夢で会う（－２）

黒ビニールの三角の小銭入れはほとんど空のため、家に戻り箪笥の中のお札を
探すが見当たらない。義父の部屋をのぞくと薄闇の中、家具の輪郭がうっすら
と見えるのみで人気はない。ついさっき確かな足取りで私の横を通りすぎたの
に。

黙って自転車をひき家を出る。年寄りたちが一斉にこちらを見る。本当にバス
を待っているのだろうか。家に入ってきたりはしないだろうか。家には義父し
かいないのに。