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斎藤美奈子さんのコラム・その13

2017-07-26 05:33:00 | ノンジャンル
恒例となった、水曜日の東京新聞に掲載されている、斎藤美奈子さんのコラム「本音のコラム」の第13弾。
まず、6月29日に掲載された「パワハラの代償」と題されたコラム。
「『週刊新潮』の報道で発覚した豊田真由子衆議院議員の元秘書に対するパワハラは常軌を逸していた。もっともこのパワハラはひどすぎる分、わかりやすかった。“そこまで”ではなかった場合はどう判断するのか。
ひとつの指針は厚生労働省が2012年に発表した“職場のパワハラの六類型”である。
 ①身体的な攻撃(暴行など)②精神的な攻撃(脅迫、侮辱、暴言など)③人間関係からの切り離し④過大な要求⑤過小な要求⑥個の侵害。
 豊田議員のケースは①②だったが、③~⑥となると、自身の職場やわが身に照らしてヒヤッとする人もいるのでは?
 セクハラやパワハラはいまでこそ言語道断と思われているけれど、ずっとそうだったわけではない。セクハラの犯罪性を認知させたのは1999年。横山ノック大阪府知事(当時)の強制わいせつ事件だろう。選挙運動員だった女性が知事を告訴し、有罪判決が下って知事は辞職。ようやく世間はセクハラが社会的生命を奪いかねないことを学んだのである。
 永田町の秘書たちに豊田議員の元秘書に続けと鼓舞する向きもあるけれど、失職のリスクを思えば告発も容易ではない。パワハラが重大な人権侵害であることを示し、他の事件を未然に防ぐためにも、豊田議員は辞職なさるべきだろう。もちろん説明責任を果たしてからね。」
 また、7月12日に掲載された「もしも首相が…」と題されたコラム。
「政治家の口まねをする芸人さんは昔はよくいましたよね。田中角栄首相や大平正芳首相の。ああいうの、近頃はやらないんですかね。
 『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(神田桂一&菊池良・宝島社)は文体模写を楽しむ本で、「きみが焼きそばを造ろうとしている事実について、僕は何も興味を持っていない」(村上春樹風)とか、「カップ焼きそばに現在性があるとすれば、その変成のイメージにある」(吉本隆明風)とかいう文章が次々出てくるのだけど、たとえばこれが現首相なら…。
 「いわゆるカップ焼きそばの、作り方につきましてはですね、これはもう、まさにこれは、そういう局面になれば、お湯を注ぐわけであります。それをですね、それを何かわたくしが、まるでかやくを入れていないというようなですね、イメージ操作をなさる。いいですか、みなさん、こんな焼きそばに負けるわけにはいかないんですよ」
 そして菅官房長官は…。
 記者「もしも総理がカップ焼きそばを作ったらという点について伺いたいのですが」。菅「仮定の質問にはお答えできません」。記者「総理は焼きそばに負けないといっています」。菅「まったく問題ありません」。記者「ですが、焼きそばは食べ物です」。菅「その指摘は当たりません」。
 誰かコントにしてくれません?」
 また、7月19日に掲載された、「エロな県へようこそ!?」と題されたコラム。
「性的な連想を誘う宮城県の観光PR動画『涼・宮城の夏』が物議をかもしている。サントリーに続いてまたもやだ。
 問題の動画にはタレントの檀蜜さんが登場し、意味深な台詞を連発するのだが、その前に『お蜜の使命は…殿方に涼しいおもてなしをすること』というナレーションの時点でアウトだろう。
 問題①はこのPR動画が『殿方』、もっといえばこの手の表現に反応するエロオヤジだけをターゲットにしていること。若い人や女性は来なくていいってことだよね。
 問題②は女性を性的なサービスをする係と見なしていること。しかもお蜜は『伊達藩家臣の末裔』という設定で、女の家臣の仕事は殿の接待といわんばかり。
 さらに問題③として、『殿方』はみなエロが好きと想定している点で男性差別的でもある。
 この種の表現が問題になるたび思うのは『誰も止めるやつはいなかったのか』だ。完成までには誰かが企画し、台本を書き、大勢の人が関与しているわけでしょ。その過程で疑問を呈する人はいなかったのか。村井嘉浩知事は『リスクは承知の上』と炎上を煽るような発言をしたが、宮城県では知事に誰も逆らえない?
 同じキャンペーンのポスターは◎なのに不見識な動画班と知事のせいでイメージダウン。県民にも失礼な話だと思いますけどね。」

 斎藤さんの歯に衣着せぬ物言いは聞いててすがすがしいし、まさに我々の意見を代弁してくれていて頼もしくもあります。ただ二番目の記事についてはザ・ニュースペーパーという安倍首相のモノマネをする芸人集団がいることを書き加えておきたいと思います。次回の掲載も今から楽しみです。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/