九四式二號乙無線機二七號型受信機の修復作業記録 その5 (2016年10月23日)
感度不足を解消するための調査をしていると、急に受信機能を失う羽目となりました。
意気消沈です。
やっと、ここまで来たのにまた振出となりました。
ここで断念するか、再度気力を取り戻し修復作業をするかの瀬戸際ですが、こりずに、後者を選択し調査再開です。
基本に戻り、真空管端子の電圧測定から開始します。
といっても、低周波段には問題はありませんので、とりあえず高周波段から開始します。
そうすると、周波数変換段のUZ-135のG2端子に電圧がなくなっていました。
このため、局部発振の不具合が生じています。
問題は簡単に発見されましたが、この原因がコイルパックの断線が原因のようなのでコイルパックの分解調査が必要です。
旧軍のコイルパックの分解は、機種ごとに異なり、螺子の固着もあり、分解する手順がわからないと難解な作業です。
なんとか、分解して中身を確認するとコイル端子部分で配線のはんだが外れていました。
いままで、動作しており、急に配線がこれだけ外れる現象は実は理解できませんが、現実に起こったことと理解するほかありません。
とりあえず、はんだ付けして完了です。
コイルパックを装着し、まずは受信機の状態を確認してみると、なんと7Mhz帯でアマチュア無線の電波が感度よく受信できるようになりました。
前回までの受信機の高周波段の感度不足の問題が解消した理由がわかりません。
大変不思議な現象ですが、何が何だかわかりませんが、修復作業は完了となりました。
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再生検波方式について
本機では、検波菅の出力側に現れる高調波成分の一部を、同位相で入力側に帰還して、検波菅の入力抵抗を負とし、入力側同調回路の実効Qを高めて鋭い選択度と高い検波利得を得る再生検波方式です。
再生検波回路で、スクリーングリッド電圧によって検波菅のgmを加減して再生状態を調節します。
なお、SSBにも対応可能ですが、調整がクリチカルなのが難点です。
中間周波数について
受信周波数を10目盛単位に中間周波数を測定し、平均で383Khzとなりました。
したがって、実効中間周波数はほぼ385Khzと思われますが、陸軍では中間周波数として、400Khzか450Khzを採用しています。
ひょっとすると、仕様的には、400Khzだったかもしれません。
残念ながら、日本無線史9巻では、中間周波数までは記載されていません。
94式2号乙無線機の本文は下記のアドレスです。
http://minouta17.web.fc2.com/army_94-2-otu.html
広島戦時通信技術資料館及は下記のアドレスです。
http://minouta17.web.fc2.com/