韜晦小僧のブログ 無線報国

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陸軍航空機のT式方向探知機(AN方式)器材の解説について

2022年05月12日 12時39分49秒 | 01陸軍無線機器

陸軍航空機のT式方向探知機(AN方式)器材の解説について

飛3号無線機を調べていると回路図の接続筐に1号航路標識受信機への接続インターフェースが記載されていることに気付いた。
99式飛3号無線機(2型)の回路図

以前ネットで航路計なるメーターを目にしていたことと、陸軍の航空機搭載用の型式不明の方向探知機を昔所有していたので、今回あらためて陸軍航空機の方向探知機に関する調査を行うこことした。
とはいっても、方向探知機など現代社会では完全に絶滅危惧種だろうが、昭和の生き残りのものとして、最後のあがきに記録資料として留めておくことにする。
航路計


飛2号方向探知機の初期型(?)

まずは、戦史叢書 陸軍航空兵器の開発・生産・補給 防衛庁防衛研修所からの抜粋する。
無線航法器材
地上用及び機上用方向探知機に次いで実用化された無線航法器材は、航法用送信機と盲目着陸装置であった。
航法用送信機は地上に設置して、A1電波を発射し、機上用方向探知機がこの電波を測定して飛行方向を決定するための航法用器材で、空中線電力を異にする2種類が制定された。
盲目着陸装置は、既に昭和10年ころ独国ロレンツ社製のものを購入し、同社技師指導のもとにまず狭山飛行場に設置して試験したことがあったが、これを原型として、昭和15年、日本無線株式会社が国産化した。
本装置の地上装置はラジオビーコン、着陸信号送信機及びこれらを遠隔操作する中央指令装置から成り、機上装置はラジオビーコン受信機、着陸信号受信機から成っていた。本装置は北海道方面に配置されたものの、航空部隊全般の計器飛行能力が伴わなかったので、あまり利用されなかった。

次に、公式資料である日本無線史9巻からの航空機用の方向指示関係器材を以下に抜粋する。
1.航法用1号無線機
本機は地上に設置してA1電波を発射し飛行機上にある飛1号方向探知機乃至飛3号方向探知機に依り電波を測定し方向を定め飛行方向を決定する航法用器材の1つである。
1.送信機(水銀蒸気整流器附)
方式 水晶発振-電力増幅
周波数範囲 265-1,500kc
空中戦電力 5kw(A1の場合)
電波形式 A1
2.空中線
形式 逆L型
柱高 必要に応じて定める

2.航法用2号無線機
本機の用途は航法用1号無線機
と同一である。
1.送信機(水銀蒸気整流器附)
方式 水晶発振-三段増幅
周波数範囲 265-1,500kc
空中戦電力 1kw(A1の場合)
電波形式 A1
2.空中線
形式 逆L型
柱高 必要に応じて定める

3.飛1号方向探知機(大型機用)
https://minouta17.hatenablog.com/entry/2019/07/02/110530

受信機
方式 高周波増幅1段-周波数変換-中間周波増幅2段-オートダイン検波-低周波増幅2段
周波数範囲 550-1,200kc(1型)
      160-375kc  550-1,300kc(2型)
空中線
中径40糎(センチメートル)のループ
電源 直流変圧器
入力 24V 2.9A
出力 200V 40mA
   13V 1.8A

4.飛2号方向探知機(中型機用)
https://minouta17.hatenablog.com/entry/2019/07/02/111052
受信機
方式 高周波増幅1段-周波数変換-中間周波増幅2段-オートダイン検波-低周波増幅2段
周波数範囲 200-375kc 550-1100kc
空中線
中径20糎(センチメートル)のループ
電源 直流変圧器
入力 24V 2.4A
出力 100V 40mA
   13V 1A
本機の外に飛3号方向探知機(本機の受信機に空中線として)中径10糎(センチメートル)の円筒状ループを有するもの)を小型機用として使用する如く制定したが遂に実用するに至らなかった。従って本機は小型機用にも使用された。
本機の空中線は流線形絶縁体の中に納められ飛行機機体外に装備された。

