Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Daybreak

2007-07-17 | Christian Music
■Daybreak / After The Rain■

  前回に続いて、雨を題材にしたアルバムを。 雨が上がったらということで、クリスチャン系のグループ Daybreak の「After The Rain」をピックアップしてみました。 アルバムを買うときには、どちらがタイトルで、どちらがアーティスト名なのか、分からないまま勢いで買ってしまった覚えがありますが、間違いなく Daybreak がアーティスト名です。
  このアルバムは 1976 年にナッシュビルで録音され、発表された作品ですが、ジャンル的にはクリスチャン・ミュージックの部類にカテゴライズされるものです。 さっそく、針を落としてみましょう。

  梅雨が明けたら夏の日差しということで、アルバム冒頭を飾る「Summer Sun」は、爽やかなアカペラ・コーラスナンバー。 続いているかのようにリズムセクションが聴こえてくると、それはすでに 2 曲目の「Who’s Fool Are You?」です。 「誰の虜なの?」という意味でしょうか。 パワー・ポップ的なナンバーに続いては、しっとり系バラードの「And I Love You」へ。 コーラスに、♪Jesus♪と聴こえてくるように、この曲は決して身近な人への愛を歌ったものではなさそうです。 つづく「He May Be Coming Soon」は、陽気なミディアム・ナンバー。  ここでの He も彼氏ではありません。 メンバー以外が書いた唯一の曲となる「Movin’ On」は、コーラスとベース、パーカッションのみのシンプルな楽曲。 それにしてはアルバム最長の5分超となっているのは、同じフレーズを繰り返しながら徐々に盛り上げていくという典型的なスタイルだからです。

  アルバムタイトル曲「After The Rain」には悲しい過去がありました。 それは、Daybreak のドラマーとして 2 年間いっしょにプレイしてきた Ray Sauder が 1975 年にニュージャージーで溺死してしまったという出来事です。 そして、その死の直前に彼が書き下ろしていたのが、この曲だったのです。 ということで、この曲はアルバムのタイトルにもなり、Ray Sauder がこの世に残した唯一の楽曲なのです。 そうした事実からは想像もできないように明るく陽気なナンバーなのですが、たしかに自分の運命を予感して曲作りをする人などいないですね。 この明るさが、悲しいエピソードと対比されて、アルバムのなかでも最も輝きを放つナンバーになっています。
  つづく「Free In You」はピアノに導かれるミディアム・バラード。 リード・ボーカルの伸びやかなハイトーンが印象的です。  「Send Me Your Rain」は、久しぶりに分厚いコーラスワークが堪能できるほんわか系のミディアムで、彼らの真骨頂が発揮されています。 つづく「Lord Forgive Me」は意識的にルーズでスワンピーなアレンジにしていますが、コーラスがきれいなのでその色に染まりきれていません。  ノーマルなカントリー「Back On The Road」に続いては、冒頭の「Summer Sun」の Reprise となりアルバムはエンディングを迎えます。   Reprise というよりは、曲の後半部分という感じに聴こえます。

 このようにアルバムを通じて言えるのは、ソングライティングは中々のものがあり、クリスチャン系のサウンドのいい部分が表れたアルバムだということです。 信仰心あふれる若者たちが、夢や希望を音楽にのせて表現する。 そんなレコードがアメリカの各地で録音され発表されたのが 1970 年代から 80 年代前半です。 政治的な背景や、経済的な問題などは時代それぞれに抱えていたはずですが、この時代のアメリカの音楽には、二度と見ることができない新緑のような眩しさを感じることがあります。



■Daybreak / After The Rain■

Side-1
Summer Sun
Who’s Fool Are You?
And I Love You
He May Be Coming Soon
Movin’ On

Side-2
After The Rain
Free In You
Send Me Your Rain
Lord Forgive Me
Back On The Road
Summer Sun (Reprise)

Produced by Randy and Monty Matthews

Marlin Nafziger : bass , vocals
Daryl Shirk : lead vocals
Jim Nafziger : lead guitar , harmonica , vocals
Fred Miller : drums
Vernon Stoltzfus : lead vocals , piano

Mike Johnson : bass . lead guitar , piano
Bobby Daniels : drums , percussion

Holy Kiss Records HK-01


最新の画像もっと見る

コメントを投稿