まず、効果面において、無権代理とするということは、一応本人による追認の可能性を認めやすくするという意味があるのだろうか。93条但書きという意思の欠缺の規定を類推するということになると、論理的に追認を認めにくい。この点を変更するという意味であろうか。その程度のことであれば、効果面についての変更点について、善し悪しはよく分からない。
要件面が問題である。やはり相手方の軽過失の場合でも無権代理とされてしまう従来の判例と同様の要件のままであり、相手方の取引の安全との関係で問題はなかったのかどうか。審議会ではこの点の議論はなかったのだろうか。
とくに、一切の裁判上・裁判外の行為をなし得る立場にある、会社の代表取締役など、法人の代表者のことを考えると、どうだったのだろう。これまでの判例法理に対しては、特に商法学者からの批判が強かったと思うが、どうであろう。
これまでは、代理権の濫用行為に関して明文の規定がなかったため、判例法理に対しては民法学説上も批判があったが、それ以上に商法学者からの批判が強かったような気がしており、こうしたことを踏まえると、考え方次第では、民法解釈と商法解釈とを分けて考える(つまり、民法上は軽過失でも相手方はアウトだが、会社法上は軽過失はセーフとする)ことも不可能ではなかったのかもしれない。
それを、一般法理として明文の規定を置くとなると、当然に法人の代表者にも適用されてしまう規定となるので、会社法の分野だけ軽過失は有効とするような解釈をとるということは、明文の規定に反する結果となり、不可能になってしまうと思われるのである。
もちろん、既に判例のある分野であり、要件面ではこれまでの判例と変わらないことになるので、実務上は大きな影響はない部分ではあるが、明文の規定を置くとなると、本当にそれで良かったのかというのが、何となく気になってしまう。
いろいろなところに問題が波及していくのは、一般法を改正することの難しさなのかもしれない。
要件面が問題である。やはり相手方の軽過失の場合でも無権代理とされてしまう従来の判例と同様の要件のままであり、相手方の取引の安全との関係で問題はなかったのかどうか。審議会ではこの点の議論はなかったのだろうか。
とくに、一切の裁判上・裁判外の行為をなし得る立場にある、会社の代表取締役など、法人の代表者のことを考えると、どうだったのだろう。これまでの判例法理に対しては、特に商法学者からの批判が強かったと思うが、どうであろう。
これまでは、代理権の濫用行為に関して明文の規定がなかったため、判例法理に対しては民法学説上も批判があったが、それ以上に商法学者からの批判が強かったような気がしており、こうしたことを踏まえると、考え方次第では、民法解釈と商法解釈とを分けて考える(つまり、民法上は軽過失でも相手方はアウトだが、会社法上は軽過失はセーフとする)ことも不可能ではなかったのかもしれない。
それを、一般法理として明文の規定を置くとなると、当然に法人の代表者にも適用されてしまう規定となるので、会社法の分野だけ軽過失は有効とするような解釈をとるということは、明文の規定に反する結果となり、不可能になってしまうと思われるのである。
もちろん、既に判例のある分野であり、要件面ではこれまでの判例と変わらないことになるので、実務上は大きな影響はない部分ではあるが、明文の規定を置くとなると、本当にそれで良かったのかというのが、何となく気になってしまう。
いろいろなところに問題が波及していくのは、一般法を改正することの難しさなのかもしれない。