Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Bonnie Dobson

2007-07-16 | Folk
■Bonnie Dobson / Good Morning Rain■

  7 月に上陸した台風としては過去最大規模という台風 4 号が、日本列島を縦断しました。 この台風が通り過たら一気に梅雨明けになるのかなと思えば、そうでもなさそうです。
  今日は一日中、家に閉じ込められてしまったので、雨にまつわるアルバムを取り出してみました。 1960 年代初頭から活動しているカナダ出身のフォーク・ミュージシャン Bonnie Dobson が 1969 年に RCA からリリースした名盤です。  彼女は活動歴の古さからみれば、Joni Mitchell の大先輩とも言えるのですが、なかなか確固たる評価がされてないところが気になります。 それは、1970 年代以降に音楽活動が停滞してしまったことが大きいのでしょう。 しかし近年になって彼女のアルバムの CD 化が始まり、この「Good Morning Rain」も今年になって初めて CD 化されました。

 さて、アルバム全 11 曲のうち、オリジナルの作品は、「Sweet Man」、「You Don’t Know」そして「Good Morning Rain」の 3 曲のみとなっており、これらはA面に収録されています。 これらのなかでは、やはりアルバムタイトル曲の「Good Morning Rain」の出来が群を抜いています。清潔感のある彼女のハイトーン・ボーカルとギターのアルペジオが重なり、心地よく展開していくこの曲は、ちょうど、今日の天気のように雨が上がって、窓を開けるとひんやりした空気を感じる瞬間のような気分です。
 つづいて目立つのは、英国フォーク界の大御所 Ralph McTell のカバーで、これも 3 曲あります。  それは「Clown」、「Streets Of London」、「Factory Girl」ですが、なかでも彼が 1969 年に発表した代表曲「Streets Of London」は数多くのミュージシャンにカバーされているスタンダードといえる名曲です。 McTell によるオリジナルも 1969 年の発表ですので、Bonnie Dobson のカバーは、もしかすると最初のカバーかもしれません。 少なくとも Mary Hopkins のカバー(1970年)より古いことは確実です。  「Clown」と「Factory Girl」は、McTell の 3 枚目のアルバム「My Side Of Your Window」に収録されているようですが、聴いたことはありません。 前者は地味な小曲でしたが、後者は牧歌的な美しいワルツ。 ストリングスの流麗なアレンジがいやみにならずに効いています。

  他の作品のなかで目立った 3 曲を紹介しましょう。 アルバムのオープニングを飾る「Light Of Love」は品のある Bonnie Dobson の歌声が伸びやかに響く名曲です。  B 面冒頭の 「White Song」はアップで可愛らしいナンバー。 おそらくは人気曲だと思いますが、♪I’m in love with you♪というサビにはちょっと恥ずかしさを感じます。 ソフトロックに位置付けても何の違和感がありません。 作者として Mitchell-Prokop というクレジットがされています。 ラストの「A Taste Of Honey」は、The Beatles もカバーした「蜜の味」。 The Beatles のバージョンも個人的に好きでなかったのですが、ここで聴けるバージョンはかなりスロウなもので、ややもったいぶったように聴こえてしまいます。

  ソバカス娘みたいに写っているこのジャケットからは、1970 年代のシンガーソングライター全盛期の作品かのように思えてしまいますが、このアルバムは 1969 年に発表されています。 60 年代独特のこもった感じといなたさとかを全く感じないサウンドになっていることを考えると、時代がすこし早すぎたのかもしれないとさえ思います。
  いつものように Bonnie Dobson についてネットで調べてみましたが、残念ながら彼女の公式ページは発見できませんでした。 その代わりと言っては何ですが、彼女の完璧なディスコグラフィーが掲載されたサイトを見つけました。 かなり参考になるサイトですので、一度は訪れてみてください。 



■Bonnie Dobson / Good Morning Rain■

Side-1
Light Of Love
Sweet Man
You Don’t Know
Clown
Good Morning Rain
Milk And Honey

Side-2
White Song
Do What You Gotta Do
Factory Girl
Streets Of London
A Taste Of Honey

Produced by Nimbus 9
Producer : Jack Richardosn
Arranged and Conducted by Ben McPeek

Recorded in RCA’s Nashville Sound Studio , Nashville , Tennessee

RCA Victor LSP-4277


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1 コメント

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Unknown (ヒコ・ヤノフスキー)
2010-01-08 23:51:47
1970年の8月、Bonnie Dobsonが来日した際、彼女のステージを見ています。当時私は高校1年生でしたが、とにかく感動しその後の私の人生にもっとも大きな影響を与えたステージといって良いでしょう。その13年後にJoni Mitchellのコンサートも行きましたが、私にとってあのBonnie Dobsonのステージの感動に勝るものはありません。若かったせいでしょう。彼女は右手に見るからに古い男物の金時計をして、ギターはマーチンのD-18。友人がその時写真をとっています。私はその時の写真もらったのですが、今はどこかにいってしまいました。会場は万博の際のカナダ館の外にあったステージです。本当はGordon Lightfootがくるはずであったことが、彼のホームページを見るとわかります。
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