実務家弁護士の法解釈のギモン

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債権法改正

2014-10-14 10:36:10 | 民法総則
 先般、民法債権法改正の動きに関し、要綱仮案が公表された。要綱の「仮」案としていることの意味が分からないが、約款の部分が先送りされたままだからであろうか。

 要綱仮案の内容をざっと見たところでの感想としては、だいぶ穏やかになったと思っていた中間試案の内容よりも、さらに穏やかになっており、細かい点ではいろいろとあるかもしれないが、全体的にはこんなものなのかもしれないと思える改正案となっているように思う。
 例えば、このブログでも若干の懸念を示していた意思能力について、特にその定義を規定することなく、法律行為をした時に意思能力を有しないときはその法律行為を無効とすることだけを規定するにとどめられるようである。意思能力の定義を設けないということは、その意味は解釈に任せようという趣旨なのだろうと思う。私は、それはそれでいいのではないかという気がしている。

 聞くところによれば、法制審議会において、委員全員のコンセンサスが得られない事項については、改正の要綱案から落とすということになったそうである。意思能力の定義を設けなかったということは、その定義にコンセンサスが得られなかったということなのかもしれない。
 ほかにもこうした現象は多数ありそうなのだが、以外にこれがうまく機能しているような気がしており、結果として債権法改正の内容が穏やかなもの、つまりは納得しやすいものになったといえるのではないだろうか。

 このブログでは、このところ会社法の改正内容について触れてきたが、これからしばらくは、債権法改正の要綱仮案について、私なりの感想について触れていきたいと思う。