Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Ray Repp

2008-05-19 | Christian Music
■Ray Repp / Benedicamus■

 Ray Repp は 1960 年代半ばから活動しているクリスチャン・ミュージックのベテランです。 今日取り上げた「Benedicamus」は、1978 年に発表された 6 枚目のアルバム。 どことなく和風なイラストが印象的です。 
  Ray Repp に関しては本人のホームページはありませんでしたが、カトリック系のミュージシャンだそうです。 いままで取り扱ってきたクリスチャン・ミュージックのアーティストのなかで、明確にカトリックだとかプロテスタントと知って語った人はいませんが、アメリカはプロテスタントがほとんどですので、Ray Repp は少数派になるのでしょう。

  アルバムタイトルの「Benedicamus」は修道院で有名なベネディクトと関係があることは想像できますが、辞書を引いても意味は分かりませんでした。 この曲は2つのパートに分かれているものの、ほとんど朗詠のようなサウンドで、音楽的な魅力はありません。  このような楽曲はラストの「Alleluia (The Lord Of Love Has Come)」も同様です。 大方の予想通り、ハレルヤの繰り返しです。 このように宗教色が色濃く、厳かな雰囲気でオープンとエンドを構成するのはオーソドックスな構成なのでしょう。
  アルバムのなかで親しみやすさが目立つのは「Till You」、「Share A Little Bit Of Your Love」、「We Are Grateful」、「Lilies & Sparrows」でしょう。 個々の曲調は異なりますが、淡さやマイルドさは共通のもの。 とくに「Share A Little Bit Of Your Love」は、ソフトロックの趣のある楽曲。 瑞々しい男声コーラスによる親しみやすいメロディーがまるでアソシエイションのようです。  「We Are Grateful」はピアノのリリカルな響きから、初期の Jimmy Webb が手がけた小品のようなイメージです。  ほかにもアルバムは全体としてマイルドな印象なのですが、それは、ほとんどの CCM がそうであるように、ボーカルの声質のせいでしょう。 CCM でいながらハスキーだったり、甲高い声というのはあまり耳にしたことがありません。

  The Song Of The Earth というサブタイトルがついているこの作品は、ニューヨーク州のイサカでレコーディングされました。 イサカといえば、Swallowtail Records の拠点でもあった美しい土地です。 あの名盤「September Sky」を生み出した Bill Destler と場所が重なってきますが、とくにミュージシャンとして交流があったような形跡は見当たりません。 制作年度が 5 年も違うことや、音楽の性格がゆえ、当然のことでしょう。

  Ray Repp の音楽は日常のなかで息づく信仰というよりも、もっと濃密で深いものを感じさせます。 その彼が 20 年以上にわたって音楽活動を行い、確認できているだけで 9 枚以上のオリジナル作品を発表することが出来たのには、それなりの経済的なバックグラウンドがあったからでしょう。  その背景が何だったのかは分かりませんが、そこには人種・宗教・思想といったものの多様性から成り立つアメリカ社会の奥深さが横たわっているようにも思えます。



■Ray Repp / Benedicamus■

Side-1
Benedicamus
Part 1 – The Song Of The Earth
Part 2 – The Dance Of The Seasons
Till You
Children Of The Morning
With Every Step
Share A Little Bit Of Your Love

Side-2
We Are Grateful
Lilies & Sparrows
Garment Of Gold
Brand New Day
Alpha & Omega
Alleluia (The Lord Of Love Has Come)

Produced by William M. Kelly
Recorded at Pyramid Studio , Ithaca , New York

All Music written by Ray Repp
Arrangements : Ray Repp , Chip Smith

Chip Smith : keyboards
Rat Repp : guitars
Paul Johnson : guitars
David Verdery : bass
Clint Swank : bass
Al Hartland : drums
Stuart ‘Kraz’ Krasnoff : percussion
Kevin Miles : trumpet
Jeanne Vernon : recorder

K&R records KRS1011


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