会社法は,最低資本金を撤廃し,非常に小規模の会社の設立も容易になっている。これは,会社を設立しやすくすることによって,企業活動を活発化させるとともに,企業倒産から個人財産を守る機能も期待してのことであったと思う。しかし,後者の機能は,裏を返せば法人(会社)の法人格が(伝統的な意味での法人格否認の法理にいう法人格の濫用事案よりも広い意味で)濫用されやすい(例えば,ごく少額の出資金と借入金を元手に一攫千金のような企業経営が行われる可能性もある)ことをも意味していると思う。こういった無責任経営により一定程度会社債権者を保護できる制度として,決算公告の制度は多少でも機能する可能性はあるのではないかと思う。その決算公告をしないのであれば,背後の個人の責任も問えるような仕組みにしないと,まずいのではないかと思うのである。
株主有限責任は,起業家や投資家にとっては使い勝手の良い法制度ではあるが,濫用されやすい制度でもある。仮に,それを是正するのが法人格否認の法理だと解釈できれば,そのような視点でもう一度法人格否認の法理を再構成してみてもよさそうである。
そして,決算公告が,株主有限責任を前提に会社債権者を保護するための制度だとすれば,この二つの仕組みを組み合わせた解釈をすることも,あながち不可能ではないのではないかと思った次第である。
株主有限責任は,起業家や投資家にとっては使い勝手の良い法制度ではあるが,濫用されやすい制度でもある。仮に,それを是正するのが法人格否認の法理だと解釈できれば,そのような視点でもう一度法人格否認の法理を再構成してみてもよさそうである。
そして,決算公告が,株主有限責任を前提に会社債権者を保護するための制度だとすれば,この二つの仕組みを組み合わせた解釈をすることも,あながち不可能ではないのではないかと思った次第である。