実務家弁護士の法解釈のギモン

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憲法判例の先例拘束性(2)

2013-09-24 14:33:17 | 時事
 通常、ある法律が憲法に違反して無効だとすれば、それは昔から違憲無効なのであって、その法律を適用した処理は違法ということになる。
 ところが、今回の違憲判決は、過去(平成7年)に合憲判決をしている最高裁判例と異なる結論を述べているのにもかかわらず、当該判例を変更するとは言わない。どうも当時の判例は正しいのだということらしい。同じ法律であるにもかかわらず、昔は合憲で今は違憲だという判断なのである。まず、この点で非常にめずらしい。
 結局、これは、時代の変化による憲法解釈の変遷がありうること、そして違憲審査の場面でそれが現実化した場面というべきなのであろう。
 ただ、こうなると、それではいつまで合憲でいつから違憲なのかをはっきりさせる必要が出てくるかもしれないのだが、そのようなことを気にする必要がない判断もしている。この点が非常に特異なのである。