実務家弁護士の法解釈のギモン

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譲渡担保権設定に基づく所有権移転登記は虚偽表示?(6)

2019-11-27 12:38:02 | 物権法
 以下、登記の問題とは少し外れるが、譲渡担保権の何たるかについて、少し考えてみたい。

 譲渡担保に関しては、所有権的構成から担保的構成へと理解が変わってきたといっても、所有権から差し引かれる物権的権利たる設定者留保権とは何なのかが難しく、その中身が理解しにくい。教科書を読んでも、なかなかすっきりとは行かない。

 私は、次のように理解したいと思っている。
 譲渡担保権の所有権的構成の最たる考えは、所有権は完全に譲渡担保権者に移転しており、設定者が目的物を使用し収益を上げることができる法律関係や、債務を完済すれば所有権が設定者に戻ってくる法律関係は、設定者・担保権者の債権的な契約関係でしかないという理解であろう。そこでは、これら法律関係が債権的関係でしかない以上、設定者の権利は、譲渡担保権者にしか主張し得ないということになる。
 担保的構成における物権的権利たる設定者留保権とは、これを何人にでも主張できるように構成し直した物権的権利であり、譲渡担保権者は、所有権からこの設定者留保権を差し引いた権利しか有していないという理解が、担保的構成であろうと思っている。

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