恒例となった、東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんのコラムと、同じく日曜日に掲載されている山口二郎さんのコラム。
まず、2月20日に掲載された「住民の選択」と題された斎藤さんのコラム。全文を転載させていただくと、
「二十四日の沖縄県民投票に注目が集まる中、あえて別の住民投票の話をしたい。昨年12月16日、奈良県宇陀市で行われた住民投票だ。
宇陀市は三重県との県境に位置する県北東部の市で、有名観光地としては国宝五重塔で知られる室生寺を擁している。
その宇陀市が昨年、揺れに揺れた。焦点は老朽化した宿泊施設に代わる新たな宿泊事業者誘致と公園整備事業。前市長の下で進められてきた事業だったが、4月に初当選した高見省次市長が、25億円の事業費が30億円を越える可能性があるなどを理由に、宿泊事業者誘致の断念と公園整備の縮小を表明。推進派が多数の市議会との間で対立に発展したのだ。
投票率51.32%(投票総数1万3688)。反対が6811票、賛成は6574票。投票率は住民投票成立ラインの50%を辛うじて超え、わずかに反対票が上回った。
結果を受けて高見市長は事業の縮小を発表。勝つ気満々で住民投票を発案した市議会側は大誤算だっただろう。が、宇陀市民は賢明な選択をしたと思う。自治体主導の観光事業はどこでもほぼ失敗に終わっている。
沖縄県とは規模がちがうけれども、人口3万人強の小さな町で実践された民主主義。住民が意思を示す機会って大切なのだ。」
さらに2月17日に掲載された「支持率の怪」と題された山口さんのコラム。
「通常国会では予算委員会の論戦が始まり、毎日、安倍政権の失態がこれでもかと明るみに出ている。野党議員との論戦における安倍首相の逆切れ、はぐらかしを見ていると、こんな人物が我が国の最高指導者を務めていることに、絶望的な気分になる。
しかし、一連の不祥事は政権に対する信頼を低下させているわけではない。NHKの世論調査では、内閣支持率は微増して、44%となった。NHKといえども世論調査のデータの捏造(ねつぞう)はしないだろう。我々はこの現実を受け入れなければならない。個々の政策問題については、安倍政権のやり方を是認する声が多数派というわけではない。景気回復を実感せず、行政の不正に怒る普通の人が、それでもこの政権を支持するのはなぜか。
内閣府が毎年行っている社会意識調査を見ると、2011、12年あたりを境に、日本社会の現状に対する満足度は高まり、中国や韓国に対する親近感は低下し、財政や格差に対する危機感は低下していることがわかる。この変化の原因についてはさらに考察が必要だが、民意の変化が先にあって、安倍政権は後からその現状肯定的な民意にサーフィンしているのが今のところの仮説である。
厳しい現実から目を背け、根拠のない多幸感に逃げ込む民意に迫ることが、政治転換の鍵となる。」
また2月24日に「ゆでガエルの政治」と題された、山口さんのコラム。
「通常国会が始まって以来、安倍政権の国会質疑や記者会見への対応の仕方は常軌を逸しており、その目茶苦茶ぶりはエスカレートしている。
問題一。辺野古の珊瑚を移植した、地方自治体の六割が自衛隊員募集に協力しないなど、首相の虚言を訂正せず、屁理屈をこねて正当化する。
問題二。官房長官記者会見で事実誤認の質問をするなとすごみ、新聞社が抗議すると、新聞記者が国民の代表である根拠を示せと逆切れ。
問題三。自民党所属議員が女性への暴行で離党したら、党のベテランがわからないようにやれと、犯罪の悪質性を全く理解しない発言をする。
これだけ愚行や失態が続けば、国民の方が愛想をつかすはずだが、そうなっていない。インフレターゲットは経済政策としては失敗したが、政治の世界ではスキャンダルのインフレを起こすことに成功した。最高権力者は嘘とつくのが、官房長官は説明を拒否するのが、自民党の政治家は女性の人権を無視するのが当たり前。人々は、自民党の政治はこんなものだと慣れてしまった。
安倍政権の六年間、日本の民主政治はゆでガエル状態で、本来であればびっくりして跳び上がるような問題も、あまりに積み重なることで、人々はあるまじきとは思わない。このまま民主主義が死滅していくことを、我々は放置してよいのか。」
もちろんよくありません。私は今の若い人々に希望を持っています。そう、あの安保法制に反対するため、国会を取り巻いて声を上げた人々がまだ存在していることを……。安倍政権、もう虫の息だと思います。がんばれ、シールズ、ガンバレ、全国の9条の会!! そしてがんばれ、俺!!!