日本無線史の資料だけでは、航法用無線機がA1電波を送信し、その電波を航空機搭載の方向探知機が受信してホーミングの方向を決定するという大変アバウトな内容しか理解できない。そこで、ネット検索すると以下の2つのキーワードにつきあたった。
1.ドイツから輸入したテレフンケン社の機上方向探知機EZ-2を手本として開発
2.陸軍航空機の方向探知機はAN方式を採用

この結果、陸軍の方向探知機の中核技術は、AN方式ということになるが、ネットではこれ以上の情報はないようである。
そこで、昭和16年発行の無線工学ポケットブックを参照すると、テレフンケン会社の方式として方向探知方式とし、AN方式の記載があった。

以下文書にすると以下の通りである。
a.テレフンケン会社の方式
第24・71図に示す如く枠形空中線に垂直空中線効果を加え、その位相を転換器によって交互に逆転するものである。これによって第24・72図に示す如く2個のハート形受信特性が出来るから、この切換をA(- -)N(- -)の符合に従って行へば等強度線の方向から電波が到来した時連続音を聞き、これより左又は右にずれることによってA又はN音を聞くから、聴覚によってAN式帰還装置となる。又この切換を毎秒10回程度とし、出力直流電流計の極性を同期的に逆転すれば可視式となる。
通常状態では枠形空中線はその面が機体の方向と直交する位置に固定されるが、これを回転して方向探知を行うことも可能である。然し機械式切換装置を有するために切替時にクリックを発生し易い欠点がある。
本方式の代表的なものはテケフンケン会社製P-55N帰還装置で、その全重量は約27kgである。

この説明でANとはモールス符号の“A”と“N”のことだとやっと理解できた。

方向探知機の原理

飛2号方向探知機の回路図

回路図から枠型空中線と補助空中線の関係、使用区分として、以下の受信、A/N、∞の3モードがあるようだ。
受信モード:一般の放送や無線通信を受信モード(枠形空中線の切替なし)
A/Nモード:方向探知モード(枠形空中線の切替を行う)
∞モード:単一方向決定モード(枠形空中線に補助空中線を接続する)
上記から情報を総合的に判断して方向探知機の全体概要を解説するこことする。
航法用1号無線機、航法用2号無線機は、ホーミング用の電波発信源とし2ヵ所設置し、1つにはモールス符号のA(ト、ツー)を自動発振し、もう一つではモールス符号のN(ツー、ト)を自動発振する送信源として距離をあけて2局ほど設置する必要がある。
航空機搭載の方向探知の仕組みは下記のとおりである。
方向探知のシステム構成図

上記仕組みは、飛1号方向探知機として実現しており、指示器としては航路計として表示することができる。


飛2号方向探知機は、第24.71図のテレフンケン会社の帰還装置のS1を省略した簡易版として、指示器の代わりにモールス信号の音声で方向が分かる仕組みである。

枠型空中線と補助空中線の関係について
枠型空中線のみでは8の字特性しかなく、目的の方向及び180度の逆の2つの解が生じることになる。
このため、枠型空中線に補助空中線(無指向性)を同時運用した場合には、合成受信起電力がハート型の受信特性となり真の方向のみが表示されることになる。
このため、ANモードで方向決定したあと、∞のモードに変更して、その方向の真偽を確認することとなる。

 
参考資料
無線航法についての記述があるので添付する。(陸軍航空隊には航測隊なる支援部隊があったようだ)

<R04.05.14>追記
航測隊に入営、航測手として 南方方面転戦記 山形県 鈴木栄三郎
https://www.heiwakinen.go.jp/wp-content/uploads/archive/library/roukunote/onketsu/07/O_07_195_1.pdf

