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韜晦小僧のブログ 無線報国

真空管式ラジオ、軍用無線機やアマチュア無線機の修復の記録
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96式空2号無線電信機受信機部の定期点検記録 その1 (2016年02月02日)

2016年02月02日 17時14分04秒 | 5096式空2号無線機修復記録

96式空2号無線電信機受信機部の定期点検記録 その1 (2016年02月02日)

1984年(昭和59年)頃に本機を入手しましたが、これが旧軍無線機の収集と修復を行う契機となりました。
修復には2~3年かかったと思いますが、アマチュア無線の世界から足を洗っていたせいで、修理道具や部品の入手には苦労しました。
この時期は特に真空管の絶滅期であり、戦時中のST管などは市場には出回らなく、また、インターネットによるオークションもない不遇な時代でした。
それでも、ここ広島では、松本ジャンクセンターにいけば何とかなる頼りがある親爺さんがいたので大変助かりました。
なんとか、修復して2メートル程度のショートアンテナで短波放送が受信できるようになると、部屋の隅っこに放置し、約30年が経過してしまいした。
なぜ、放置したかというと、この96式空2号無線電信機は受信機部しかなくカバーもなく見てくれが悪かったこと。
また、ヒーターが12V駆動のため運用がつずらいこと等が原因でした。
2015年11月に96式空2号無線電信機受信機部がオークションに出品されたの機会に、本機の定期点検を30年ぶりに実施するこことしました。、

定期点検記録 その1
本来なら電源系のショート状態を確認して通電すべきですが、確認をパスし、通電の準備をします。
ヒータ用の12V電源は、バッテリチャージャで代用します。
受信機能があるかどうかは確率半々と思っておりましたが、通電したところ残念ながら無音です。
やはり30年の歳月では、受信機能を正常に保つのは無理だったようです。
通電して、10分程度経過すると音声ボリュームを廻すと「カリカリ」というオーデオ音というか雑音が聞こえるようになりました。
ここで、本来の手順であれば、基本である各部の電圧測定をすべきですが、今回はパスし、SSGとオシロによる波形観測を実施します。
そうすると、SSGの変調波をとらえ、微弱ですが400Hzの音声が聞こえます。
なお、オシロの波形では、IF段で測定しても635KHzの中間週数の波形ではなく、SSGの生波形のままです。
どうも、局部発振部に問題がありそうです。
確認のため、周波数変換部6LG7のグリッドに直接ロングワイヤーのアンテナを接続すると、夜間・電波伝搬も良好なのか大音量で放送波が受信できます。
ミキサー部以降のステージには問題なく、確実に局部発振部の不良が故障原因のようです。
局部発振部の回路を観察すると、なんと30年前に自分で修理したところのはんだ付けが不良と判明しました。
配線をやり直し、修理完了です。
当時は測定器もありませんでしたので受信周波数も測定できませんでしたが、今回正規に測定してみました。
日本無線史の記録では、長波0.3~0.5Mhz、短波5~10Mhzとありますが、実測では、短波4.5~8.5Mhzでした。
なお、中間周波数は635KHzです。

 

改良工事の変遷について
本機は、96式空2号無線電信機改として数度の改良がおこなわれました。
完全オリジナル(出典元;マーク氏所有分)


まず、真空管をST管から万能管のFM2A05Aに換装するとともに、長波廃止、AVC機能の省略等に伴い受信機の全面パネルのトグルSW等の変更。
(出典元;2015年11月オークション)


さらなる改良では、BFOのピッチコントロールの追加等が実施されています。
(出典元;ラジオライフ1984年9月号)

 


また、敗戦間際には、万能管のFM2A05Aの歩留まりの悪化対策として、真空管「ソラ」に換装された。
回路図のみ


最後に本機を
搭載していた航空機「99式艦上爆撃機」の紹介です。
(出典元;飛行機銘銘伝 第一巻 天の巻)


 

 

広島戦時通信技術資料館及は下記のアドレスです。
http://minouta17.web.fc2.com/


 


96式空2号無線機修復記録No08

2011年01月02日 11時45分58秒 | 5096式空2号無線機修復記録

当96式空2号無線機は、日本無線により昭和15年度に製作されている。その後故障により修理がされていることが、写真の蓄電器(コンデンサー)の部品でわかる。この部品のみ昭和18年度の表示で、且つ製造メーカもTKSのマークがある。

昭和15年であることから、日米開戦前の製造であり、製作も大変丁寧である。その後、修理もされたが、最終的には故障のため航空機から取り外されたため、終戦で破壊されることなく、保存されたのだろう。

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検波・AVC附近の回路

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昭和18年に故障のため修理箇所(TKSのマークの蓄電器)

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オリジナル部品

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オリジナル部品(日本無線のマークあり)

   


96式空2号無線機修復記録No07(ブログテスト送信)

2010年12月30日 15時23分36秒 | 5096式空2号無線機修復記録

 

復元作業報告No07について(平成22年11月28日)

高周波段から中間増幅段までの組立用部材が用意できたので、前部の組み立てに入ることとする。
ここで問題なのは、各部材がシャーシを中心とし上下の部品配置となる立体配置であることから、組立順番を間違うと組立てられないこととなる。
一例であるが、中央の3連バリコンを外すためには、まず局部発振用の真空管の下部のシールドケースをはずす。それから、L15,16の高周波増幅、混合部のコイルパックをはずすこと。更に、前部パネルのパイロットランプケースを外し、その横のC25の高周波増幅調整用のバリコンをはずすこと。つづいて、その横の空中線強弱のトグルスイッチをはずす必要がある。
最後に同調用のバーニア・ダイヤルをはずし、全面パネルの接続螺子を全部外すし本体から全面パネルを切り離すことにより、やっと3連バリコンの脱着が可能となる。部品配置で失敗するごとにこの手順を延々繰り返すこととなる。余談だが、局部発振用コイルパックは3連バリコンの直下にあるため、3連バリコンより前に取付けする必要がある。
実は、20年前に部品をばらばらにした後放置していたため完全に忘却しており、今回ジグソーパズルのように組立方法を試行錯誤する羽目になった。
将にこの無線機は、民需の大量生産とは無縁の第一級工芸品そのものである。

上部3連バリコン附近の構造

 

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前部高周波増幅部の附近の構造

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高周波増幅部下部附近の構造

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IFT部附近の構造

 

 

 

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前部同調バリコン附近の構造

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上部高周波増幅部附近の構造

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上部全体構造

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前部パネル部

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低周波発振部の動作試験

送信時の電信キーを受信部で発振させるとともに、低周波増幅段に帰還させることにより、電信音を発生させている。

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