Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Wendy Vickers

2008-04-11 | Christian Music
■Wendy Vickers / Sow A Seed■

  女性の髪のおしゃれ「つけ毛」のことを「エクステンション」ということすら認知していなかったのですが、さらに略して「エクステ」と呼ばれていることには驚きました。 自分がそのことを知って会社で驚いている光景を傍から見ると、まさに典型的な中年なんでしょうね。 ちょっと悲しい気分です。

  その「エクステ」の豪快さでは、レコード・ジャケット至上3本指に入るのではないかと思われるのが今日ご紹介する Wendy Vickers の「Sow A Seed」です。 このアルバムは 1974 年にオハイオ州のシンシナティで制作されました。  曲のタイトルからわかるように、このアルバムはクリスチャン・フォークなのですが、あまりそうした意識をせずに楽しむことができます。
  彼女の声は、容姿から想像したとおりの張りと腰のあるもので、存在感が強く感じられるものです。 楽器はアコースティックなものばかりなので、アルバム全体が彼女のボーカルに支えられているといっていいでしょう。 そのうえ楽曲のクオリティーが高いことから女性クリスチャン・フォークの名盤のひとつに数えられる作品です。
 
  アルバムのなかでも聴き応えのある名曲から触れていきましょう。 A 面では「Glory To God」と「Sow A Seed」をピックアップしました。 前者はタイトルどおり宗教色の強い曲ですが、うっとりするようなメロディーと華麗な歌唱が見事です。 アルバムタイトル曲の後者はギターやフルートの優しい演奏と Ed O’Donnell とのハーモニーが心に触れる名曲です。 B 面では、よりフォークロック調の名曲が目立ってきます。 ラストの 1 曲がやや違和感のある残念な出来なのですが、それ以外はほぼ完璧な流れです。 「High Time」は 1974 年にしかできないのではと思えるフォークロック。 出来の良さに言葉が出ません。 「The Lord Gave Me A Song」はフィドルのソロが美しい、落ち着きのあるワルツ。 1 分ほどのインタリュード的小曲「Holy , Holy」を挟んだ「Keep The Faith On Movin’」は伸びやかなWendy のボーカルが堪能できるミディアム。 彼女のボーカルの魅力はこの曲とつづく「Come To My Table」で最大に発揮されているように思います。 典型的なワルツをベースに予定調和な展開を見せるのですが飽きることはありません。
  ここに取り上げなかった楽曲もけして見劣りすることはありませんが、さきほど少し触れたようにラストの「Go In Peace」だけが、個人的には減点ポイントとなってしまいます。 この曲がせめてラストでなければ聴き終えた後の余韻がより深いものになったはず、と思うと残念です。 とはいえ、これだけのクオリティを保っているアルバムもそれほど多くはないと思います。 Epoch VII Records という聞いた事もないレーベルからリリースされた作品ですが、これからも大切にしていきたいアルバムのひとつです。

  いつものように Wendy Vickers で検索してみたのですが、同姓の女性 SSW がナッシュビルに存在することが分かりました。 しかし、彼女の写真や年齢(52歳)からして、同姓の別人の可能性が高いと思っています。 このアルバムを発表した Wendy Vickers はその後どのような人生を歩んだのでしょうか。 この「エクステ」はもしかすると、実毛なのではないかさえ思うようになってきて、僕の心はもやもやするばかりです。



■Wendy Vickers / Sow A Seed■

Side-1
Get On A Board
Were You There?
Glory To God
Let Me Do It With Love
Sow A Seed

Side-2
High Time
The Lord Gave Me A Song
Holy , Holy
Keep The Faith On Movin’
Come To My Table
Go In Peace

Recorded and mixed by Roger Byrd at Counterpart Creative Studios, Cincinnati, Ohio
Production coordinated by Erich Sylvester

All selections written by Wendy Vickers except for the traditional ‘Were You there?’

Wendy Vickers : lead vocals , rhythm guitar , dulicimer , background vocals
Ed O’Donnell : lead guitar , tambourine, background vocals
Lou Anderson : electric bass, background vocals
Kevin Weiler : piano
Susan Felton : flute
Jeanne Neyer : cello
Jr. Bennett : strings
Chico McNeal : organ
Billy Hinds : percussion
Chuck Rich : pedal steel guitar

Epoch VII Records  WV01


最新の画像もっと見る

コメントを投稿