minga日記

minga、東京ミュージックシーンで活動する女サックス吹きの日記

すべての物事に、地雷があるはずです

2013年06月14日 | ライブとミュージシャンたち
私はめったにスタンダード(歌もの)を演奏しない。根性がひねくれているのか、ジャズ研時代のジャムセッションの苦い思い出のせいなのか、よくわからない。よほど感動した曲でないと不器用な私は演奏できないのだ。感動しても演奏できないものも沢山あるけど。

スタンダードを中心にお願いします、と言われている吉祥寺サムタイムだけが特別。しかし、20年以上もサムタイムで演奏しているけれど、あまりスタンダードに関してはレパートリーが増えていないのは私の怠慢か・・・とほほ。

しかし最近、はまっているのが上のタイトルになっているもの。翻訳ソフトからの訳らしくて、あまりの酷さに笑いが出てしまったが、何の曲かわかりますか?

チャーリーパーカーで有名なこの曲は昔から「良い曲だけど難しいなあ。」と思い人前で演奏する事はなかった。自分が納得しなければ、やはり人前で演奏したくない。本当に心から良い曲だな~と思ったものだけを演奏するようにしている。この曲は生徒と一緒に練習するようになって、改めて「美しい曲だなあ」と惚れ直したもの。歌詞を見つけて歌えるように練習しているうちにいろいろな発見があった。インターネットって本当に凄い!

そういえば、毎年226で山下洋輔さんとDUOのコーナーを設けている。他の曲は殆ど私が選曲し、その日だけ洋輔氏におつきあい頂く形になって「女バンマスにしきられる誕生日」として有名になっているけど、このDUOだけは洋輔氏がスタンダードを一曲選び出す。

今年の226では「Every time we say good-bye」が課題曲となった。

菊地成孔ts君が洋輔氏とのセッションで持って来て以来お気に入りになったそうだ。
「この最後の歌詞がいいんだよね~。」と何度も私に繰り返すほど。

There's no love song finer
But how strange the change
From major to minor

[ 素敵な歌、なのにおかしいの、長調のはずが
さよならを言うと短調に変わってしまうから]

このmajor to minor というところで、曲のコードもmajorからminorに変わるのだ。心憎いコール・ポーターの仕掛けに洋輔氏の心は鷲掴みにされたそうであります。

ここでも書いた事があったかもしれないけど、「Round Midnight」という映画の中でもD.Gordon(T.sax)が演奏をパッとやめてステージから降り、外で頭を抱えるシーンがあった。「どうしたの?」とお客が尋ねると「歌詞を忘れたから吹けないんだ・・・」

うる覚えだったが、確かそんなシーンだった。「カッコいいぞ、Dexter!」と感心したのを思い出す。

スタンダード(歌もの)にはやはり歌詞がついている。だから厄介なのだ。当たり前の事だけど、サックス奏者だって歌を歌うのと同じようにテーマを吹きたい。そこからどんどん進化するのは良いとして。

歌謡曲を聞いても歌詞がなかなか入ってこない体質の私にとっては英語の歌詞を覚えるなんて至難の業。昔、歌ものを上手に歌いこなせない時、共演していた黒田京子pさんが「さっちゃん、その曲やるんだったら、フランクシナトラを聴くといいわよ。」とアドバイスをくれた。そして今はyoutubeという便利なものまである。なんて良い時代になったんだろう!

いろいろな歌手がどういう風に歌いこなしているのかを聴き較べて研究することはとても重要な事だ。どこで息つぎをしているのか、フレーズに込める感情などなど。一人一人個性がある。その中から自分にあったものを選択して自分の歌にしていく。この作業が面倒だけれど楽しい。


それにしても、翻訳ソフトってどうにかならないのかな(苦笑)?あさってのサムタイムで、「地雷」のない、あの美しい曲を、歌ものを得意とする吉田桂一君の胸を借りて私なりに演奏しようと思う。どうぞお楽しみに。


6/16(日/昼14時~)吉祥寺サムタイム0422-21-6336  
出演:早坂紗知sax 吉田桂一p 永田利樹b