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ロジャー・コーマン監督『ワイルド・エンジェルズ』

2013-06-28 06:10:00 | ノンジャンル
 ロジャー・コーマン監督・製作の'66年作品『ワイルド・エンジェルズ』をWOWOWシネマで見ました。
 家から出て運河沿いに三輪車を走らせる子供。母は「ブライアン!」と呼んで、子供を追いかけ追いつくと、「危ないじゃない」と言って子供を抱きしめます。その手前に停止するバイク。帰っていく母子からバイクに乗るブルース(ピーター・フォンダ)へカメラが振られると、次のショットは一気に遠景となり、バイクが運河沿いに走り出すのを映し出します。バイクが走る姿をバックにタイトル。
 ブルースは油田で働く“負け犬”ジョー(ブルース・ダーン)の許を訪れ、ジョーのバイクが砂漠の町メッカで見つかったことを知らせますが、ジョーは仕事中に私語をしたことで、クビを言い渡されます。ジョーの恋人ゲイシュは、この5ヶ月で4回もクビになり、家の修理もできないと愚痴を言いますが、ブルースから「ジョーのバイクが見つかったので明日出発だ」と聞くと、はしゃぎ出します。
 ブルースが先頭の、後部座席に女を乗せたバイクの車列は、暴走集団“ヘルズ・エンジェルズ”と呼ばれ、ナチの鉤十字を身に付けています。車列を見つけた警官は、無線で仲間に連絡し、自らも追跡を開始します。車列はメッカに到着し、ブルースらはメイシコ人の若者たちがいるガレージに入っていきます。ブルースが「ジョーの盗まれたバイクがここにあるはずだ」と言い、ジョーが自分のバイクの部品がそこにあるのを見つけると、ブルースらとメキシコ人らの間で乱闘が始まりますが、外にいた警官たちがそれを止めようと入ってくると、ブルースらは逃げ出し、ジョーは白バイを盗んで逃げ出します。ジョーを追跡する白バイはジョーを撃ち、彼にケガさせることには成功しますが、途中崖に転落します。検問の手前で倒れ、意識を失うジョー。
 野外パーティをするブルースら。フランケンシュタインはゲイシュに「淋しいだろう」と言って無理矢理キスしようとします。暴力的な遊びに興じる連中。ヤクをやっていた仲間を見つけたブルースは「ヤクは止めろと言っただろ!」と言って、彼らとケンカを始めます。騒ぎを聞きつけた警官がやって来ると、また逃げ出すブルースら。一方、ジョーは病院に運ばれ、手術を受けます。
 ブルースは、退院しても刑務所に送られるであろうジョーを病院から奪回することにします。ジョーの妹に扮したメンバーが病院の警備員の注意を逸らせている間に、ジョーを病室から運び出すブルースら。異変を感じた看護婦はジョーの部屋に入ってきますが、フランケンが彼女の口を塞ぎ、乱暴をしようとします。それに気付いたブルースによって、無理矢理病室から連れ出されるフランケン。ブルースは彼らのアジトにブルースを運び込みますが、結局虫の息だったブルースは死んでしまいます。号泣するゲイシュ。一方、病院でフランケンに襲われた看護婦は、警察の提示した写真を見て、一味の中にブルースがいたと証言します。実家に警察の手が回り、帰れなくなるブルース。彼は仲間からボートで中国へ逃れるように言われます。
 教会を乗っ取り、ジョーの葬儀を行うブルース。牧師が説教を始めると、それに反発したブルースは、自分たちが求めるのは自由だとして、これからパーティを行うと宣言すると、興奮した仲間は牧師を倒し、教会の内部を破壊し、乱痴気騒ぎを始めます。フランケンシュタインはゲイシュを襲い、彼女を無理矢理犯します。仲間に回されるゲイシュ。ジョーの遺体も仲間に弄ばれ、ブルースはヤクをやった後、仲間の女性とセックスし、ピグミー(マイケル・J・ポラード)らに命じてジョーの遺体を柩に戻させます。仕方がなかったとジョーの遺体に泣きながら謝るゲイシュ。
 翌朝、ブルースらはジョーを埋葬するために教会を出発し、牧師は警察に電話します。町を練り歩く葬列。墓地の穴に柩を下ろそうとしていたピグミーは、町の若者が放った石を当てられ、倒れます。それをきっかけにブルースらと町の若者たちとの間で乱闘が始まりますが、やがてパトカーの近づく音が聞こえ、ヘルズ・エンジェルズの連中は逃げ出します。しかしブルースは1人残り、埋葬を続けるのでした。

 オールロケの作品で、極端な縦の構図や、パーティ場面での手持ちカメラ、ミラーを使ったショットなど、風俗的な興味以外にも、“映画”ならではの楽しみも与えてくれる作品でした。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto