■Matthew And Sharron / Millennial Day Songs■
春の陽気が続き、一気に季節は新緑の輝きのなかに包まれています。 そんな心地よい休日に安らぎを運んでくれるようなフォーク・アルバムを取り出してみました。 1976 年に Los Angeles 郊外の Altadena にあるローカル・レーベルからリリースされた Matthew And Sharron のアルバムです。
「至福千年の日の歌」とでも訳すのでしょうか。 人生の素晴らしさや満ち足りた幸福感がモチーフとなったタイトルからは、クリスチャン・ミュージックの匂いを感じますが、Jesus や Lord が連呼される曲は存在しません。 むしろ、光・大地・空・山・水といった言葉が目立ちます。 歌詞カードは封入されていないので詳細は不明ですが、このアルバムは、The Seekers の持つお行儀の良いフォークソングの世界観に近いものを感じます。 夫婦のデュエットということから、Ian & Sylvia と対比することもできるかもしれません。
レコードは、A 面に『Seven Millennial Day Songs』、B 面に『More To Sing About』というサブタイトルが付けられていますが、特に趣向が異なっているわけではありません。 若干ですが『More To Sing About』の方が緩いイメージはありますが、さっそく『Seven Millennial Day Songs』からフィードバックしてみましょう。
「Light」は二人の息のあったハーモニーが爽やかな曲で、リスナーは早くもアルバムの全体像を予測することとなります。 そして「Waters」や「Land And Seed」といった自然の恵みを讃えた優しい楽曲が続きます。 つづく「Lesson In The Sky」は、癒しの色がやや薄くなりますが、「Life Everywhere」で至福の頂点を迎えます。 この曲は奥さんの Sharron がリード・ボーカルをつとめた清楚な出来なのですが、鳥のさえずりがさりげなくエフェクト処理されており、リラクゼーション効果満点。 アルバムを代表する曲と言えるでしょう。 再び、夫婦のハーモニーに戻った「Wedding Coming Soon」をはさみ、Sharron のリードが美しい「The Great Rest (The Mountain Song)」で組曲のような『Seven Millennial Day Songs』は幕を閉じます。 この 7 曲は自然界の輪廻をテーマにしており、時代を先取りしたエコロジー音楽といった印象を受けました。
B 面の『More To Sing About』は A 面のように統一したテーマはありません。 「Medley- Who Will Be The Greatest, Weeds」は、どこがメドレーか曖昧なまま、「Go Tell It On The Mountain」に突入してしまいます。 ともにオーソドックスなフォーク・ソングですが、終始ユニゾンしていくスタイルが好きな人にはたまらないかもしれません。 つづく「Medley- The Second Coming, Gathered From The Nations」は、中盤から鼓笛隊のようなドラムスとベースが入ってきます。 リズムセクションが入る曲は、ここだけなのですが、それほど違和感はありません。 「The Long Way Home」は落ち着きのあるバラードで B 面を代表する名曲。 ラストの「You, You, You」は語呂合わせを含んだ、遊び心あふれる陽気な楽曲でした。
このようにレビューしてみましたが、このアルバムは純粋で素朴なフォーク風味が全編を貫いており、1976 年に生み出されたとは思えない作品でした。 時代に左右されない普遍性を兼ね備えた良心的な作品として、十分評価できる内容だと思います。 ただ、分かり易い音作りに徹しているせいもあって、強烈な個性を感じないのも事実です。 とはいえ、時代に抗うかのように平和と自然を愛した夫婦から届けられたアルバムと向き合うのには、そんな論評は無用なのでしょう。 人生で大事なことは、新緑の美しさや鳥のさえずりに心が動くかどうかなのですから。
■Matthew And Sharron / Millennial Day Songs■
Side-1 “Seven Millennial Day Songs”
Light
Waters
Land And Seed
Lesson In The Sky
Life Everywhere
Wedding Coming Soon
The Great Rest (The Mountain Song)
Side-2 “More To Sing About”
Medley- Who Will Be The Greatest, Weeds
Go Tell It On The Mountain
Medley- The Second Coming, Gathered From The Nations
The Long Way Home
You, You, You
Mark Graham : bass, third voice on ‘Lesson In The Sky’ and ‘You, You, You’
Paul Shaeffer : drum on ‘Gathered From The Nations’
Marc Stahl : third guitar on ‘Gathered From The Nations’
All other vocalization and instrumentation by Matthew and Sharron Kalliman
Triumph Records TR 7601
