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宮田珠己『晴れた日は巨大仏を見に』

2008-06-04 16:11:29 | ノンジャンル
 昨日の朝日新聞の朝刊にアリセサリーや衣料品、食品などでアフリカと日本とのフェアトレードが進んでいるという記事が載っていました。ようやく世界は南北問題の解決に乗り出したようです。

 さて、去年の暮れの朝日新聞の特集記事「2007年 心に残った一冊」の中でエンタメノンフ(エンターテイメント・ノンフィクション)で推薦できる本として紹介されていた宮田珠己さんの「晴れた日は巨大仏を見に」を読みました。
 最初に「巨大仏を扱う類似品に注意、というか私がそうであった。」というノリツッコミから入るこの本は語りが軽く、読んでて楽しいという点では北尾トロさんの上を行くのでは、と思いました。が、北尾さんと違うところは、なぜ巨大仏に自分が惹かれるのか、についてきちんと考察している点で、「必然性のないものは存在感が増す」であるとか、「『ぬっ』とした感じのさらに奥に何か殺伐とした手触り、人間のことなど知ったこっちゃないという冷たさが隠されているのが魅力なのでは」「本来の意味とのズレへの共感があるのでは」と、様々な書籍からの引用とともにかなりのページを割いて語っていました。
 さて、実際の見学ですが、1人の時もあり、編集者でエッチな話題にすぐに持って行く女性の袖山さん、地下や迷路が好きな和久山さんが同行する時もありました。訪れるのはウルトラマンが40mということで、それ以上の高さを誇る巨大仏に限定しての旅です。
 最初に訪れた、日本一高い120mの牛久大仏(奈良の大仏の8倍の高さ!)では、「巨大さは美しさに優先する」「遠くから近づいてきて、初めて巨大仏の『ぬっとある』姿を目にする瞬間が何より重要」「やる気のなさが見学には重要」という基本的な見学の仕方がまず、示され、大仏建設時の写真、特に頭のない大仏の不気味さに惹かれ、地元の人は巨大仏を歓迎していないことを知ったことが語られます。続いて、旅行ガイドに載ってない、100mの淡路島世界平和観音、レジャーランドの一部として作られた北海道大観音、列車の動きに合わせて民家の屋根の上を移動していくように見え(この感覚、よく分かります!)、仏教テーマパークには同じ顔の千手観音が1188体もある加賀大観音、昭和11年の建立で、夜になると移動しそうな曲線美を帯び、ジェットコースターの隣にある高崎白衣大観音、お金持ちに天の啓示が下ることが巨大仏の建立の理由であることを知った、霊場、スライダープール、化石という変な組み合わせが魅力的な吸収の七つ釜聖観音、ロリっぽい会津慈母観音、胎内が迷路になっている東京湾観音、海の豊漁と安全を祈念し、高潮で亡くなった人を供養するために、海に向かって立つ釜石大観音、廃虚と化していた新潟の親鸞聖人上立像、ニュータウンとマッチしている100mの仙台大観音、ガウディを思わせる180mのPL大平和記念塔、ウルトラシリーズを思わせる太陽の塔、座像で50mもある静岡のうさみ大観音、観音像では日本一の108mある小豆島大観音。以上が紹介されている巨大仏(大観音、人間の像と塔を2つ含む)です。
 この本は至れり尽せりで、著者の選ぶ1位から8位までのランキングもあり、実際に訪れたい人のために詳しい地図と所在地も載せてあり、巨大仏ファン必読の書となっています。
 帯に「見仏記」の著者であるみうらじゅん氏が推薦文を書いていることからも分かるように、人が下らないと思うことに執着すると自己紹介しており、みうらじゅんファンでもある私としては宮田さんの他の本も読みたくなりました。最初に書きましたが、北尾トロファンの人との相性もいいのではないでしょうか?