実務家弁護士の法解釈のギモン

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債権法改正-公序良俗、意思能力

2014-10-17 13:35:53 | 民法総則
 債権法改正の要綱仮案では、公序良俗の規定を改正する。「公の秩序又は善良な風俗に反する法律行為は、無効とする。」と改正するというのである。
 一見すると何も改正になっていないようであるが、現行法をよく見ると、「公の秩序又は善良な風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」となっている。要は、『事項を目的とする』を削除するだけである。法律行為の目的が公序良俗に反する場合だけが無効とすべき場面ではないことから、現在の解釈でも、『事項を目的とする』という部分は無視して解釈されているはずである。その解釈を追認する改正であろう。全く問題のない改正である。

 次に、前回も述べたが、意思能力の規定を設けることになり、「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しないときは、その法律行為は、無効とする。」という規定を設けることになる。その中で、意思能力そのものの定義付けはしない。
 意思能力に関する規定を設けること自体は異論がないだろうと思われる。
 問題は、意思能力の定義を設けることが是か非かであるが、私は設けない方がいいような気がしている。意思能力の意味については、あくまでも解釈に任せておけばいいのである。

 要は、公序良俗も意思能力も、従前の解釈とは何ら変更はないということであろう。

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