地1号方向探知機
https://minouta17.hatenablog.com/entry/2019/07/02/110328




参考情報
海軍航空機の無線帰投装置の考察

https://minouta17.hatenablog.com/entry/2020/04/10/093455

 


参考文献
「日本無線史」9巻 1951年 電波管理委員会
無線工学ポケットブック 社団法人日本ラヂオ協会 昭和16年7月発行 
横浜旧軍無線通信資料館 HP、掲示板、FB
戦史叢書 陸軍航空兵器の開発・生産・補給 防衛庁防衛研修所


陸軍戦闘機の無線兵装の実装の実態について

2022年05月07日 08時40分12秒 | 01陸軍無線機器

陸軍戦闘機の無線兵装の実装の実態について

陸軍戦闘機用無線機には、飛3号無線機が使用されており、通信距離100粁(km)、短波を使用、重量15kg以内、電話を主とし、電信の使用も可能というのが基本的な諸元である。
なお、通信距離100粁は対地通信の条件であり、編隊内電話通信については戦闘飛行団戦闘の要求(所要通達距離50粁)を満足させることは出来なかったとのことである。
今回は陸軍戦闘機に搭載された無線機がどのように実装されて、如何に使用されたかなどの実態を具体的に検討することとした。
まずは飛燕に搭載された99式飛3号無線機を参考に示す。

上記資料から飛3号無線機の受信機はパイロットのコックピットの前面フロントの真ん中下部に設置されている。
送信機はパイロットの背後の空きスペースに収容されている。
コントールBOXである接続筐は、右横の上部に配置されていることが分かる。
ここで疑問がでるのは、何故コックピットのフロントの重要な部分に、大きな体積を持つ受信機を設置する必要があったのかである。
日本海軍の戦闘機では、このような配置ではなく、96式空1号無線機の受信機と送信機をコックピットの右サイド下部に配置しているが、このため無線機の形状は奥行が極端に短い特殊な形状となっている。
このような無線機配置のため、無線機運用では操作性が悪くなっているのもパイロットからの不評の要因の一つである。
陸軍戦闘機のようにパイロットの正面に受信機があれば、操作性の問題はないだろう。

日本陸軍の戦闘機の無線運用は、基本的には無線電話が主体である。
飛3号無線機の受信機のフロントの操作としては、音量調整器、AVC(自動音量調整)のスイッチと同調ダイヤルの3点のみである。
ただし、同調ダイヤルは送信機の送信周波数と同一となるように事前に調整されており、ダイヤルはロックされている。
パイロットの無線電話運用で受信機のパネル操作は、通常飛行機相互の通信距離に影響されるが、通常運用ではAVCスイッチをONとしておけば問題ない。
ただし、飛行機相互の通信距離が極端に、近ければ音量調整器をさげ、遠かればAVCのスイッチをOFFとして音量調整を上げる必要がある。
このように飛行機の運用特性にあわせた受信機の運用のためには、パイロットが操作しやすい場所への設置は重要である。
本来なら、リモートコントロールBOX(陸軍では接続筐、海軍では管制器と呼称)の機能として遠隔操作できればいいのだが、大戦前や大戦当初の段階ではこのような運用の発想はなかったようだ。

陸軍戦闘機用の飛3号無線機の系統の変遷について
小型飛行機(戦闘機)用機上無線機
99式飛3号無線機 https://minouta17.hatenablog.com/entry/2019/07/02/095059
99式飛3号無線機は96式の性能を相当改善向上したものであるが、なおその装備と取扱とに細心注意となければ、機上雑音の大なるし周波数の変動の激しいとにより定格通話距離を確保することが難しく、実用価値乏しきの憾(うら)みがあった。然るに他方一式戦闘機-軽戦闘機と重戦闘機との中間物、所謂中戦闘機-及びそれ以後の重戦闘機に於ける戦闘法の一大転換に伴い所要通話距離が著しく増大した。かような次第で新たに4式飛3号無線機の制定をみることとなった。本機は周波数の変動を極端に抑制する如く構造し且つ出力を倍加したものであって、戦隊戦闘の必要は困難ながらこれを充たすことが出来た。但し機上雑音防止問題を解決しなければ、戦闘飛行団戦闘、戦闘(防空)飛行団戦闘の要求(所要通話距離50粁)は到底これを満足させ得ない状態であった。

