徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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ドイツ:世論調査(2016年7月8日)~ブレグジット後ドイツ人はEUにこれまでにないくらい肯定的

2016年07月08日 | 社会

ZDFの世論調査ポリートバロメーターが6月24日に発表されましたので、以下に結果を私見による解説を加えつつご紹介いたします。

まずはEU関連の質問から。

EU & Brexit

イギリスのEU離脱についてどう思いますか?:

いい 12% (+5%)
どちらでもいい 16%(-6)
悪い 70% (+1)


 

イギリスのEU離脱は70%のドイツ人は歓迎していませんが、イギリスが正式に離脱宣言をEUに出せば、いやおうなしに離脱交渉が始まります。その交渉においてEUはイギリスにあまりあるいは全く譲歩すべきではないと考える人が圧倒的多数です。

イギリスとの交渉ではEUはどの程度譲歩すべきですか?:

非常に大きな譲歩 1%
大きな譲歩 9%
それほど大きくない譲歩 49%
譲歩なし 37%
分からない 4% 

 

イギリスの離脱後のEUの将来について意見は分かれています。

イギリスの離脱後、EUの団結は?:

強くなる 20%
大して変わらない 38%
弱くなる 36% 

 

EUは今後加盟国の団結が強まればいいと半分近い49%が希望しています。37%は各国の独立性が強まればいいと思っており、12%は現状維持を希望しています。

EUの更なる団結をン望んでいるのは主に緑の党支持者(63%)とキリスト教民主同盟・社会同盟(CDU/CSU)支持者(55%)です。逆に各国の独立性を望んでいるのはドイツのための選択肢(AfD)支持者(77%)と自由民主党(FDP)支持者でした。

・・・グラフはなし・・・

 

EU加盟国であることはメリット・デメリット?:

メリット 51% (6月:45%)
メリットとデメリット 37%(38%)
デメリット 10% (14%)

 
 
一体何が原因なのか皆目見当が付きませんが、ドイツではなぜかEUファンが急増しています。EUは「ドイツにメリットをもたらす」は上のグラフの緑の線で表されていますが、ご覧の通り過去最高値が出ています。逆に「EUはドイツにデメリット」を表す茶色い線は過去最低レベルになっています。
 
NATO
 
さて次はロシアとの関係が緊張する中で東欧軍配備を強化するNATOについてです。
 
ロシアはポーランドやバルト三国にとって深刻な脅威ですか?:
はい 50%(前月比+5)
いいえ 39%(前月比-4)
分からない 11% (前月比-1)
 
 
50%の人がロシアが深刻な脅威であると認めていますが、NATOの軍備強化は間違いだと思っている人も50%以上います。軍拡に軍拡で応えるのは冷戦時代を反省していない、ということのようです。日本の現政権には到底理解できないロジックでしょうね。
 
東欧のNATO加盟国を守るためのNATOの軍備強化をどう思いますか?:
正しい 38% (前月比+4)
間違い 53% (-3)
 
各政党支持者のうち、間違いと答えた人の割合:
キリスト教民主同盟・社会同盟(CDU/CSU) 46%(前月比-2)
社会民主党(SPD) 50%(-5)
左翼政党 77%(-3)
緑の党 60%(変化なし)
自由民主党(FDP) 58%(-5)
ドイツのための選択肢(AfD) 65% (-5)
 
 

テロ
イスタンブール、バグダッド、ダッカ…とISによるものらしいテロが連続しています。ドイツではテロ対策が十分に行われていると56%の人は考えていますが(不十分と答えた人は32%)、それでも近いうちにドイツでもテロが起こると思っている人は7割近くいます。どれだけ警察や諜報機関が頑張っても未然に防ぐことは難しいということでしょう。
 
近いうちにテロが起こる?:
はい 69%
いいえ 28%
分からない 3% 
 
テロ防止のために十分な措置が取られている?:
はい 56%
いいえ 32%
分からない 11% 
 
 
テロのために今年のヴァカンスの計画を変更しましたか?:
はい 12%
いいえ 61%
ヴァカンスなし 26% 
 
 

政党・政治家評価

政治家重要度ランキング(スケールは+5から-5まで)

 

  1. フランク・ヴァルター・シュタインマイアー(外相)、2.3(前回比+0.1)
  2. ヴィルフリート・クレッチュマン(バーデン・ヴュルッテンベルク州首相、緑の党)、2.2 (変化なし)
  3. ヴォルフガング・ショイブレ(内相)、1.9(変化なし)
  4. アンゲラ・メルケル(首相)、1.7(+0.4)
  5. ウルズラ・フォン・デア・ライエン(防衛相)、0.8(+0.2)
  6. ジーグマー・ガブリエル(経済・エネルギー相)、0.8(+0.1)
  7. グレゴル・ギジー(左翼政党)、0.8(-0.1)
  8. トーマス・ドメジエール(内相)、0.8(+0,1)
  9. ホルスト・ゼーホーファー(CSU党首・バイエルン州首相)、0.4(+0,1)
  10. アンドレア・ナーレス(労働相)、0.3(-0,1)


連邦議会選挙

もし次の日曜日が議会選挙ならどの政党を選びますか?:

CDU/CSU(キリスト教民主同盟・キリスト教社会主義同盟) 34%(変化なし)
SPD(ドイツ社会民主党)  23% (+1)
Linke(左翼政党) 9%(変化なし)
Grüne(緑の党) 13%(+1)
FDP (自由民主党) 6%(変化なし)
AfD(ドイツのための選択肢) 11%(-1) 
その他 4% (-1)


1998年10月以降の連邦議会選挙での投票先推移:


政権に対する満足度(スケールは+5から-5まで): 0.8(変化なし)

 

この世論調査はマンハイム研究グループ「ヴァーレン(選挙)」によって行われました。インタヴューは偶然に選ばれた有権者1.320人に対して2016年7月4日から7月7日に電話で実施されました。

次の世論調査は2016年7月22日ZDFで発表されます。

 

参照記事:ZDFホイテ、2016.07.08、「ポリートバロメーター