実務家弁護士の法解釈のギモン

弁護士としての立場から法解釈のギモン,その他もろもろのことを書いていきます

一般社団,一般財団法人法(7)

2009-09-15 09:51:09 | 一般法人
 準則主義(1)

 一般社団・財団法人法は、監督官庁による監督が完全に外れ、一般社団法人・一般財団法人の設立においても、いわゆる準則主義を採用し、監督庁の許可なく設立登記によって法人格を取得することとなった(22条、163条)。その意味では簡便に法人格を取得できるようになった。このため、非営利活動について、法人格を取得した上で自由活発な活動を促進する前提が整ったといえる。
 旧中間法人法では、既に準則主義が採用されていたが、旧中間法人法は社団法人のみに関する法律であり、財団法人を準則主義で設立する方法はなかった。しかし、一般社団・財団法人法は一般財団法人の設立にも準則主義を採用したため、およそ非営利法人は準則主義によって設立可能となったのである。
 しかも、旧中間法人法では、有限責任中間法人は設立時に300万円以上の基金(株式会社の資本金に類する機能を有する)がなければ設立できなかったが(旧中間法人法12条・これは、旧有限会社の最低資本金と同じ額である)、一般社団法人は、設立時に全く資金拠出がなくても設立しうる(一般財団法人は、設立時に300万円以上の拠出金の拠出が必要である(153条2項)。)。「報告書」にも、社団形態の非営利法人には、設立時に一定の財産を保有することは要しないとされている。そのため、一般社団法人は、最低限、定款の作成(10条)、定款の認証(13条)、設立時理事等の選任(15条)、設立時理事等による設立調査(20条)、登記(22条)だけで設立が可能である。一般財団法人についてもほとんど同様で(ちなみに、一般社団・財団法人法では一般財団法人の根本規則も「定款」と呼ばれる(第3章第1節第1款参照))、一般社団法人と違うのは、設立時評議員、設立時監事の選任が義務的であること(159条)、設立者による財産拠出が必要であること(157条)程度である。なお、一般財団法人に関して、寄付行為という言葉は完全に消滅し、根本規則としての寄付行為は「定款」に、財産拠出行為としての寄付行為は文字どおり「財産の拠出」となっている。

コメントを投稿