送信機は、海軍の96式空1号無線電話機(試作会社は沖電気と思われるが)の回路構成がほぼ同一であり、本機の製作会社には、東洋通信機株式会社も参加していることから、飛3号無線機の試作会社はそのノウハウを利用した東洋通信機のものが採用されてものと思われる。

なお、受信機については、海軍の96式空1号無線電話機の受信機は適切な真空管を用いた優秀な通信型受信機であったが、陸軍ではドイツの影響を受けた万能菅の思想を受けた要求仕様が影響したのか、本機受信機には特殊なUt-6f7のメタル管US-6F7(日本独自管)を採用したため、保守運用は改善しているが受信性能は海軍の96式空1号無線電話機よりは低下している。
東芝のUS-6F7及び同型菅の日電(住友通信)のMC-804-A

したがって、総合的には、海軍の96式空1号無線電話機よりも陸軍の飛3号無線機のほうが性能は劣っている。
海軍の96式空1号無線電話機についてはパイロットから大変不評でたったように、やはり同規模の性能(出力7W程度)の陸軍の飛3号についても、ウィキペディア 「一式戦闘機」の無線の項に記載されているように陸軍のパイロットから評判が良かったわけではなさそうだ。
96式空1号無線電話機、飛3号無線機とも、編隊通信の通達距離は20km程度が安定的な運用の限界と思われるので、この通達距離内での編隊機同士の専用の無線電話機として活用を考えるべきであった。
しかも、送信機が非力であることを逆手にとって、無線封止の中でも、逆に編隊内通信は可能ということであったということを、航空部隊幹部が理解できていないことに問題があったのではないだろうか。

4式飛3号無線機 https://minouta17.hatenablog.com/entry/2019/07/02/095748
次に、4式飛3号無線機では、生産向上対策として、受信機の使用周波数範囲を4Mcから6Mcのみに限定し、受信機の使用真空管もメタル管US-6F7(日本独自管)を廃して、通常のST管のUt-6f7に変更している。
ST管のUt-6f7(3極5極複合管)

送信機は真空管UY-807A×2本から1本増設し、パワーアップをはかっている。
ただし、運用配置は、99式飛3号無線機と同様となっており、運用的な改善には至っていない。

ム-4 https://minouta17.hatenablog.com/entry/2019/07/02/095748
最後のバージョンであるム-4では、飛3号無線機を根本的に見直し、さらなるパワーアップを計っている。
送信機は専用の出力管をUY-807A×2本とし、新たに変調機を設けUY807A×2本を用いた終段C級終段陽極遮蔽格子同時変調を行い、本格的な無線電話運用が可能となった。
送信管UY-807A

受信機も4式飛3号無線機のST管のUt-6f7×4本から1本増設し、受信機機能の強化を図っている。
更に、今までの受信機をコックピットのフロントに配置した運用を見直し、完全な遠隔操作が可能となるように接続筐の機能改善を行っている。
これにより、送信機、変調器、受信機はパイロット席の背部に、機体へ直付けの直接設置方式、筐体はアルミ製から薄い鉄板に変更するなどの生産効率の改善が図られている。
これでやっと、米国並みの戦闘機用の電話無線機が完成したこととなったが、時期的には昭和20年当初以降の事と思われるが、ム-4に関する公式資料は全く存在しない。
なお、本機の製造会社は東洋通信機株式会社である。
ム-4の全体構成システム


リモートコントロール用の接続筐(海軍では管制器)

