徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

ベルギー・デゥール原発、またしても事故

2015年12月25日 | 社会
ベルギー・アントワープ近郊にあるデゥール原発3号炉(Doel3)は、12月21日(月)に21か月ぶりに再稼働されたばかりですが、25日に非核区域のジェネレータに水漏れが見つかり、修繕のために緊急停止しました。電力網から外されただけで、完全停止の必要はなかったとのことです。(ターゲスシャウ、2015.12.25付けの記事参照)

デゥール3号炉は、ティアンジュ原発2号炉同様、2012年8月に原子炉圧力容器に細かい亀裂が見つかったため、集中点検のために停止していました。
超音波検査で発見された数千もの亀裂は安全性に影響はないとして、2013年6月初めに再稼働されたものの、2014年3月に再び両原子炉は停止勧告を受けました。実験用原子炉モルでの原子炉マテリアルテストで、物理的抵抗力に関して予想外の結果が出たためでした。
それでもベルギー原子力監督庁は2015年11月、16万筆以上の反対署名にもかかわらず、両原子炉の再稼働を認可しました。
ドイツ政府も再稼働に批判的でした。今回の故障を受け、ベルギー政府に対して抗議する姿勢を強めていくようです。

デゥール原発2号炉も12月24日に再稼働したばかりです。次の緊急停止までに何日持つでしょうか?

デゥール原発とは
デゥール原発は、アントワープから北へ15㎞くらいのところにあり、ヨーロッパにある原発の中でももっとも人口密度の高い地域に立地しており、半径75㎞圏に約900万人が住んでいます。
原子炉は4基あり、1号炉(392MW)・2号炉(433MW)はウェスティングハウス社製、3号炉(1006MW)・4号炉(1008MW)はフラマトム社製です。営業開始年は1号炉・2号炉が1975年、3号炉が1982年、4号炉が1985年で、どれも老朽化が進んでいます。それでも2014年12月、ミシェル政権は、本来なら2015年に当初の稼働計画期間を終えるはずだった1・2号炉の稼働期間を10年延長することにしました。理由は冬場の電力不足です。

デゥール原発はベルギーのもう一つの原発ティアンジュほど事故や故障に見舞われてはいませんが、2011年3月18日に4号炉の給水ポンプの損傷が見つかり、INES(国際原子力事象評価尺度)レベル2と評価されました。代用ポンプがあったために大事には至りませんでした。
また2014年8月には、4号炉のタービンがオイル喪失によって著しく損害されました。大幅な修理の後、2014年12月には再稼働となりました。

ティアンジュ原発については、よろしければ拙ブログ記事「ベルギー・ティアンジュ原発の暗黒史」を参照してください。