Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Sandalwood

2008-06-10 | Soft Rock
■Sandalwood / Sandalwood■

  今日は、名門 Bell からリリースされているにも関わらず、あまり取り上げられたことのない Sandalwood のアルバムをピックアップしました。 僕としては、このアルバムを Burton & Cunico のアルバムと比較したくなります。 ともに 1970 年代前半の男性デュオでハーモニーを活かしたサウンド作りをしているだけでなく、ジャケットの雰囲気がどことなく似ているからです。 山あいの峡谷の岩に腰をかける Sandalwood に対して、海を望む丘で背を向けるのが Burton & Cunico ということで、この 2 枚のアルバムを勝手に兄弟アルバムと位置付けており、レコードラックでも近いところに置くようにしています。 とはいえ、微妙にサウンドに違いがあるのも当然で、シンガーソングライター色が強いのが Burton & Cunico なのに対し、ソフトロック色が強く甘めなのがこの Sandalwood です。
  
  その Sandlwood は、Byron Walls と Brian Tabach によるデュオ。 残したアルバムはこの 1 枚だけで、おそらくレコードのためだけに結成されたパーマネントなグループです。 2 人のなかで主導権を握ったのが、Byron Walls で彼はこのアルバム以外にもさまざまな音楽活動が記録されています。 一方の Brian Tabach に関しては、このアルバム以外の情報はありません。 参加ミュージシャンや歌詞などのクレジットはどこにも無く、このアルバムを深く知るためのヒントはほとんど見つからないのが現状です。

  Sandalwood のサウンドの特徴はフルートやストリングスを活かしたアレンジと穏やかなメロディーです。 そのほとんどは Byron Walls のペンによるもの。 特に甘い曲をピックしてみましょう。 アルバムのオープニングを飾る「A Very Fine Lady」はメロウでソフトな仕上がり。 まるで柔軟剤を入れて洗濯したタオルのような肌触りは、エレピ・フルート・ストリングスといった優しい音色に包まれています。 つづく「The World Is Mine」も甘い調べ。 2 人のユニゾンしたハーモニーが微妙に震えるので、余計に染み込んできます。 シングルカットされた「Lovin’ Naturally」はハープシコードと口笛が効果的に使われたメロウな楽曲。 ビルボードチャートに 12 週間ランクインしたとのことですが、最高位は何位だったのでしょうか。 ラストの「Consider It Done」は、次のアルバムを期待させるような明るく前向きな楽曲です。  Byron Walls の曲は、このようにミディアムで安定したものが多いのですが、2 曲ほどジャズの影響の強い異色のものがあります。 ジャジーなフォービート「The World Is A Tuxedo」はまだ許容できるのですが、5 拍子の「Off My Mind」はかなり違和感が残ります。 この曲は Paul Desmond の名曲「テイク・ファイヴ」からの影響をまともに受けているのが誰にでもわかります。 5 拍子ということで似てしまうのは仕方ないですが、わずか2分のこの曲をインタリュード的に挿入しなければならない必然性は見えてきません。 
   相棒の Brian Tabach は 2 曲しか書いていませんが、悪い出来ではありません。 「Certain People At Certain Times」 は大らかで陽気な曲調で、新緑のなかを散歩しているかのような気分です。 「Put Me On You」もミディアムでフレンドリーなサウンドとなっており、単なる脇役ではない存在感を示しています。
  しかし、Sandalwood の活動は短期間で終了。 Byron Walls は The Limelighters の再結成コンサートに参加した後に 1970 年代後半には Warner Brothers のスタッフ・ライターを務めたりしています。  その後、十数年をどのように生活していたのかは分かりませんが、彼は今もなお現役のようで、ロス・アンジェルスを中心に小さなホールでライブ活動を行っているようです。  2000 年にリリースしたアルバムはジャズボーカルのアルバムでした。  彼はもともとジャズ指向が強かったのでしょう。  そのルーツは Sandalwood にもわずか 2 曲ですが、残されていたことになりますね。



■Sandalwood / Sandalwood■

Side-1
A Very Fine Lady
The World Is Mine
Having Each Other Around
Congratulations You Lose
Put Me On You
Lovin’ Naturally

Side-2
Mary Lee
Off My Mind
Certain People At Certain Times
The World Is A Tuxedo
Consider It Done

Produced by Snuff Garrett
Arranged by Al Capps

Bell Records 1134


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