陸軍航空部隊地上通信部隊
地2号無線機・受信機の運用状況

参考に、平成3年(1991年)12月15日の中国新聞社の読者投稿欄に投稿された「今も耳に残る特攻隊の叫び」を掲載する。


その他気付き
写真の飛燕は戦時か敗戦後か時期は不明であるが米軍によりテスト飛行のためコックピット内の計器には英語表記が追記されており、飛3号の受信機の下部に米軍のDETROLA受信機(表面にTOWER-2との表記がある)が追加装備されている。
この事実から、米軍のテスト飛行では本機の飛3号無線機を使用してテスト飛行をしたことがうかがえる。
ただし、無線機故障対策として、米軍のDETROLA受信機を追加しているようだ。
米軍が日本の航空機をテストする時には、真っ先に日本の無線機を取外し、米軍のものと交換するとの記事を多く見るが、事実は全く異なるようだ。
この1枚の写真から、当時の日本製の無線機の信頼性が低かったわけではないことが良く分かる資料である。
なお、本飛3号無線機の受信機は周波数帯変更のためのコイルパックの交換用にU取手があるので、99式飛3号無線機でも初期型のものと推定できる。

DETROLA受信機の解説
https://minouta17.hatenablog.com/entry/2020/01/27/161827
 



参考文献
丸 2020年9月号 日本陸海軍「航空機用無線機」発達史 野原茂
「日本無線史」9巻 1951年 電波管理委員会
岐阜かかみがはら航空宇宙博物館
銘球列伝 http://totron.sakura.ne.jp/index.htm
『ウィキペディア(Wikipedia)』三式戦闘機
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%BC%8F%E6%88%A6%E9%97%98%E6%A9%9F
ウィキペディア 一式戦闘機 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E5%BC%8F%E6%88%A6%E9%97%98%E6%A9%9F

 


地2号無線機送信機の復元作業 修復作業記録 その6(平成31年01月22日)欠落部品の修復作業

2019年01月22日 21時29分12秒 | 01陸軍無線機器

地2号無線機送信機の復元作業 修復作業記録 その6(平成31年01月22日)欠落部品の修復作業 

丸型の52型のメーターが4つ必要だったので、年末までに無理やりネットで落札し、早速実装してみた。
やはり、角型メーターよりも丸型のほうが見栄えが良い。
抵抗器は2W型の少し大きめなL型抵抗器が採用されているが、一部の抵抗器が欠落していたので戦後の抵抗器を装着した。
真空管に関しては、送信菅はE-2057を1本とE-2053Bを2本の計3本が必要であるが、川西機械製作所の独自規格のため入手困難のようだ。
当面入手する目途が立たないので、同じ川西機械製作所製造の少し大型のE-510とFB-325Aを挿入して自己満足するしかないようだ。
最後に大型のホーロー型ブリーダー抵抗器が全部欠落していたので、水道パイプ菅(内径20㎜)を切断し、見かけ上ブリーダー抵抗器とし代用している。
なお、全体を再塗装したい誘惑に苛まれるが最終決断できないでいる。

 

地2号無線機受信機と送信機
http://minouta17.web.fc2.com/army_ti-2.html

広島戦時通信技術資料館及は下記のアドレスです。
http://minouta17.web.fc2.com/


参考文献
日本無線史 9巻 1951年 電波管理委員会
続日本無線史第一部 昭和47年2月 続日本無線史刊行会
魅惑の軍用無線機 ラジオライフ別冊 昭和59年11月 三才ブックス
グランパーズ・シャック Grandpa’s shackのオークション情報
ケンさんのホームページ http://kawoyama.la.coocan.jp/tubestorypentodestube.html