まず、2月20日に掲載された「住民の選択」と題された斎藤さんのコラム。全文を転載させていただくと、
「二十四日の沖縄県民投票に注目が集まる中、あえて別の住民投票の話をしたい。昨年12月16日、奈良県宇陀市で行われた住民投票だ。
宇陀市は三重県との県境に位置する県北東部の市で、有名観光地としては国宝五重塔で知られる室生寺を擁している。
その宇陀市が昨年、揺れに揺れた。焦点は老朽化した宿泊施設に代わる新たな宿泊事業者誘致と公園整備事業。前市長の下で進められてきた事業だったが、4月に初当選した高見省次市長が、25億円の事業費が30億円を越える可能性があるなどを理由に、宿泊事業者誘致の断念と公園整備の縮小を表明。推進派が多数の市議会との間で対立に発展したのだ。
投票率51.32%(投票総数1万3688)。反対が6811票、賛成は6574票。投票率は住民投票成立ラインの50%を辛うじて超え、わずかに反対票が上回った。
結果を受けて高見市長は事業の縮小を発表。勝つ気満々で住民投票を発案した市議会側は大誤算だっただろう。が、宇陀市民は賢明な選択をしたと思う。自治体主導の観光事業はどこでもほぼ失敗に終わっている。
沖縄県とは規模がちがうけれども、人口3万人強の小さな町で実践された民主主義。住民が意思を示す機会って大切なのだ。」
さらに2月17日に掲載された「支持率の怪」と題された山口さんのコラム。
「通常国会では予算委員会の論戦が始まり、毎日、安倍政権の失態がこれでもかと明るみに出ている。野党議員との論戦における安倍首相の逆切れ、はぐらかしを見ていると、こんな人物が我が国の最高指導者を務めていることに、絶望的な気分になる。
しかし、一連の不祥事は政権に対する信頼を低下させているわけではない。NHKの世論調査では、内閣支持率は微増して、44%となった。NHKといえども世論調査のデータの捏造(ねつぞう)はしないだろう。我々はこの現実を受け入れなければならない。個々の政策問題については、安倍政権のやり方を是認する声が多数派というわけではない。景気回復を実感せず、行政の不正に怒る普通の人が、それでもこの政権を支持するのはなぜか。
内閣府が毎年行っている社会意識調査を見ると、2011、12年あたりを境に、日本社会の現状に対する満足度は高まり、中国や韓国に対する親近感は低下し、財政や格差に対する危機感は低下していることがわかる。この変化の原因についてはさらに考察が必要だが、民意の変化が先にあって、安倍政権は後からその現状肯定的な民意にサーフィンしているのが今のところの仮説である。
厳しい現実から目を背け、根拠のない多幸感に逃げ込む民意に迫ることが、政治転換の鍵となる。」
また2月24日に「ゆでガエルの政治」と題された、山口さんのコラム。
「通常国会が始まって以来、安倍政権の国会質疑や記者会見への対応の仕方は常軌を逸しており、その目茶苦茶ぶりはエスカレートしている。
問題一。辺野古の珊瑚を移植した、地方自治体の六割が自衛隊員募集に協力しないなど、首相の虚言を訂正せず、屁理屈をこねて正当化する。
問題二。官房長官記者会見で事実誤認の質問をするなとすごみ、新聞社が抗議すると、新聞記者が国民の代表である根拠を示せと逆切れ。
問題三。自民党所属議員が女性への暴行で離党したら、党のベテランがわからないようにやれと、犯罪の悪質性を全く理解しない発言をする。
これだけ愚行や失態が続けば、国民の方が愛想をつかすはずだが、そうなっていない。インフレターゲットは経済政策としては失敗したが、政治の世界ではスキャンダルのインフレを起こすことに成功した。最高権力者は嘘とつくのが、官房長官は説明を拒否するのが、自民党の政治家は女性の人権を無視するのが当たり前。人々は、自民党の政治はこんなものだと慣れてしまった。
安倍政権の六年間、日本の民主政治はゆでガエル状態で、本来であればびっくりして跳び上がるような問題も、あまりに積み重なることで、人々はあるまじきとは思わない。このまま民主主義が死滅していくことを、我々は放置してよいのか。」
もちろんよくありません。私は今の若い人々に希望を持っています。そう、あの安保法制に反対するため、国会を取り巻いて声を上げた人々がまだ存在していることを……。安倍政権、もう虫の息だと思います。がんばれ、シールズ、ガンバレ、全国の9条の会!! そしてがんばれ、俺!!!