモードで受信するとビート音が発生するようになった。

 

本文へ


参考文献

広島戦時通信技術資料館及は下記のアドレスです。
http://minouta17.web.fc2.com/


トリオ TS-510 + PS-510の定期点検 その2(令和4年09月19日)

2022年09月19日 10時39分44秒 | 07アマチュア無線機

トリオ TS-510 + PS-510の定期点検 その2(令和4年09月19日) 
その2(令和4年09月19日) 受信機の無音対策等の修理作業

動作確認中に突然電源が落ちる事態となり、少し立ち止って考えることとしました。
本機の修復作業は7年前のことですっかり当時の故障状況については忘却していましたので、あらためて過去の自分のブログを読み返すと、今回の無音なる故障事例は当時から発生していることが判明しました。
要は無音に対する故障対応は行っていたと思っていたのですが、実は故障が再現しただけのようです。
このため今回は本気で故障対応するこことしました。
まずは、今回の動作確認で副次的に発生した電源が起動できない件の対応ですが、冷静に考えると単にACラインのどこかに問題が発生しただけですのでライン調査することとしました。
そうすると、電源SW付き音量調整器(500KΩA型)の電源SWが故障していることが判明しました。
この電源SW付き音量調整器(500KΩA型)については、TS-500の修理の時にも壊してしまったことを思い出しましたが、TS-510の電源SW付き音量調整器(500KΩA型)はTS-500のものよりも更に貧弱の部品を採用しており、とてもアマチュアとはいえ通信機に採用する部品規格ではありません。
また、この取付方法がこの電源SW付き音量調整器(500KΩA型)だけが、その他の正面パネルに取付けられている部品と異なり、シャーシとパネルの間にねじ止めされているため、ねじの取り外しと取付に難航しました。

 

①受信時、時々受信不能の状態が発生することへの対応
正攻法の対応として、無音状態の時にSSGにて7Mhzの信号をTS-510に注入して、検波以降のステージの信号をオシロで観測しました。
この結果として、最終段の6BM8の出力トランスまで信号は問題がないことを確認しました。
試しに、無音状態の時に正面パネルのPHONESのJACKにスピーカを接続すると問題なく信号音を聞くことができました。
どうもJACKについては長期間放置していたため接触面に錆が発生し、このため錆の影響により接触不良を起こしてようです。
JACKを交換するのがベストですが、配線図と異なることから、今回は簡易対策としてジャンパー線で対応するだけとしました。

 

②MODEの切替では、LSB、CWはOKだが、USBでは受信不能となることへの対応
本機の機能については、キャリア発振部の問題となるので、回路図で見るとUC1405Jの箇所となるので、回路図とパターン図を参考に掲載します。
中間周波数3395.0Kcに対して、3393.5KcがLSB、3394.3KcがCW、3396.5KcはUSBの搬送波となります。
このため、3396.5KcはUSBが発振していない可能性があるので、この確認が必要です。
今回確認試験すると、LSB、CW、USBの全モードで発振が確認できると同時に受信にも問題がないことが確認されました。
今回の無音対応の動作確認でかなり時間のエージングを行ったことがよかったのか、自然回復となりました。
なお、この水晶子などの故障であれば、水晶を特注する会社も現在ではなく全く対応できない事態となるでしょう。

※参考にTS-510を開発同時に本機の特集を行った電波科学1968年12月号を紹介しますが、この当時アメリカではアポロ7号の発射直前のことのようで、経済力、技術格差など国力においては比較にもならなかったことを今反芻しています。
また、表紙のヒースキットのSB100が掲載されていますが、トリオは本機とハードウェア構成特にコイル切替機構などの類似がみられ、かなり参考というよりか完全に真似を行ったように見受けられます。


本文へ


参考文献
電波科学 1968年12月号 日本放送協会

広島戦時通信技術資料館及は下記のアドレスです。
http://minouta17.web.fc2.com/


トリオ TS-510 + PS-510の定期点検 その1(令和4年09月15日) 

2022年09月15日 09時21分51秒 | 07アマチュア無線機

トリオ TS-510 + PS-510の定期点検 その1(令和4年09月15日) 
その1(令和4年09月15日) 基本的な動作確認作業

本機は、平成26年(2014年)7月20日から平成27年(2015年)7月7日に修復作業を行って以来、静態保管していました。
したがって今回の定期点検は7年ぶりに実施することになりました。

早速動作試験を行ったら下記の問題が発生しました。
①受信時、時々受信不能の状態が発生する
②MODEの切替では、LSB、CWはOKだが、USBでは受信不能となる
③100KCのマーカーが発振していない模様
④送信時にIPのアイドリング電流が30mAしか流れず定格電流がでない(前回の修理で対応できなかった)なお、CWで10から20Wの出力を確認

