Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Stephen Whynott

2006-03-19 | SSW
■Stephen Whynott / From Philly To Tablas■

 「音楽は良薬」と名づけられたSSW系のインディーズ、Music is Medicineの第一弾として1977年に発売されたのが、このStephen Whynott のファーストアルバムです。 このレーベルはシアトルに本拠を置く、First American Records が流通をしてるので、このレーベルもシアトルが本拠地なのでしょうか? 僕もずっとそう思っていましたが、改めてこのアルバムのクレジットを見ると、東海岸のボストンでのレコーディングでした。 Music is Medicine および、Stephen Whynott については、セカンドアルバム「Geography」も近日中に取り上げる予定ですので、そちらに詳しく書いてみたいと思います。
 このアルバムのことを知ったのは、SSW系も充実していることで有名な高田馬場のDISC FUNだったと思います。 そのときは500円くらいだったような気がします。 まず、ジャケットから想像するにスワンプ系かと思いました。 このいなたい男性、良く見ると腰のあたりにピストルを忍ばせてます。 怪しいです。 クレジットを見て分かったのですが、この男性はStephen Whynott の親戚(おそらく祖父、もしくは父)である、Graham Whynott さんの肖像だったのです。 撮影は1939年とのことです。
 さて、そんなこのアルバムですが、何か特別な匂いがする作品なのです。 何度も聴きたいという魅力のある曲やメロディは一切含まれていないのですが、何か気になる、何度も聴かないとわからないのではないかと思ってしまうアルバムです。 SSW の作品ではあるのですが、彼のボーカルやメロディは、曲のほんのパーツに過ぎないという感じで、全体の流れはゆったりと漂う小船に乗っているかのような感じ。 印象的なのはメロトロンの多用でしょうか。 1977年の SSW 作品でメロトロンというのも意外な感じがしますが、このアルバムはたしかにプログレ系 SSW といってもおかしくはないかもしれません。 曲と曲の間が聞き手には判明しづらく、ほとんどの場合はつながっていて、パーカッション、ギター、オーボエなどの淡々としたアレンジのなかに、時折ボーカルが入るという感じです。 部分的には最近のアメリカの音響系のSSW にも似たようなたたずまいを感じたりします。 そういった意味で、すでに30年が経過しようとするこのアルバムの時代的な意味は重要なのではないかと思います。
 アルバムの構成も1曲目の「Retreat Suite」で繰り返されるメロディが実は、「Go Around」のサビの部分だったりするという小細工を施すなどのアイディアも盛り込まれています。 B面のほうがよりメロトロンが多く使われますが、最後は「Oh Boy I’ve Won The Contest At Last」という謎めいた歌で終わっていきます。
 結果的には、アルバムジャケットと内容のギャップもマイナスに作用したのでしょうか。 このアルバムは比較的入手は容易なのですが、あまり語られることのないまま、29年も経過してしまったのです。
 次回は、彼のセカンドアルバムをご紹介します。

■Stephen Whynott / From Philly To Tablas■

Side-1
Retreat Suite
What Have You Seen
Altitude
Rain Swollen Highway
Nine Day Sunflower
Without Us

Side-2
Go Around
Snows Edge
Mexican Oil
Oh Boy I’ve Won The Contest At Last

Words and Music written by Stephen Whynott
Orchestrated by Dan Frye

Produced By Stephen Whynott and Zed Mclarnon
Recordind and Remix Engineer : Zed Mclarnon
Recorded at Intermedia Sound , Boston

Stephen Whynott : vocals , guitars , piano
Zed Mclarnon : bass
Dan Frye : mellotron , electric and acoustic piano , organ
David Humphies : drums
Cleve Pozar : tablas , percussion
Micheal Kamen : oboes

Music is Medicine   MIM-9001