実務家弁護士の法解釈のギモン

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債権法改正-代理人の利益相反取引(1)

2014-10-30 13:40:55 | 民法総則
 代理人が行う自己契約や双方代理は、現行民法上、「代理人となることはできない。」と規定し、あたかも自己契約や双方代理としての代理行為は、絶対的無効であるかの如くの規定ぶりとなっている。しかしが、解釈上、自己契約や双方代理は無権代理行為と考えられていた。

 改正要綱仮案では、このことを明確にする改正を行う。すなわち、「代理権を有しない者がした行為とみなす」という表現ぶりに改められる。
 表現の仕方としては、やや奇異な感じを受けるが、要は無権代理行為とみなすということであり(なので、表現の仕方としても「無権代理行為とみなす」という表現方法の方が素直な気がする。)、従来の解釈を追認する改正である。
 この点は、どうということのない改正である。

 これに加えて、以上のほかにも本人と代理人との利益相反行為全般も無権代理行為とみなすことになった。
 想定しているのは、おそらく会社法で規制されている、取締役の利益相反取引で問題となる間接取引のようケースであろう。例えば、債務者が保証人を代理して債権者と保証契約を締結するような場合が典型であろう。
 現実的にも、債務者が署名代理の方法で保証人と債権者との連帯保証契約書に署名するということは、十分に想定できそうである。改正仮案によれば、こうした保証契約も、基本的には無権代理行為になるはずである。