実務家弁護士の法解釈のギモン

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会社法改正案-スクイーズアウト(4)

2014-06-02 12:26:52 | 会社法
 そして、私は、改正法案に特別支配株主の株式等売渡請求が盛り込まれることになり、スクイーズアウトが法制度化されるとすれば、その法制度に従わないスクイーズアウトの方法は、ますます権利濫用あるいは株主平等原則違反になりやすくなると考えたいのだが、ダメだろうか。

 理由は主に3つある。

 1つは、特別支配株主の株式等売渡請求の要件は、株式併合や全部取得条項付種類株式を用いるスクイーズアウトよりも要件が厳格だという点である。
 特別支配株主といえるためには、議決権比率が10分の9以上なければならない。9割以上の議決権比率がなければ特別支配株主の株式等売渡請求を使えないのである。
 ところが、株式併合や全部取得条項付種類株式を用いる方法は、特別決議で行えるので、3分の2以上の議決権比率で自由に行いうる。しかも、特別決議が成立するか否かの問題なので、株主が分散化されているような会社で、株主総会への出席率が悪い会社などでは、より議決権比率が少なくても株式併合や全部取得条項付種類株式を用いたスクイーズアウトができてしまう場合も十分にあり得る。
 つまり、株式併合や全部取得条項付種類株式を用いたスクイーズアウトが可能ならば、議決権比率がより厳しい特別支配株主の株式等売渡請求の仕組みでスクイーズアウトを行う意味がなくなりかねず、新制度を創設する意味がなくなってしまいかねないと思うのである。

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