春の陽気が続き、一気に季節は新緑の輝きのなかに包まれています。 そんな心地よい休日に安らぎを運んでくれるようなフォーク・アルバムを取り出してみました。 1976 年に Los Angeles 郊外の Altadena にあるローカル・レーベルからリリースされた Matthew And Sharron のアルバムです。
「至福千年の日の歌」とでも訳すのでしょうか。 人生の素晴らしさや満ち足りた幸福感がモチーフとなったタイトルからは、クリスチャン・ミュージックの匂いを感じますが、Jesus や Lord が連呼される曲は存在しません。 むしろ、光・大地・空・山・水といった言葉が目立ちます。 歌詞カードは封入されていないので詳細は不明ですが、このアルバムは、The Seekers の持つお行儀の良いフォークソングの世界観に近いものを感じます。 夫婦のデュエットということから、Ian & Sylvia と対比することもできるかもしれません。
レコードは、A 面に『Seven Millennial Day Songs』、B 面に『More To Sing About』というサブタイトルが付けられていますが、特に趣向が異なっているわけではありません。 若干ですが『More To Sing About』の方が緩いイメージはありますが、さっそく『Seven Millennial Day Songs』からフィードバックしてみましょう。
「Light」は二人の息のあったハーモニーが爽やかな曲で、リスナーは早くもアルバムの全体像を予測することとなります。 そして「Waters」や「Land And Seed」といった自然の恵みを讃えた優しい楽曲が続きます。 つづく「Lesson In The Sky」は、癒しの色がやや薄くなりますが、「Life Everywhere」で至福の頂点を迎えます。 この曲は奥さんの Sharron がリード・ボーカルをつとめた清楚な出来なのですが、鳥のさえずりがさりげなくエフェクト処理されており、リラクゼーション効果満点。 アルバムを代表する曲と言えるでしょう。 再び、夫婦のハーモニーに戻った「Wedding Coming Soon」をはさみ、Sharron のリードが美しい「The Great Rest (The Mountain Song)」で組曲のような『Seven Millennial Day Songs』は幕を閉じます。 この 7 曲は自然界の輪廻をテーマにしており、時代を先取りしたエコロジー音楽といった印象を受けました。
B 面の『More To Sing About』は A 面のように統一したテーマはありません。 「Medley- Who Will Be The Greatest, Weeds」は、どこがメドレーか曖昧なまま、「Go Tell It On The Mountain」に突入してしまいます。 ともにオーソドックスなフォーク・ソングですが、終始ユニゾンしていくスタイルが好きな人にはたまらないかもしれません。 つづく「Medley- The Second Coming, Gathered From The Nations」は、中盤から鼓笛隊のようなドラムスとベースが入ってきます。 リズムセクションが入る曲は、ここだけなのですが、それほど違和感はありません。 「The Long Way Home」は落ち着きのあるバラードで B 面を代表する名曲。 ラストの「You, You, You」は語呂合わせを含んだ、遊び心あふれる陽気な楽曲でした。
このようにレビューしてみましたが、このアルバムは純粋で素朴なフォーク風味が全編を貫いており、1976 年に生み出されたとは思えない作品でした。 時代に左右されない普遍性を兼ね備えた良心的な作品として、十分評価できる内容だと思います。 ただ、分かり易い音作りに徹しているせいもあって、強烈な個性を感じないのも事実です。 とはいえ、時代に抗うかのように平和と自然を愛した夫婦から届けられたアルバムと向き合うのには、そんな論評は無用なのでしょう。 人生で大事なことは、新緑の美しさや鳥のさえずりに心が動くかどうかなのですから。
■Matthew And Sharron / Millennial Day Songs■
Side-1 “Seven Millennial Day Songs”
Light
Waters
Land And Seed
Lesson In The Sky
Life Everywhere
Wedding Coming Soon
The Great Rest (The Mountain Song)
Side-2 “More To Sing About”
Medley- Who Will Be The Greatest, Weeds
Go Tell It On The Mountain
Medley- The Second Coming, Gathered From The Nations
The Long Way Home
You, You, You
Mark Graham : bass, third voice on ‘Lesson In The Sky’ and ‘You, You, You’
Paul Shaeffer : drum on ‘Gathered From The Nations’
Marc Stahl : third guitar on ‘Gathered From The Nations’
All other vocalization and instrumentation by Matthew and Sharron Kalliman
Triumph Records TR 7601
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