7月28日はレーゲンスブルク市を出発し、まずはレーゲンスブルク郡ドナウシュタウフ(Donaustauf)へ向かいました。そこにはバイエルン国王ルートヴィヒ1世の命で建築家レオ・フォン・クレンツェによって1830-42年に建設されたヴァルハラ(Walhalla)というギリシャ神殿風の、いわゆる新古典主義の建物があります。ドイツ語圏の英雄や偉業を胸像や記念碑などで称えられるための殿堂ですが、「神殿」ではありません。あくまでも「神殿風」の殿堂です。このようなものがつくられた背景は、1806年に神聖ローマ帝国が瓦解し、ライン川より西は「ライン同盟(Rheinbund)」としてナポレオン指揮下のフランスの直接的な影響下にあったこと、ドイツの政治的細分化と弱体化及び1812年にナポレオンのロシア遠征に多くのドイツ人が参戦し、悲惨な目に遭ったことなどが屈辱と感じられていたため、民族のアイデンティティーをドイツ語を頼りに過去をゲルマン民族の時代にまで遡って探したということにあります。
ヴァルハラ。駐車場の方から。
ヴァルハラから見えるドナウ川。
現在、誰でも死後20年経過している人をここに陳列するよう提案できるそうです。決定権はバイエルン州閣僚理事会にあります。今までのところ著名な芸術家や学者130人の大理石胸像と65の碑文板が収められています。
殿堂の中は撮影禁止で、入場料は8ユーロもしたため、中には入りませんでした。写真はドイツ語版ウィキペディアより転載。
ヴァルハラはドナウ川の方から徒歩で階段を登っていくことも可能ですが、駐車場も完備しているので車でも行けます。駐車場からは緩やかな階段を5分くらい登って行くことになります。乳母車や車いすでも行けるようにバリアフリールートも、少し遠回りになりますが完備しています。
丁度相模原事件が起こった直後のことだったので、ここのバリアフリー完備が特に輝いて見えました。現在のドイツは障害者にも妊婦にもやさしい国です。
次の目的地はバイエルンの森です。