徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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レビュー:吉田秋生著、レビュー『YASHA』全12巻&『イヴの眠り』全5巻

2020年08月29日 | マンガレビュー


吉田秋生の『YASHA』全12巻とその次世代編である『イヴの眠り』全5巻を一気読みしちゃいました。ちょっと現実逃避気味です。本当は割と大きな仕事を抱えているのですが。。。日曜日返上で仕上げることになりそうですね。


さて、『YASHA 夜叉』は遺伝子操作によって生まれてきた子ども有末静(ありすえセイ) が自分を生み出した研究所やその関係者たちに反旗を翻し、その中で一卵性双生児の弟と敵味方に分かれた戦うストーリーです。彼を代理母として生んだヒサコは研究所から静をさらって沖縄の離島に彼を隠して育てたのですが、ついに2つの敵--1つは元婚約者だという製薬会社などを持つ雨宮ともう1つはアメリカの静を作り出した研究所--に見つかってしまい、静を逃そうとしたために米軍人に射殺されてしまいます。その結果、静はアメリカの研究所に収容され、英才教育を受けてウイルス学を研究し、18歳で博士号を取得。研究所の創設者の1人であり、静のメンターでもあった教授の助言で静は研究所を抜け出して日本へ帰国し、闘いの日々がスタートします。人類の大半を滅亡に追い込むような途方もない陰謀を目論む雨宮とその息子として育てられた静の双子の弟は静を仲間に引き入れようとしますが、引き入れられないと分かると力づくで手に入れようとあれこれ画策し、闘いのスケールがどんどん大きくなっていく感じは『Banana Fish』によく似ています。『Banana Fish』でチャイニーズのストリートキッズのトップだったシンがこの作品ではチャイニーズマフィアの大物として登場します。
パターンが似ているとはいえ、一度読みだしたら決着がつく最終巻まで息つく暇もなく一気に読んでしまいますね。すごいテンポと牽引力です。


YASHAの惨劇から18年後、静のボディーガードを務めていたケン・クロサキが、同じく静のために働いていたルー・メイと結婚しハワイでコーヒー農場を営みながら平和に暮らしていたところを、シン・スウ・リンの息子・烈(リエ)が訪れ、クロサキ夫妻の長女アリサ(実の父親は静)に危険が迫っているので保護したいと申し出るのですが、そうこうしている間に危険の元である静のクローンがハワイに上陸し、アリサと接触してしまいます。その後初めてアリサは自分の出生の真実と「竜の娘」と呼ばれるほどの特殊能力の理由を知ることになり、静のことをもっとよく知るため彼の元へ行き、魂がない残忍なクローンとの戦いの渦中に飛び込んでいくことになります。
ルー・メイとケン・クロサキのカンボジアでの出会いや、ケンと静の出会いなど親世代のエピソードが盛り込まれていて、『YASHA 夜叉』の次世代編でありながらスピンオフ的な感じもあります。それゆえのお得感もなくはないですが、ストーリー単独でいうとちょっと物足りない感じが否めないですね。5巻しかないのでストーリーが描き切れてない印象があります。面白くないわけではないですが、ちょっと残念ですね。


レビュー:吉田秋生著、『BANANA FISH』全20巻