Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Wings

2007-07-23 | Soft Rock
■Wings / Wings■

  Wings といっても、Paul McCartney の Wings ではないことは一目瞭然。 こちらの Wings のほうが、Paul のよりも古いために元祖といってもいいのですが、知名度が全く劣るために、Dunhill Wings とでも呼びましょうか。 こちらの、Wings は名門 Dunhill から 1968 年にリリースされました。 Dunhill といえば、「Let’s Love For Today」の The Grass Roots 、「The Eve Of Destruction」のBarry McGuire 、そして、Mamas & Papas などで有名な ABC 傘下のレーベル。 レコードコレクターのなかでは、ダンヒル系という用語で語られる一派ですね。 そんなダンヒル系のなかでは、こじんまりと納まっている感じのWings ですが、アルバムは、ヴァラエティに富んでいて、CD 化されてもおかしくない内容になっています。

  無伴奏のコーラスではっとさせるイントロの「See Someone Hangin’」でアルバムは幕を開けます。  意識的にラフでルーズな感覚を出そうとしてるのですが、やはりお行儀の良さを消すことの出来ないカントリーという印象です。 続く、「That’s Not Real」は典型的なソフトロックのワルツ。 このジャンルでワルツというとThe City の「Snow Queen」が代表格かと思いますが、かなりそれに通じる出来です。 「General Bringdown」は、マージービートに近い感覚を感じるサウンド。 えぐいギターソロも入ったりして、カッコイイです。 フォークを意識したボーカルとソフトなアレンジの組み合わせが面白い 「First Time Is The Last」をはさんで、A面ラストの「What Do I Know」へ。 ちょっと地味なミディアムですね。

 B 面に移ります。 トップの「Pretty Little Girl」は、サイケな雰囲気とほんわかした感じがドノバン風です。 (といっても、ドノバンを聴き込んでいるわけではありませんが…) つづく「Takin’ It Easy」は、リラックスした牧歌的な曲調。 昼寝でもしてしまいそうです。 「Shrinking Violet」は、ボードヴィル調のピアノに Pam Robins という女性のリードボーカルが重なるファニーな曲。 ソフトロックのど真ん中という感じの「Different Kind Of Woman」のメロウな感じから一転して、アップな「Changes (Keep Coming About)」は始まります。 この曲は、シングル向きのキャッチーな曲で 2 分 22 秒という短さのなかに、変拍子・口笛・複雑なコーラスなどの要素が盛り込まれているレベルの高い作品です。 ラストの「Give Me Your Love」は、彼らにしてはハードな作風で、ギターソロが中途半端に余韻を残して、曲が終わってしまう感じです。

 このアルバムについては、メンバー・クレジットが無いためにいろいろネットで探してみたところ、ソフトロックの Spanky and Our Gang の主要メンバーであった、Oz Bach が 1967 年に結成したグループだということが分かりました。 Spanky and Our Gang に関する詳細なページに、Oz Bach のコーナーがあり、そこに Wings のコーナーもありました。 このアルバムに関する詳細なクレジットも見ることができますので、時間のあるかたは訪れてみてください。

 しかし、僕の持っているレコードには歌詞カードらしきものもなく、詳細なクレジットを知ることができなかったのですが、インターネットは便利ですね。 中古レコードには、ジャケットと盤以外の付属物が完備されているとは限りません。 そんなときに、Wings Dunhill で検索したら発見することができたこの情報。  どう活かすかは自分次第ですが、Oz Back が Spanky とWings の間に、Tarantula というグループを結成し、やはり 1 枚で解散していることを初めて知りました。 いつも同じ角度と表情で写真に写る Oz Bach は、飽きっぽい性格なのでしょうか。 かなりの変わり者のようですね。



■Wings / Wings■

Side-1
See Someone Hangin’
That’s Not Real
General Bringdown
First Time Is The Last
What Do I Know

Side-2
Pretty Little Girl
Takin’ It Easy
Shrinking Violet
Different Kind Of Woman
Changes (Keep Coming About)
Give Me Your Love

Produced by Steve Barri
Strings arranged and conducted by Jimmie Haskell

Dunhill Records DS-50046


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