地2号無線機送信機の復元作業 修復作業記録 その5(平成31年01月07日) 内部清掃と欠落部品の修復作業

2019年01月07日 11時04分31秒 | 01陸軍無線機器

地2号無線機送信機の復元作業 修復作業記録 その5(平成31年01月07日) 内部清掃と欠落部品の修復作業 

今回は本機があまりに錆と汚れが目立つため、徹底的な清掃作業を行った。
頑固なアルミ錆には、キッチンのシンクで使用するステンレスタワシが大変有効であった。
全体が汚れが目立ったので、丹念に隅々まで清掃を実施し、清掃は不完全ではあるがこれで終了するこことした。

正面右下のコイルパックを初めて外してみたが、やはりここも一部のコイルが外されていた。

抵抗器は2W型の少し大きめなL型抵抗器が採用されているが、一部の抵抗器は運用影響により焦げているのが判る。
米軍の資料の中に、日本陸軍ではこのような設計ミスによる部品の損傷をメーカーまでフィードバックする機構がなかったと断定していたがまさに事実のようですね。

[a1] Reports of the U.S. Naval Technical Mission to Japan, 1945-1946 米海軍対日技術調査団報告書
概要からの抜粋
メンテナンス手順
失敗の大部分は真空管と抵抗器によるものであった。
同じ抵抗器が絶えず故障しているが、設置された機器や同じモデルの後の生産で設計や定格を変更することについて何もしていないようである。
真空管の平均余命には大きな変化があり、それが大きな問題の原因であった。

ところで、本機には個々の部品のプレートはあるが、肝心の銘板が欠落している。
このため、製造メーカーが特定できないが、内部の中の部品の一部である高圧用雲母蓄電器に日本通信工業株式会社と明記されている。
このことから、本機は日本通信工業株式会社自体か親会社の住友通信工業(日本電気株式會社)が製造したものと思われる。
なお、続日本無線史には日本電気で地2号無線機を数百台生産したとの記録がある。

地2号無線機受信機と送信機
http://minouta17.web.fc2.com/army_ti-2.html

広島戦時通信技術資料館及は下記のアドレスです。
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参考文献
日本無線史 9巻 1951年 電波管理委員会
続日本無線史第一部 昭和47年2月 続日本無線史刊行会
魅惑の軍用無線機 ラジオライフ別冊 昭和59年11月 三才ブックス
グランパーズ・シャック Grandpa’s shackのオークション情報
ケンさんのホームページ http://kawoyama.la.coocan.jp/tubestorypentodestube.html


 


地2号無線機送信機の復元作業 修復作業記録 その4(平成30年12月09日) ケース右下部側板の新規アルミ加工作業 

2018年12月09日 16時21分01秒 | 01陸軍無線機器

地2号無線機送信機の復元作業 修復作業記録 その4(平成30年12月09日) ケース右下部側板の新規アルミ加工作業 

角型メーターが3つしかそろっていなかったので、急遽オークションで入手した。
旧軍でのこの手の無線機では角型ではなく丸型が採用されているので違和感がある。
ただし、オークションでは52型の丸型メーターが出品されるのは大変稀である。
気長にチャンスを待つしかないのだろう

今回はケース右下部側板の新規アルミ加工作業を実施した。
不用になった既設アルミ板を利用したため、不用な穴もあったがこのまま利用することとした。
少し不細工な加工となったが、えいヤーと塗装まで一機におこなったが、この冬季の塗装は乾きが悪いのが難点であった。
側板を装着してみると、オリジナル塗装との差が目立ち、全体を再塗装したい誘惑に苛まれる。

真空管に関しては、送信菅はE-2057を1本とE-2053Bを2本の計3本が必要であるが、川西機械製作所の独自規格のため入手困難のようだ。
当面入手する目途が立たないので、同じ川西機械製作所製造の少し大型のE-510とFB-325Aを挿入して自己満足するしかないようだ。

 

地2号無線機受信機と送信機
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参考文献
日本無線史 9巻 1951年 電波管理委員会
魅惑の軍用無線機 ラジオライフ別冊 昭和59年11月 三才ブックス
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