【松茸の釜飯】
中部エリアで最後の駅弁立売の「松茸の釜飯」は、高山本線・美濃太田駅の駅弁。
全国で5駅残っている立売のひとつの「松茸の釜飯」。中部エリアでは美濃太田駅だけである。
聞くだけで美味しそうな名前である。松茸の季節によらず、1年中販売されている。釜飯の駅弁でよく使われる、1人前サイズの陶製釜形容器に、茶飯を詰めて、おかずで覆い、やはり陶製のフタをして、漬物を別添し、掛紙をかけて、割り箸を置き、紐でしばる。
松茸は小振りのスライスであるが、ご飯の三分の一はこれで覆う。千円に達しない駅弁である割には、量が確保されている。歯応えを感じるには厳しいかもしれないが、ダシしっかり吸い、奥ゆかしい香りを感じられる。
煮物として添えられるタケノコとワラビとフキは薄味に仕立てられ、松茸の味にもうまく合う。少量の鶏肉も煮られて脂が抜け、とてもさっぱりしているから、やはり松茸を邪魔しない。
おかずの下部にしっかり詰まる茶飯が、どの具に当てても引き立て役となる。これをグリ-ンピ-スとサクランボで彩る手法は、釜飯駅弁の定番である。
●駅弁シリ-ズは今日で終了します。明日からは「空弁」シリ-ズです。