Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Stephen Whynott

2006-03-20 | SSW
■Stephen Whynott / Geography■

 Music is Medicine は、1977年から1983年ころまで存続したレーベルで、MIM-9001 から MIM-9056 くらいまでの品番があることから、50枚以上のアルバムを残した中堅レーベルといっていいでしょう。 僕も、Barry Melton やTom Ranier などのアルバムを持っていますが、SSW 専門ということではなく、AOR やInstrumental の作品もあります。 のちに Windham Hill Records からリリースをしているピアニスト Scott Cossu の「Spirals」 というアルバムが MIM-9056 ですが、これはレーベルとして最後期の作品だと思われます。
 前作「From Philly To Tablas」の翌年に発表された Stephen Whynott のセカンドアルバムは、前作から一転して西海岸に移り、ワシントン州シアトル郊外の Bothell での録音です。 ということもあって、メンバーを総入替えして制作されました。 前回印象的だったメロトロンもクレジットから消えています。
 サウンドのほうも前作とは異なり、淡々とした SSW アルバムに仕上がっています。 ほとんどがギターの弾き語りにちょっと色をつけた程度のもので、時折サックス などのブラスアレンジが聴ける程度です。 リズムセクションはほとんど存在感を示しません。 A面では、ハーモニーが美しい「Things Are Looking Up」、サックスのイントロと地味な三拍子で少し宗教的な匂いのする「That’s What We’re Here For」などが印象的です。 
 しかし、このアルバムの最大の特長は、10分を越える大作「A Better Way」です。 ギターの弾き語りで単調な展開なのですが、ボーカルが出てくるのは最初の3分の1くらいまで、その後はずっと静かなアコースティックなインストが続いていきます。 そのインストのなかに主張しないギターソロが垣間見えるあたりは、まさにチルアウト・ミュージックなのです。 Stephen Whynott 、このとらえどころのないミュージシャンをひと言で例えるのなら、「早すぎたチルアウト系シンガーソングライター」といったところでしょうか? サウンドの深さを楽しむのであればファーストを、SSW 的な味わいを求めるのであれば、セカンドがお薦めです。
 Stephen Whynott が Music is Medicine に残したのは「From Philly To Tablas」と「Geography」の2枚のみでした。 以降、彼は音楽活動から遠ざかっていたようなのですが、1993年に約15年ぶりとなる3枚目「Apology To The Animals」を突然発表しています。 当然ですが、レコードではなく CD のみでの発売です。 残念ながら僕はこの CD を入手していませんが、ぜひとも入手して聴いてみたいものです。 もし、すでにお聴きの方がいらしたら、印象など教えてください。

■Stephen Whynott / Geography■

Side-1
Things Are Looking Up
Where Are You
That’s What We’re Here For
Heaven On Earth

Side-2
Honeymoon On The Mia
A Better Way
I Grew Up At Last

Words and Music written by Stephen Whynott

Produced by Stephen Whynott
Mixed by Michael Leary , Stephen Whynott
Recorded at Thunder Oak Studio , bothell , Washington

Kirk Tuttle : percussion
Mark Willett : bass
Bobby Nachtsheim : saxophones & brass
Richard Dean : keyboards
Stephen Whynott : vocals & guitars

Music is Medicine   MIM-9015