やはり50年前に製造されたアマチュア無線機器のためか想像以上に問題点が多発していますが、一つ一つ解決するしか方法はありませんが、重症なのは「①の受信時時々受信不能の状態が発生する」の項目ですので、当面はこの問題を解決するこことしました。
この受信不能の故障事象をもう少し具体化して説明すると、受信不能というよりも、無音となることでホワイトノイズもありません。
まさにMUTEの機能が動作したような無音となります。
また、無音となったかと思うと、正常な受信状態に復帰ことを繰り返します。
また、Sメーターは動作していることから、高周波増幅段から検波段までのAGCラインを含む系には特段問題がないといえます。
したがって、低周波増幅段の固有の問題であることが強く疑われます。
またトリオでは本機からプリント基板が採用されています。
修理にはこのプリント基板の部品のパターン配置などの設計情報があれば便利なのですが、国内のネット情報ではありませんでしたが、何故かヨーロッパのRadioManual.euに必要で情報がありました。
日本の消費社会から見ると、このネットでもわかりますが、ヨーロッパの人々が文化を如何に大切にし、かつ保存活動をするのか頭が下がる思いです。
故障解析のため、全体のブロック図と低周波増幅部の回路図、パターン図及び関連の写真を示しますが、基本的には2SC7373、6BM8の3極部による電圧増幅2段と6BM8の5極部による電力増幅部から構成されています。
少し複雑さがあるのは、CW操作時のサイドトーン発振音を5極部へリンクしている点ぐらいです。


まずは、基本的な動作確認として電源を起動してAF段の音量調整用のVRに手を当ててみると、正常ならハム音が聞こえますが、無音のままです。
次に6BM8のプレート、G2、カソードの電圧をテスターで測定しましたが、電圧自体問題はなく、正常値を示しています。
低周波発振装置で1Khzの信号をAF段の音量調整用のVRに当ててみると、正常ならピー音が聞こえますが、これも無音のままです。
更に、この無音の状態と正常に受信できる状態が交互に変化していましたが、最終的には無音状態で変化しなくなりました。
無音状態で安定したようなので故障原因の解析にはやりやすくなったといえます。
ここまでで、出力トランスの断線やプレートやG2へのバイパス用の電解コンデンサーのリークなどは原因から除去できます。
ここまでくると、能動素子である6BM8自体の不具合が強く想定されていたので真空管試験機で確認する前に、新品と交換して試験しましたが、これも無音のままでした。
更に音声調整用のVRを上げ下げすると、突然電源が落ちました。
何かがショートしたのかと、電源部のヒューズ(8A)を確認するも溶断はしていません。
これでは故障調査が原因で、更に機器を何かの自分の不注意で壊してしまったようです。
これは最悪の状態です。
これ以上調査を進めるか、断念するのか少し冷却期間が必要なようです。


本文へ


参考文献
RadioManual.eu(Amateur radio, BCL manuals and diagrams Manuali e schemi per radioamatori e BCL)
http://www.radiomanual.info/schemari.html

大型ラジカセのRX-5350修理考
https://blog.goo.ne.jp/minouta17/c/96418af755859afee3d14a09566aa4bb/4

 

広島戦時通信技術資料館及は下記のアドレスです。
http://minouta17.web.fc2.com/


八重洲FT-400Sの修復作業記録 その5(令和4年09月03日)

2022年09月03日 14時17分37秒 | 07アマチュア無線機

八重洲FT-400Sの修復作業記録 その5(令和4年09月03日)
その5(令和4年09月03日) 送信機能試験の確認等の作業

INSTRUCTION MANUALに簡単な送信操作法の記載があります。
まずマニュアルでは、試験のためのダミーロードの作り方がありますが、当時SWR計などの洒落たものを購入する人は少なく、多くの人は電球で代用するのが一般的でした。
とりあえず、送信操作法に従って送信機の機能確認を行った結果、CWモードで約10Wの出力を確認しました。
また、試しにダミー電球でも送信機能を確認しました。

 

なお、SSBの実運用のためには、3極のプラグ付きの50KΩのダイナミックマイクが必要となるので、参考に接続方法を掲載しておきます。
八重洲の純正のマイクを所有していないため、既存のトリオのMC-50を少し改造して代用としました。
ただし、トリオのマイクは4端子のインターフェースですが、八重洲のものは3端子と異なっているので変換する必要があります。

最後に、八重洲の純正のスピーカーを接続し、スピーカーに問題がないことを確認して修理作業を完了としました。
最後の最後に、VFOの周波数校正をしようとして、SSGで7.000Mhzを注入したところ、校正誤差0でした。
トリオの製品ではVFOの校正は必須でしたので、八重洲製品の完成度の高さにビックリした次第です。
全ての修理が完了したので、梱包しなおして来年の断捨離品として出品するためお倉入れとします。


本文へ


参考文献
FT-400SユーザーマニュアルPDF版

https://drive.google.com/file/d/1SUGPZh-8eP70hTNBDhj14L5slYWt4vbB/view?usp=sharing

 

広島戦時通信技術資料館及は下記のアドレスです。
http://minouta17.web.fc2.com/